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小常木谷
1999年8月29日
岩崎 正隆 他1

 深く切り立つゴルジュ、太古からの岩盤を清流が滑るナメ、そして豪快な滝。奥秩父の深い原生林のなかを流れくだる小常木谷は、やはり花マルの沢であった。

 前夜、車で泉水谷の出合、三条新橋を渡った広場まで入る。
 丹波方面に余慶橋まで戻り駐車。橋のたもとの登山口を左側に進み、丹波川沿いの高巻き道をゆく。(下の方へ行く踏みあとに入らぬこと)しばらく進んで右から入るルンゼを下り、丹波川に降り立つ。すぐ右から入る沢が小常木谷だ。
 トンネルのようなゴルジュをぬけ、ほどなく火打石谷出合となる。水流は1対1程。余慶橋から山腹を大きく巻いてくる登山道と合流する。
 登山道と別れ、うっそうと樹林が生い茂る小常木谷を遡る。コメツガやトウヒなどの森が山を守っているためだろう、ここには堰堤などの嫌な人工物もない。火山のない山域だけあって、かなり古い地層と思ったが茶色、黒と白っぽい三段縞の岩盤が印象的だ。
幸い良い天気となった。木々の緑を通して差し込む木漏れ日も美しい。このままずっと遡行してもいい、そんな気持ちにもなる、奥秩父らしい深さと静けさを持った谷だ。
 純粋に遡る歓びを感じながら、足もとを洗うような流れが花ノ木沢出合まで続く。程なく、谷が右へ屈曲するところに兆子の滝がある。置草履の悪場といわれるところにさしかかる。同行の中西は左から水流沿いに登るが、落口付近が嫌らしそう。私はちょっと左の凹角を登る。(固定ロープがあった。)続く、逆くの字の滝も左側を慎重に登る。
 不動の滝は横幅もあって立派な構え。直登はできず右側のルンゼより巻きながら超える。大滝は下半分はシャワーをあび、ちょっとすべるが容易。途中より左側のいリッジに移って直上する。ここだけザイルを使用。続くネジレの滝も流水左側を、小さなホールドをひろって越えた。
 岩岳沢出合でゆっくりと昼食を楽しむ。その後、流れは平凡となるが、本流をつめて前飛竜をめざす。現在は、途中右岸から入るナメ沢をつめて岩岳尾根へ出るのが一般的のようだ。
 次第に流れも細くなり源頭部へ。傾斜も増して、細いガレ登りとなる。人気のある沢だけあって期待した踏みあとははっきりせず、結局ヤブをこいで東側の火打石谷とを分ける尾根に出る。
 予想していたよりも時間をくい、前飛龍はあきらめて岩岳尾根を下る。倒木は多いものの、道は明瞭だった。

 


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