Last Update : Jun 6, 1998  戻る

ら・ねーじゅ No.260
1998.3−5月号


富士山(須走り口)          
                        1997年4月27日 晴れ

                               武部 慎  


 天気が良さそうなので久々にチャレンジしてみた。寮を5時に出発予定が20 
分遅れ山頂は無理かなと思いつつ車を飛ばす。東富士山荘は髭のいつものおやじ 
さんではなく今日は写真家の小曽戸さんであった。何度かあったことがあり挨拶 
と届け出をしてすぐに出発する。                      

 樹林帯を一旦抜けて山頂まで見渡せる所に着くと雪の状況がわかる。あー、2 
500mまで雪が無い。今回はあまり夏道を行かず雪のあるノドを目指す。しか 
し、さすがに須走りで潜るのでなかなか疲れるわりに進まない。2500から2 
800mまでは快調。天気もよく雪も適度に柔らかくかなり上までスキーを使え 
るかと期待したが残念ながら風が強くなりアイスバーンになりそう。だんだん斜 
度がきつくなりまた雪も堅くなりスリップを警戒して慎重になってくる。303 
0m夏道の小屋がズラッと見渡せるところであとトラバースだから行けると思い 
進むが、さすがに吹きさらしでアイスバーンになっているので板をはずす。少し 
戻った所に板を寝かしてデポをする。ここからアイゼン、ピッケルで山頂を目指 
すというのは過去最低の標高で山頂は遠い。まだ時期が早いせいだろう。八合目 
に来てペースも上がらず時間的にもう帰ろうかとも思ったがやはり登る。9合目 
に来てもう降りるべき時間だが。・・・特別に今日は天気が安定しているから行 
ける。ペースアップを計るために空身で登る。さすがに山頂直下のアイスバーン 
は堅い。3年振りの山頂に来てよかったと思いつつ、3時だからのんびりもして 
いられずすぐに慎重に下山にかかる。まずは第一難関の9合目のザックまで。次 
はスキーのデポ地点を目指しダイレクトに進む。               

 うまい具合にシュカブラの上を歩くことができ快適。どんどん高度を下げ、3 
100m位からスキーを探しながら進む。もう過ぎたかなという不安ともし見つ 
からなければそのまま下ろうかとも思いながら少し左右に歩いたりする。運良く 
見つけスキーをひもで引っ張り犬のように散歩させながら降りる。まだまだスキー
をするには堅く、斜度もあり初めはスキーが下で自分が上で降りた。降りていく 
とスキーが横転して滑らなくなり止まって今度は自分が下でスキーを引っ張りそ 
の勢いでスキーが自分を抜いて下になるということを繰り返しながら降りていっ 
た。初めの頃は転倒するとまだ危険な場所だから、スキーには絶えず注意をして 
いた。斜度も緩くなり、靴が潜りだしてくると安全圏に入ったと確信しさてとど 
の辺からスキーにしようかなと考えながら歩いていたら、後ろからスキーが来て 
靴に当たり簡単に前に転んでしまった。とっさにピッケルを両手で持っていてピッ
クが雪面にささり頭が下で止まり、よし、と思った瞬間後ろを何かが押されもう 
一段自分だけ動いた。そのとき鼻の脇をブレードで切ってしまったが大した怪我 
でなくよかった。後ろで押したのはザックであった。一瞬の出来事であった。と 
りあえずピックを中心に回転して足を下にして冷静になる。スキーを抱えて降り 
る。少ししてスキーで滑るがスキーだとアイスバーンで振動を抑えるのがやっと 
という感じ。でもスキーを使えて良かった。とても快適ではないが雪の末端まで 
到着した。                                

 東富士山荘では小曽戸さんがちょっと心配していたが僕を見てホッとした様子 
であった。おいなりさんがたくさんあったので4こもいただいた。うまかった。 
そういえばあんまり食べていなかったっけ。お茶もガブガブ飲んでしまった。人 
間に戻った気がした。                           

 やはり無理をしても、またどこでも気を抜いてはいけないなと反省した。   


 コースタイム                              
須走り口   7:20          3030m 12:10     
久須志岳  15:05/15       3000m 16:30     
2900m(スキー滑降開始17:00)  2450m 17:20     
東富士山荘 18:30                          


戻る    山スキー同志会のホームページへ

メールの宛先:
webmaster@ysd-jp.org