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焼石連峰駒ケ岳山麓極めつけの小滑降

1999年5月10日

メンバー:梅原

天気:快晴

5月9日に北上市のフルマラソンを走った。19km地点辺りで左足に肉離れを起こし、以降23kmを2時間半かけ、自己ワースト・3時間49分の意気消沈のゴールだった。といった事情で、翌日は左足を引きずりながらの、辛い登山であったが、報われることも無かった。

9日は瀬見温泉に泊まった。夏油温泉までの道路の開通は翌日の午後からなので、約12km手前の瀬見温泉までしか入れない。目指す山も駒ケ岳にした。僅かな時間差が、今回のスキー登山に芳しくない結果を与えた。(瀬見温泉・夏油温泉間の路線バスは廃止された。)

そもそも連休過ぎの焼石でスキーは遅すぎる。と考えたが、「連休の八幡平には雪はまずまず」というS氏からの情報に勇気づけられた。実際、焼石の峰々の上部は白銀に輝いているではないか。上部のみなら多少なりとも滑れるに違いない。

瀬見温泉から駒ケ岳へのルートについて資料を漁ったが、真冬の山スキーによる往復のコースのみであった。無雪期の紹介がまるでないのに不安を感じたが、二万五千分の一地図にはっきりルートがあるので大丈夫だ。

10日も快晴。8時半に瀬見温泉を出発し舗装路を45分登る。夏油大橋手前から未舗装林道に入りさっそく傍らに残雪を見た。高度をどんどん稼いでいく。後方から営林署のワゴンが登ってきてそばに止まった。「何処に行くんだ?」と尋ねる。『駒ヶ岳に決まっているじゃないの。くだらない質問だなー。』と思いつつもにこやかに答えた。すると、「えー、こっちから登れるのかなー?」であった。

いやな予感を抱きつつも進んだ。地図によると林道はすぐに山道となるはずだが、かなり延びている。道が完全に雪に覆われた箇所もあり、このまま上部に到達できれば、確かにスキーが使える筈だ。標高800mくらいか、林道は終了した。しかしその先はただ藪が密にあるだけだった。周辺を歩き回ったが、突破口は求められなかった。焼石連峰の峰々の残雪が強い日差しに輝くのを遠望すると、悔しい思いでいっぱいになった。

しかたなく往路を戻った。スキーがやたらと重く感じた。が、もしやと思い、林道脇の小沢に沿った踏み跡を登って行った。やがて幅数メートルの雪渓が現れた。稜線はすぐ上なので雪渓は間もなく消えた。最上部でスキーを装着。標高差約30メートルの滑降であった。スキーを持ってきた甲斐があった。とはとても言いきれないが。

せいぜい新緑のみずみずしさやカタクリの群生などを楽しみながら、瀬見温泉に戻った。温泉につかってやけのビールを飲んで、北上へのバスを待ったのだった。

(梅原 記)


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