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ら・ねーじゅ No.252
1997.1月号


南平山 ナンダイラヤマ 川治温泉付近/標高1007m          
96/11/30(土)晴れ          
                              梅原秀一


 こんな山を知る人は珍しいであろう。わざわざどうして、と思われるであろう 
が、旅行のついでに登ってみたのである。この山は神田本屋街の悠久堂という、 
ローカルな登山ガイドを扱っている本屋で、栃木の山岳会が編集した「栃木の山 
100」から選んだ。宿泊地から至近な山という理由からだ。         
 同業者(海運)会議の慰安旅行で、鬼怒川温泉に出かけた。総勢20人。男ば 
かり。しかもほぼおじさんばかりである。金曜日の午後6時の東武の特急で浅草 
を出発した。この季節は周囲も同様のグループばかりである。早くも酒の臭いと 
煙草の煙が車内に充満した。                        

 顔を赤くして宿に着き、8時半から宴会である。かなり前からセットしてあっ 
た料理は乾燥していた。何やら二人の芸者(といっても歌舞宴曲を行うわけでは 
ないが)を、呼んでいた。ある程度予想はしていたが、おじさん達だけの慰安旅 
行は醜いものであった。飲んだくれるだけならまだしも、こんな醜態を晒すよう 
なおじさんは、女性社員から毛嫌いされて当然である。            

 しかし、おじさんはタフである。さんざん飲んで騒いでも、翌朝8時にはゴル 
フ場へと出発していった。私はゴルフは出来ないし、一生縁もないはずであるの 
で、一人別行動をとり山に登ることにした。フロントに荷物を預け軽装で9時に 
宿のすぐ前のバス停から、湯西川温泉行きのバスに乗車した。         

 発電所入り口というバス停で下車。会津鬼怒川線川治湯本駅の近くである。ま 
ず鬼怒川の遊歩道に下り、橋を渡って右岸を下流へと進むと登山口の標示がある。
登り始めは薮が少々うるさい、伐採のせいである。尾根にとりつくとしっかりし 
た道になった。落ち葉に敷きつめられた道を、今回はゆっくりとのんびり登った。
2週間前に左足首を捻挫していて、まだ横に角度がつくと痛む。いつものジョギ 
ング・シューズではなく、がっしりした皮の登山靴にした。この方が足首が固定 
されて楽であった。                            

 それでも登山口から1時間半で山頂に到着した。3人のパーティーが昼食を摂っ
ていた。まんざら不人気の山でもないらしい。とはいえなんら変哲のない山頂で 
あった。展望も木の葉が落ちているこの季節だから、鶏頂山が眺められる程度。 
まだ雪はまったくないようだ。女峰山は上部は雪に覆われている様子だが、木立 
の間に間に僅かに望めるのみであった。まあ、冬枯れの静かな山道と寒々とした 
鬼怒川の流れを、慰安旅行という公用にかこつけ味わえたことが収穫であった。 
何しろ、ただ遊びに行くというのでは、なかなか家族が許さないこの頃であるの 
だから。                                 

 下山は往路を登山口まで戻った。そこからこんどは遊歩道を下流へと川治温泉 
駅へと向かった。こちらの方が距離・高低差とも遥かに楽だった。       

 南平山は、この山だけのためにわざわざでかける程の価値はない山であろう。 
しかし、鬼怒川温泉というのは、典型的な会社の旅行に利用される温泉である。 
もしそのような機会があるなら、日光猿軍団や江戸村とどちらが楽しそうか考え 
てみてください。                             


コースタイム                          
    発電所前9:40−登山口10:15−南平山山頂11:45/    
    12:00−登山口13:00−川治温泉駅13:20        


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