ら・ねーじゅ No.248
1996.7月号
秋田駒周辺 武部 慎
’96.3.26〜28 計1名
田沢湖高原スキー場前の国民宿舎駒草荘をベースにいろいろ滑ろうと思った。 3/26(火) 曇り、一時雪 風強し リフト終点で登山計画書を出し誰もいない静かな山に入っていく。今日のルートは山頂(男女(おなめ)岳)によって笹森山〜乳道スキー場の予定である。樹林帯はスキーをはいているので足首程度しか潜らず、雪質も粉雪で気分は最高!途中、沢を渡るところでどこから沢に降りようかと考えたが、ずっと上流を見れば簡単に渡れそうなのでほっとした。雪で完全に埋もれていたがそこが車道の橋であった。沢に沿って少し登ればもう森林限界。笹森山、男女岳と冬山の世界が広がる。八合目小屋は見えても遠い。もうこの辺は吹きさらしのため完全なアイスバーン。斜度がないからシールのままでも行ける。八合目小屋からはスキーアイゼンを付けて赤布に従い支尾根を登る。気になっていた風は登るにつれて強くなる。山頂は雲の中に隠れたり、見えたりという感じ。1450mまで来てスキーを外しアイゼンに履き替えピッケルを持って山頂を目指す。1分も登らないうちに、ついに歩けない程の烈風になりしばらく耐風姿勢を維持してから即Uターンする。スキーは手に持ちしばらくアイゼンで下る。安全圏に来てからシールのままスキーに履き替え次の目標、笹森山に向かう。小屋の右を滑ってコル目前で転んでしまった。幸いクレバスでなくてよかった。風を避けるため沢沿いに進んだがすぐに大きな滝壺らしきへこみがあり、左に山頂目がけて登り出す。急斜面を過ぎるとアイスバーンのまだらになり風も強くなってきた。西風をまともに受けるからとても山頂にも行けない。ツボ足でコルまで降りる。シールをはずしてスキー場にのんびり休憩しながら戻った。スキー場ではものすごい向かい風で直滑降してもあまりスピードがでなかった。 宿で温泉に入っていると、後から入ってきた人がリフトが完全に止まってもう今日はリフトが動かないとのこと。降りて正解だと思った。しかし、この高度まで短時間に強風圏に入ってしまうとは少しビックリした。 コースタイム リフト上(9:20)−>八合目小屋(10:30)−>1450m(11:30)−> 笹森山手前(Uターン)(12:30)−>コル(13:10)−>リフト上(14:00) 3/27(水) 晴れ、曇り 今日の予定は乳頭山へ縦走。行程が長く途中のエスケープが無い為、のんびりはしていられない。八合目小屋へはあっさりと着く。昨日山頂に行けなかったから足はそちらへ向いてしまう。山頂に寄れば1。5時間のロス。それにピッケルを置いてきたから山頂は明日にしようと思い進路を湯森山と横岳のコルに変えた。複雑な地形で直進は出来なかった。テカテカのゆるいアイスバーンをスキーアイゼンで登る。湯森山からの下降は急なアイスバーンなのでアイゼンに履き替える。犬の散歩のようにスキーを細引きで操る。これが新雪ならばあっという間に滑れるのにな、と思いながらはず森山とのコルに降りる。アイゼンもなかなか快調なのでこのまま登る。ふと足下を見ると右足のアイゼンがはずれているので、よく見るとアイゼンの支柱が折れていることに気がついた。12本爪の前6本をしまって後ろ6本で靴につけ直す。第1歩の感想は、軽い!逆にスピードアップになったようだ。はず森山山頂から振り返れば秋田駒はもうだいぶ遠い。このルートの中間点であり、あとは進むのみ。100m程降りてやはり欲が出てスキーに履き替える。標高差50m程滑って怖いからツボ足になり、少し行ってシールを付け、烏帽子(乳頭山)の直下はアイゼンとずいぶんムダ時間をかけてしまった。稜線からはずれ1300m位まで滑ってから登り返すのが正解だと思うが、アイスバーンが怖くてできなかった。 烏帽子(乳頭山)まで来るとホッとする。山頂より少し北側のため雪質は最高。今までのアイスバーンが嘘のよう。調子に乗りスキーを付け田代平に向かって滑ると、アイスバーンが待ち構えていた。安全をとってまたアイゼンを着ける。田代平小屋が見える辺りからスキーに履き替える。小屋からはシュプールがあり助かった。下半分はグチョグチョ雪で重くターンが大変だった。 コースタイム リフト上(9:05)−>八合目小屋(10:05、15)−>湯森山(11:40、12:00)−>はず森山(13:05、15)−>烏帽子(乳頭山)(15:05、20)−>孫六湯(16:30)−>乳頭温泉(16:50) 3/28(木) 晴れ、曇り 壊れたアイゼンは宿でジョイント位置をずらして12本爪に復帰した。今日は3度目の正直で山頂を目指す。ピッケルも持った。もう小屋へのルートは3回目。いやなことに速い雲と強風がある。雲の量は一昨日よりかは少ないがスピードがすごいのが山頂をかすめていく。切れてもまた次のが。この繰り返し。あーあ。せっかく小屋まで来たのに。 秋田駒はなかなかアタックチャンスがない山。しばらくいて、戻った。 コースタイム リフト上(9:40)−>八合目小屋(10:40、11:30)−>リフト上(12:30) 【概念図】 |