ら・ねーじゅ No.255
1997.4月号
前烏帽子岳、新田山 1997年3月15日〜16日
鈴木鉄也、岩 毅、藤田英明、加藤佳恵
海谷山塊は、数字が示す標高と思えないような、見上げる程のピラミダルな山
容や、混み入った稜線が入り組んだ地形図からは想像も出来ないような大雪原が、
パノラマ的に広がる景観を見せたり、場所によって雰囲気がガラリと変わり、そ
してそのダイナミックさは、ここが日本かと見間違えるかのようなスリリングな
山域である。
一昨年前も同じ時期に、計画した場所だったが雨で中止した。起死回生のつも
りだったが、日本バルトロ氷河は、今回も微笑んで迎えてはくれなかった。居座っ
た南岸の前線上に、低気圧が通り、週末はぐずつきの天気となった。でも、佳恵
さんという、明るいヴィーナスが同行してくれて、小雨模様の天気とは裏腹に、
楽しい山行をすることが出来た。
3/15(土)
近くの漁港に上がった、魚やカニやらを行商しに行くオバサン達が、一番電車
に乗る、浦本駅で朝まで仮眠した。
小雨の中、焼山温泉まで乗り入れ、さらに小降りとなったので、空身で行動し
てみる。
バルトロ氷河と形容される吉尾平に、雪洞泊の予定だったが、行ける所までの
偵察山行とした。
雨で飛散してないが、花粉を撒き散らさんばかりの杉林となるアケビ平へ、支
流を渡り返すと、上から滑り降りて来る人がいた。スキーヤーにとっては誠に残
念な杉の植林地である。
昼闇谷の少し手前で、西尾野川の右岸沿いに降り、昼闇谷は出合間際で、スノー
ブリッジを渡った。
残っているトレースは、昼闇谷の、もう一段上部にトラバースして渡っていた。
先程より、雨も上がって来て、小休止する。
吉尾平の台地末端に上がる。
ここからの、のびやかな吉尾平の大雪原はガスの中だった。少し進んでから西
尾野川の本流を渡り返し、前烏帽子岳へ向かう。トレースがバッチリ付いており
1時間程で登る。
雲海状に立ち込めたガスの中から、烏帽子岳、阿弥陀岳、鉢山そして昼闇山と
見え出した。前烏帽子岳山頂は、この東海谷山塊から焼山、鉾岳のパノラマを楽
しめるビューポイントである。
岩井谷源頭になる、タカンビシと前烏帽子間の、この斜面もスキーエリアであ
る。仏岩を大きく回り込むように、一旦、デブリをトラバースすれば、広い斜面
が続く。
焼山温泉に戻ることを考えて、砂場まで降りずに、神社屋敷側へ右トラバース
して降りて行く。除雪用のブルドーザーが上がったばかりの林道を辿り、早川に
沿う道を暫く歩いて出発地の駐車地点に戻った。
焼山温泉で、温まって手足を伸ばす。食料を少し買い足し、小滝駅に向かった
が、駅は閉められていて、結局、頚城大野駅まで戻る。
3/16(日)
快適な、ステーションビバークだった。今日も降水確率が高いが、朝起きたら
雨は降っていないので、新田山を滑ることにした。
焼山スキー場のリフト脇を進み、昨日のルートからそれて、左の斜面に取付く。
林道がだいぶ上まで延びているようで、2〜3度、横切るように登っていく。
山頂は、細長く、アップダウンが続いてる感じで、何処がピークなの?と、奥
まで進む。高松山から眼下に広がる大きな斜面が滑降意欲をそそる。
戻りの広い斜面を楽しんで、今日は、笹倉温泉に入る。案内された入口側の狭
い浴場から出たら、大浴場があると教えられ、二度入った。本降りとなった雨の
中、帰途に着く。
コースタイム
3/15(土) 小雨のち曇り
焼山温泉 8:52 − アケビ平 9:46 − 昼闇谷出合 11:15〜
11:30 − 前烏帽子岳 13:00〜13:45 焼山温泉 15:45
3/16(日) 曇りのち雨
焼山温泉 9:12 − 新田山 11:00〜12:00 −
焼山温泉 12:40
【概念図】