ら・ねーじゅ No.258
1997.10−12月号
滝川 古礼沢
1997年8月9日〜10日
鈴木鉄也
荒川の秩父湖上流の3大源流域である大洞川、入川、滝川にそれぞれ
一度ずつ足を踏み入れたことになる。機会があればこの流域に通い続け
たいと思った。
8/9(土)
朝の5時、天狗岩トンネル到着。小尾根を降り立てば、そこが豆焼沢と滝川
の分岐点とばっかりに思いこんでいたのだが入渓点に分流が無い。上流は国道
140号線に沿っていそうだし、とするとここは豆焼沢で滝川本流は、この下
である筈と速断してしまう。降り立った滝が15m高滝とは思わず、リングの
付いた残置ロープで降りようとしたら、リングに足が入らず、初っ端からザイ
ルを出して懸垂下降。
暫く下ってみたが、出合などは無く、堰堤の上に出てしまった。再び15m
高滝の上に戻るのに1時間半もロスしてしまう。まだ現在地を確認できず、落
胆しながらも上流に向かう。もしこれが豆焼沢だったら、このまま遡行しよう
とさえ思った。
少しして二俣となり、やっと現在地をチェック。釣りをしているアベックが
いた。金山沢あたりまで釣り上がるとのこと。
朽ちかけそうな吊り橋と釣橋小屋を過ぎる。 いつの間にかブドウ沢手前の
8m滝。シュリンゲが垂れ下がっているので容易だ。次のへつり後、ザイルに
繋いでおいたザックを引き上げる際に、滝水をたっぷり浴びて、雨ブタに入れ
た時計が止まってしまう。
以後、時間不明のまま行動する。水晶沢と古礼沢の二俣になる。
古礼沢のF1を過ぎ、沢がまた少し開け、設営したような場所があり、ツェ
ルトを延びた枝に吊った。清流脇の木立の中に張った、我がツェルト。一段下
の水際にタキ火を熾し、濡れたものを乾かす。こんなことで心が落ち着く。時
計が乾いてきたのか、表示が復帰。
8/10(日)
朝未きに起きて、朝食を済ませる。上流の沢筋に陽が射す頃に出発。
小さなゴルジュや小滝を越えて行くと、長いナメが続く。古礼沢を印象づけ
る奥秩父の景観である。白い水飛沫の中を漫ろ歩いていると、人の姑息さとか、
かん悪とかいったことをつい考えてしまい、逆に心が洗われるような気になっ
てしまう。
二俣から右に入ると水が少し濁った感じがし、ナメ床が土色に汚れている。
上は大量の土石で埋まったガレ沢となる。登り辛くなる。更に右に分けた大き
なガレ沢に入る。白骨化したカモシカが散らばっていた。
途中で見つけた、赤いバラ苺を10個ほど頬張った。完熟した甘酸っぱさが
口一杯に広がる。ガレの急登での口の渇きを、ほのかに残る酸っぱさが癒して
くれた。樹林帯からは、僅かで水晶山の頂上であった。
黒岩尾根は、滝川遡行後の下山路として利用価値が高い。よく整備されてい
る。豆焼沢林道に出て、開通を待つ豆焼橋がある国道140号線に戻った。
コースタイム
8/9(土) 晴れ
天狗岩トンネル 5:59 → 滝川入渓点 6:18/7:50 →
沢小屋沢出合 8:18 → 槇ノ沢出合 10:05 →
釣橋小屋 10:30 → 8m滝上(時計故障) → 古礼沢F1(10m)
2段滝上 13:30頃
8/10(日) 晴れ
BP 6:17 → 50mナメ過ぎ分流 7:18 → 二俣 7:50 →
水晶山 9:05 → 雁坂小屋 9:38 → 豆焼林道 11:27 →
天狗岩トンネル 12:32