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鳩ノ巣から  川苔山・本仁田山へ、 奥多摩へ下山       


                        1998年11月27日 晴後曇り 
                               メンバー:梅原秀一 

 このまま続けても所詮先は知れたもの。身をようなき者と思いなして勤め人を辞め、自 
由業に転向した。勝手に金曜日を定休日と定めて、人出の少ない平日登山に出かけた。通 
勤電車の混雑を避け6時半に家を出たのだが、青梅線の立川から青梅の間は、思いのほか 
通勤客が多い。山に出かける自分の出で立ちに、何となく後ろめたい気がしてしまうのは、
まだ慣れないせいでろうか。実際に、定年にほど遠い男が、平日の昼間に普段着でブラブ 
ラしているのを見かけると、胡散臭い印象を持ってしまうが、「あっと。俺もそうだった 
なー」と、思わず苦笑してしまうのだ。                       

 青梅を過ぎると、車中は空席ばかりとなり、ほぼ高齢登山者のパーティーだけとなった。
鳩ノ巣で下車したのは二人のみ。 何故かもう一人はまだ20代であろう女性であった。 
コースも、私と同一のようであった。が、以後の展開に彼女は登場しないのでご安心を。 

 今回の登山は、翌月の登山競争の練習が主目的である。駅前でストレッチングを済ませ 
るとジョグで出発。すぐに始まる急傾斜の車道で、出だしから足腰が痛み出した。陸上ト 
ラックで昨夜は挑発に乗って、競り合ってしまった。馬鹿なことをしたなー。      

 車道を登り詰め登山道に入った。奥多摩も秩父と同様、こんな急斜面の上部まで畑が耕 
されている。石川達三の「日陰の村」を思い浮かべる。里に漂っている朝靄の名残にしば 
し立ち止まった。                                 

 大根ノ山ノ神の分岐から舟井戸のコル直下までは、大方山裾を巻く緩い登りに加え、道 
も良いので快調に走れた。しかし、舟井戸のコルの登り詰めと川苔山山頂への登りは難儀 
であった。息を切らし汗だくとなり、足がつりそうな状態でやっとこさ登頂した。    

 山頂の展望は上々で、青空の下に雲取・御岳など、奥秩父や奥多摩の山々。遠く富士や 
南アルプスが見渡せた。少し寒い。ほんの僅かだが雪が日陰に残っていた。       

 舟井戸のコルに戻って、鋸尾根に向かった。いくらか道は荒れているが、気になる程で 
はない。その名のとおりアップ・ダウンは厳しいが、距離が短く何とか凌げる。大ダワま 
では、下りは足元が悪いので、スロー・ダウンして慎重に通過した。          

 大ダワから瘤高山を経て本仁田山は、これで登りはお終いと思えば、すんなりいった。 
片面が伐採されているのが寂しい山頂だ。しかしだからこそ、その方面のみ展望が得られ 
るのだ。いずれにしても、少々がっかりした本仁田山であった。            

 あとは、奥多摩駅付近の昨年末にできた日帰り温泉を目指して急いだ。大休場尾根は予 
想以上に傾斜がきつい。その上足場も良くない。ひどい筋肉痛の原因となった。     

 大休場で少々足を止めた。今年の紅葉は色づきが悪いとのことだが、この辺りのみは、 
幾分見ごたえがあったからだ。今まであまり使わずに、重荷に感じていた一眼レフの活躍 
の場がやっとあったのだ。                             

走りやすい車道に降りれば、温泉とビールを目指して更にスピードを上げた。午後1時前。
学生と主婦ぐらいしか人気のない奥多摩の駅前を通過して、青梅街道を東京方面に向かい、
新氷川トンネルの入り口手前から右手に入る車道に入り、短い氷川トンネルをくぐれば、 
「もえぎの湯」は目の前である。奥多摩駅から六百メートルぐらいであろうか。     

 2時間で700円。大き目の鍵付きロッカーを使えるのは安心だ。湯は奥多摩湖の湖底 
から汲み上げている鶴の湯のものと異なり、非常に粘着性がある。何となく効力がより強 
力である、という気がする。湯につかりながら座骨神経痛予防のストレッチを行ったら、 
太股の筋肉が痙攣してあせった。ともあれ食堂で、待ち遠しかった生ビールを蕎麦と冷奴 
で。毎度のことながら、これこそ至福であると感じる。                

 奥多摩駅付近に温泉が出来たのは、登山帰りに利用するのに便利で、大変喜ばしいこと 
であるが、施設の規模が非常に小さい。受付で尋ねてみたら、心配したとおり、土日祭日 
は大混雑で、かなり待たないと入場できないそうである。不景気でもこのような施設はど 
こも盛況であるうえ、地の利の良い場所なのだから、もっとおもいきって大きな施設にす 
べきだった。                                   

 昼時は青梅線は1時間に2本。しかも通過待ちの停車が頻繁なので、立川まで1時間半 
近くかかってしまった。危うく、帰宅するサラリーマンのラッシュに出くわすところだっ 
た。何となくだが、堅気の人達の中でこの姿を晒すのは、まだまだ憚ってしまう。    


 コースタイム                                  

鳩ノ巣駅出発 8:40 → 登山口 8:48/53 → 大根の山ノ神 9:09  

/9:12 → 舟井戸のコル 10:03 → 川苔山山頂 10:18/35 →  

舟井戸のコル 11:45 → 大休場 12:10/20 → 車道 12:32 → 

奥多摩駅 12:48/52 → もえぎの湯 13:00              

                                  (梅原 記) 


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