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ら・ねーじゅ No.259
1998.1−2月号


幻の滝 恩田川上流 間滝         

                              1998年1月11日 
                         メンバー:鈴木鉄也 他 計6名 

1月11日(日) 曇り                          

 房総の山稜の中で、九十九滝はマムシ谷と言われ、春から秋にかけては様々な伏兵がお 
り、山稜とはいえ泥岩質の砂礫が固まったような岩肌で沢登をしようとさえ考える人もい 
ない。                                      

 そんな顧みられない、現代の秘境たるが故、幻の滝が実在したのである。湊川の支流、 
恩田川上流。菅原譲太郎さんの新聞記事をもとに、測量会社の航空写真の提供を受け、入 
渓方法を検討してもらった。                            

 結局、エンゼルカントリークラブのゴルフ場の脇に沿った道から、民家の近くで鎖の張 
った通行止め地点から恩田川に下降。                        

 一旦、ゴルフコースの縁をかすめるような所を下流に進む。ここも3〜4mの滝があっ 
たり面白い所だ。                                 

 恩田川は、水流こそ少ないが降雨時には何十本もの支流となって流れ落ちる複雑な流域 
となる。                                     

 ようやく本流らしい出合いに出てから本格的な遡行となる。他のメンバーは千葉の沢を 
侮ったようで、足回りはトレッキングシューズといったいでたち。私だけ一応渓流足袋を 
持参した。4〜5cm位の水深だが、遡行するにつれ両岸の押し迫った、奥多摩か奥武蔵 
の何処かにあったようなゴルジュの渓相となる。                   

 もう水に浸からずには遡行できなくなり他のメンバーは裸足となった。8〜9日に降り 
積もった首都圏の雪解け水が流れる冷たさに悲鳴が上がる。ぐっと狭まったその奥に、あ 
りました幻の滝「間滝」が。                            

 千葉の滝といえば、栗又ノ滝とか、滝下からでも落ち口が見えるような、やさしくサラ 
サラと流れ落ちる滝のようなものしか想像できないけれども、ほぼ10mの落差は垂直に、
両手を広げたより少し広いくらいの、薄暗いホール状の滝となっていた。右壁から身体の 
向きを変えて、左の割りとガッチリしたホールドで8m地点まで登れるが、後2mは苔の 
乗ったような手がかりのないツルツルのハング壁となり、ハーケンを打つのも気が引ける 
ので諦めた。                                   

 周りも高巻きできそうもないゴルジュ帯だったが少し戻って、左岸に天然椎茸の生える 
大きな老木が使えそうなので、ザイルを出した。                   

 間滝のすぐ上も、また滝となり、その先は砂防用の堰堤となって、老木が埋まり、平流 
となって遡行価値は無くなる。開けたボサ沢となり、やがて小さな田んぼが見え、小川さ 
ん宅の民家に通づる小道と合流する。                        



【コースタイム】                            

出発 9:00 → 間滝下 10:30 →        
小川家 12:00 → 車 12:30          


                                 (鈴木鉄也記) 

                                  電子化 作野 


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