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ら・ねーじゅ No.257
1997.7−9月号


5月定例山行                                
 日本最高峰からの大滑降                          
富士山                            

                           1997年5月11日 
       参加:岡坂(企画担当)、手塚、賀来、内山、藤田(文責)、賀来友人 

 5月で手近に滑れるところ、と言うことで富士山に行くことにした。寡雪の今年、果たして富士山に雪はあるのだろうか?また独立峰ゆえ天気も心配。

 そんな心配をしながら夕刻、岡坂さんの車に乗り、手塚さん・新人の内山君と藤田は一路富士宮口の新五合目まで車を走らせた。街灯ひとつ無いワイディングロードをぐんぐん登る。ひとりで運転していたらとても心細くなるような道だ。ところどころで沼津あたりの街の明かりが見下ろせる。ようやく新五合目の駐車場に到着。と、多くの車がとまり人が結構多い。初めは夜景見物のカップルかなと思ったが、よく見ると大きな天体望遠鏡がズラリ。ここは天体観測のメッカでもあるようだ。彼ら/彼女らは当然夜行性なので、昼行性の山屋とは活動時間が正反対。若干の懸念を抱きつつテントを駐車場にテントを張って寝ようとするが、車は出入りするは、話し声は絶えないはで騒々しいことこの上ない。場所をもう少し考えれば良かったと思いつつも、仕方なくシュラフにもぐり込んだのだった。

 早朝4:30に起床。手塚さん、内山君はともによく寝られなかったようだ。気になる天気はやや薄雲がかかっているがおおむね良好。ただ風は少し強い。車で寝ていた岡坂氏を起こし朝食をとるうちに、長谷川さんが現れる。なんでもザックを忘れてきたとのこと。雪も少ないし・・・と、帰ってしまわれた。

 準備をするうちに賀来さんが到着し、板をトラーゲンして(かついで)軽登山靴/ジョギングシューズで登り出す。岡坂さんは自慢の1mスキーに登山用プラブーツという組み合わせなので、背負う荷物が軽い。板・ブーツともかつぐのとは大きな違い。上を見上げれば測候所の白いドームが意外に近く見えるが、新五合目が標高2,400mなので山頂まで1,400m弱も登らなければならない。七合目小屋を過ぎてようやく右手に雪渓が現れる。八合目の小屋から山頂までは適度な斜度の1枚バーン。しばらくはトラーゲンで行き、途中から兼用靴に履き替えアイゼンを付け、スキーを引っ張って登る。すでに標高は3,300m、さすがに息があがるのが早い。今日が山スキーはもちろん、山登りも初めての内山君はさすがにつらそうだ。朝のうち強かった風が収まってきたのはありがたい。最後の急登を登り切りようやくお釜の縁、浅間神社の前にたどりつく。ここから山頂まではすぐ。藤田だけは最高峰からのスキー滑降にこだわり、板を持って山頂に立つ。山頂は測候所の建物に占められていて、ぐるり360゜の展望とはいかないのが残念。建物の裏にまわると、もやのため遠望はきかないが南アルプスの山並みなどが見渡せる。

 さあ、いよいよ滑りだ。目の前のお釜にも滑り込むことができるそうだが、登り返しを考えると、今日の所はパス。もと来たルートに向けて滑り出す。浅間神社まではほんのひと滑り。神社直下は岩が出ているので、板を持って少し下り、再び板をつけていよいよハイライトの滑降にかかる。上部はやや硬いバーンだったが、途中からは適度に雪もゆるみ快適なザラメ状になり、気持ちよい滑りを楽しむ。眼下に広がる雲海めざしての滑降はさすがに日本一の高度での滑りだ。八合目の小屋で一旦スキーを外し、夏道を少し下り西となりの雪渓に入る。上部雪渓を末端まで滑り、トラバースしてこの雪渓に入ることもできるが、岩場から雪渓に降りるのが面倒そうだ(雪が多ければそれほどでも無いだろうが)。下部の雪渓も思ったよりも長く滑れ、六合五勺小屋の近くでトラバースして夏道に戻り、駐車場まで戻った駐車場でうろうろしている観光客が、スキーをかついで下ってきた我々に好奇の眼差しをむけてくれた。

 富士山は他の山域の山スキーと違い単調だが、名山中の名山の山頂から滑れるという点、都内から近い(約150km、渋滞しても3時間)という点、快適な斜度の1枚バーンである点など、満足度が高い。雪の状態と天気を見計らっていけば、とても楽しめるコースだと思う。


【コースタイム】

新五合目6:30→八合目小屋→浅間神社11:35/12:20→山頂12:30/13:05→浅間神社下(3,650m/スキーをつける)13:15/13:25→八合目13:50/14:00→下部雪渓上端14:40→六合五勺14:50/15:00→新五合目15:45

【富士山の山スキーのポイント】


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