Last Update : Feb 5, 1999  戻る

北岳 バットレス                   
                           1998年9月19〜20日 
                      メンバー:(L関口、吉野)、鈴木鉄也 

 優に30ピッチはあり、継続登攀の登竜門とも言われるピラミッドフェース〜第四尾根 
〜中央稜ノーマルルート。                             
 ナイターの練習試合での筋肉疲労がとれないまま、またノコノコと人の山行に便乗させ 
て貰う。                                     

9月19日(土) 快晴、一時曇り                      

 星が落ちてくる夜空だったが、朝少し雲がかかる。運動靴にビバーク用具入れた、やや 
重い荷では少し疲れの残る身体に堪える。                      
 大樺沢をゆっくり詰めて行く。ガスも晴れてバットレスが壮観である。二又を過ぎた先 
で、山渓の「Rock&Snow」の編集者とカメラマンの方から声を掛けられる。   
 ピラミッドフェースか中央稜での撮影許可依頼だった。四尾根を登るとのこと。こちら 
はスローペースなのでご自由にどうぞと返答する。                  
 C沢過ぎで別れて、もう暫く縦走路を詰めてE沢にあたるガリーに入る。dガリーを横 
切って下部岩壁の取付きに到着。                          
 もう殆どのパーティーは取付いた様子で、我々が最後のようだ。           
 また、ガスっぽくなる。登攀用具を身に付け、ピラミッドフェースの1ピッチ目を終了 
した所で下から人の声?。どうやらこの人達がラストのパーティーのようだ。第五尾根か 
らフランケ、そしてダイヤモンドフェースとバリエーションルートを登るようだ。    
 2ピッチ目から草付の混じった錯綜する判りにくいルートとなる。          
 横断バンドを通過し、似たような草付混じりのフェースを上り、もう一段上のバンドに 
出た所が、一枚岩の微妙なトラバース。                       
 このバンドから四尾根に取付いた山渓のお二人が顔を出す。さっそくラストの吉野さん 
がカメラ攻撃。                                  
 少し重い荷ではバランスが難しくなるクラックが続き、さらに細かいフェースと尺取虫 
スタイルで時間を掛けながら、四尾根リッジルートに合流。              
 白い岩を過ぎて、第2のコルにツエルト広げた2人組が居た。マッチ箱を懸垂で降りた 
所で、ヘッドランプを出す。ダイヤモンドフェースを登っていたパーティーもクラック側 
に移って来た。枯れ木の所で前後し、上のテラスでハイ松にツエルトを固定し、ビバーク 
態勢をとった。                                  
 岩稜の真っ只中で一夜を過ごすなんて、初の体験である。風も殆んど無く仙人でもなっ 
た気分だ。                                    
 一ノ倉沢南稜でヘッドランプを着けて歩いたこともあったが、登攀本番中は初めてであ 
る。だが、これは殆んど手探り登攀になるので、いただけるものではなかった。     
 水が少なく、コーヒーを沸かした。パンや菓子を頬張っただけで寝る。        

9月20日(日) 快晴のち曇り                       

 ヒザから下はツエルトよりはみ出しており、次第に隙間からの風も冷たく感じてくる。 
 ヒザを抱え込んだ姿勢で朝まで過ごす。殆んど眠れなかったが、窮屈な態勢から解放さ 
れたくてツエルトから飛び出す。                          
 黎明の富士を右手に見て、赤く光々しい日の出を迎える。震える位に寒かった身体も日 
が射してくると、みるみる暑くなる。太陽の恩恵を感じる瞬間だ。           
 20m程上にもビバークしたパーティーがいた様で降りて来る。           
 枯れ木テラスの所まで戻って、cガリーへ二回繋いで懸垂下降。           
 先に中央稜に取付いた2組は、同じ会の人達らしい。1ピッチ目は、バンドにぶら下がっ
てトラバースを終える。次はルンゼの中に確保点があり、フェースの中央を登って行く。 
ハング帯に入ると最初の出だしが難しくA0で左上のホールドに手が届く。ノーマルルー 
トと言われる北岳に直上するこのラインが最も豪快にクライミングを楽しめる。     
 四尾根から大きなカメラで撮影しているのは、たぶん昨日の山渓の人達だろうか。最後 
のロープが擦れるだけで石ころがビュンビュン落ちるピッチで登攀終了。運動靴に履き変 
えた。                                      
 頂上でビールで乾杯。下降は草すべり経由が楽と後ろについたガイドらしい方の勧めも 
あったが、八本歯コル経由にし、登ったバットレスを眺めながら下った。        
 結局、何度も会った山渓の方から、最後にステッカーを頂いた。           
 昼前には駐車場に戻ると縦走組の2人に言っておいたが、2時を過ぎてしまって、1人 
は先にバスで帰ったとのこと。                           
 芦安温泉で温泉リハビリと称して、汗を流し冷たい生ビールでノドを潤す。      
 今夏のグズつきっぱなしの夏山シーズンを、終りに来て、やっと爽快感で締めくくるこ 
とができた。                                   


 コースタイム                                  
9/19 広河原 7:00 → 二又 9:27 → 取付 11:00/11:50 
     → 横断バンド 12:50 → マッチ箱 17:20 →        
     コル(アップザイレン終了) 18:45 → BP 19:15      

9/20 起床・出発 5:30/6:50 → 中央稜取付 7:5 →       
     終了 10:50 → 北岳 11:10 → 広河原 14:30     


戻る    山スキー同志会のホームページへ

メールの宛先:
webmaster@ysd-jp.org