Last Update : 2011/06/21  戻る

朝日岳(東北)

2001年4月29日〜5月5日

メンバー:武部

4月29日(晴れ)

朝日は下部で雪が多く稜線ではあまりありませんでした。例年ですと、日暮れ沢小屋まで車で入れるのに根子の町までしか入れず、コースタイムで2時間の林道歩きで、行きは半分が雪の上、(途中雪無し)から始まった。荷物が重いのと、スキーの付け外しなどで日暮れ沢小屋まで3時間かかり、なんと足の裏には豆ができてこの荷物でとても稜線まで荷揚げは不可能な状況と思い、日程を変更して当分日暮れ沢小屋泊りに決めた。小屋に荷物をデポし古寺山方面を偵察しに行く。林道は雪がベッタリあり、終点から夏道通りに行こうかと思ったが、崖のトラバースは気が進まないので夏ルートの一つ手前の尾根に取り付く。急なのでシールからすぐにツボ足になり、傾斜が緩くなってからまたシールにする。小鳥の鳴き声がのどかで休憩ばかりしていた。ハンヌキ岳への稜線1100mに赤布を付けもう登らず滑ることにする。ここは3回滑ることになるが、林道まで滑れたのはこの日だけであった。雪解けが早く今日がスキー最後のルートとは結構運が良いのかなとも思った。小屋に帰ってくると釣りの荷物があり、この日はイワナの刺身をご馳走になる。うまかった。

根子6:40−−−日暮れ沢小屋(600m荷物デポ)10:00/11:00−−−古寺山方面(ハンヌキ岳への稜線1100m 3:00)偵察−−−日暮れ沢小屋4:00

4月30日(晴れ)(下部を除き往復)竜門岳方面に偵察

まず、ゴロビツ沢偵察がてら日暮れ沢に沿ってシールで登る。この辺は水がガンガン流れている。10分も登ると二俣でそこから上は雪が垂れ下がっていて今にも水の中に落ちそう。諦めて登る。夏道の西側の小さい沢に入る。入口はちょっと急だが雪はある。詰めていくと水の音が聞こえるが慎重に登る。上部に来て、滝と思われるところから一部水が出ている。割れているが、十分に雪はある。これは途中までシールのままで割れている少し前でツボ足になり突破する。朝のまだ雪が硬いうちだからできることでとても帰りには使えないルートだ。ここを過ぎるともう尾根であるが、尾根は雪がないので沢に沿って雪の上をシールで登る。途中急斜面があり、ツボ足になり登るところもある。上からパーティが降りてきて、「どこまで行くの」と聞かれ、「竜門まで行く」と答えたがスキーは清田岩までと言われた。そこからは雪がないようだ。ゴロビツを過ぎると2m位の雪壁があり(1320m)、ツボ足で登る。その先はまたシールで登る。清田岩の少し手前で、雪が無くなる。手に持って進むがユウフンまでのルートが見えるとシールでは登れないので、スキーをデポして進む。ユウフンからは竜門が見えるが竜門直下まで雪がない。1時間以上休み戻ることにする。スキーデポ地点から雪があるところまで来て早速滑降開始。幅があまりないので少し緊張する。ゴロビツ上の雪壁も斜滑降で何とか突破する。ここからは快適な斜面が続く。うっかりすると左の沢の方に行ってしまいそうなので注意が必要だ。ツボ足で登った急斜面は滑るにはちょっと怖いが気合を入れてターンをして通過する。あっという間に下部に来て、木が多くなり滑りずらくなる。遂に雪が無くなり夏道に従って下って行くと東斜面に雪があり、どう見ても下まで白いが真ん中で急になって降りちょっと見えない。でも行ってみることにする。スキーで滑るが急斜面は凸凹で横滑り。1.5mの段がありここでツボ足になる。降りて行くとだんだん細くなり水が一部出ていて左側は地面が出ている。しかし急で木はあるが、スキーを持っては降りられない。迷った末登り返すことにする。尾根の夏道は木の根だらけでとても下っていられない。かなり降りてまた右側の雪の斜面を降りることに決める。今度ははっきりしたが見えるので間違いなく下れる。やはり雪の上がいい。

日暮れ沢小屋4:30/5:50−−−ゴロビツ沢偵察−−−正規ルートに合流8:00−−−ゴロビツ上雪壁10:00−−−竜門岳方面(ユウフン岳12:00/2:00まで)偵察(主稜線偵察)−−−800mピーク4:15−−−800mピークから尾根の東側滑走:登り返し−−−日暮れ沢小屋5:00

5月1日(晴れ)(往復)
おとといのルートからハンヌキ岳への稜線に登る。たった2日の違いであるが、はっきり雪解けが分かる。もう尾根から登るのは今日が最後かもというところもあった。ハンヌキ岳への稜線は雪庇がグズグズに崩れかけているところもあり、ドキッとする。ここは2回ツボ足になり夏道を行く。コルから古寺山は暑く登るのが大変で、木の影をできるだけ通るようにルートをとる。肩に着くとピークまで広い稜線で、気持ちがいい。ピークからは小朝日の稜線は一部ゴジラの背びれのようにすごい雪庇が見える。コルへはシールのまま下る。コル付近はまたズタズタの雪庇で、夏道を行くところが多い。遂にまたスキーをデポし、少し先でさらにザックもデポして小朝日岳に登る。ここからは中岳、金玉水からの沢底も見え滑れそうだ。小朝日岳から熊越えの間は上部は雪がない。偵察を終えて戻る。古寺山肩からの大斜面は素晴らしい。左側の木が無いルートを選ぶ。ハンヌキ岳の稜線には夏道に行くところ、出るところに赤布を付ける。あとは小屋目指してどんどん滑るというところだが、2日前よりも目に見えて雪が無くなり木が邪魔で滑りづらい。ほとんど止まっているスピードでルートを考えているときに転んでしまう。雪の中に折れた枝があり見えなかった。さらに慎重に滑るが、途中でツボ足になる。下りは早い。すぐ林道だ。

日暮れ沢小屋6:30−−−(4月29日の偵察ルート)ハンヌキ岳への稜線1100m 9:30−−−古寺山の手前のピーク12:15/40−−−小朝日岳1:30/40−−−古寺山2:30−−−日暮れ沢小屋4:40

5月3日(霧、曇り)

今日もすごい霧であるが、天気は回復に向かうはずなのでフル装備で竜門方面に向かう。始めの800mピークへは途中まで尾根の東側から登ったので半分は雪の上を歩くことができた。800mピークからは2日間で木がさらに邪魔になりシールで登れたところもツボ足で登る。清田岩付近になって雲の上に出る。コルに下り、ユウフン岳の北面をトラバースして竜門小屋に向かう。だが、雲の中になり視界が効かないので30分でUターンを決め、稜線経由にした。ユウフンで今日から入る小屋の隣には小屋よりも高い雪庇ができるとのこと。今年は下部で雪が多く上部で雪が少ないそうだ。どこを滑るの?と聞かれ、中岳の北面というと西朝日もいいと教えてくれた。竜門岳から竜門小屋へはシールのまま滑った。夜はビール、酒のご馳走になった。

日暮れ沢小屋6:40−−−ゴロビツ−−−清田岩山とユウフンとのコル(トラバース&リターン)11:00,12:00−−−竜門小屋3:00

5月4日(晴れ、曇り)

朝、晴れてよかった。西朝日までの稜線はツボ足で登る。山頂からやっとスキーが始まる。まだ、若干雪は硬めであるが滑ることにする。アイゼンとシュリンゲを腰にくくりつけスタート。山頂付近はガリガリで板の振動がガタガタとかなりくる。下部が見えてくるとだんだん雪も良くなり快適。あっという間に標高差300mを滑りあとは登り返し。山頂に着くとなんとガスが来て見えなくなった。しかたなく中岳方面に少しツボ足で下ってからスキーに代え滑る。ザックが重いのと視界があまりなく左は雪庇なので緊張する。中岳に着いてもガスで途方に暮れる。が、風が出てきて何とガスが晴れた!急いで準備してスタート。もう雪はゆるくなっていて快適な斜面。確か日暮れ沢小屋に来た時は真白に見えたが一部ブッシュの島があった。特に問題無く滑って行き尾根上にルートをとるとなんと大きなクラックが走っていてここでストップになった。もっと滑れると考えていたのでちょっと残念であった。また、登り返し次にどこを滑るか迷ったが、一旦小屋の方に滑り(金玉水を経て)トラバースして銀玉水の下を滑り谷底まで滑り、熊越えの稜線に登り返すルートに決めた。ザックは置いておき、アイゼン、シールを持って行った。金玉水への斜面は快適、銀玉水の下の尾根はいい斜面に見えたが、もうグズグズでターンした雪が雪だるまになって上から自分めがけて落ちてくるのであまりいい気がしない。谷底まで滑るのは止め、熊越えの稜線へほぼ水平トラバースして戻った。稜線は半分雪が無いのでここにスキー、アイゼン、シールを置き手ぶらで中岳に戻った。ザックを回収して朝日小屋に戻った。山頂もピストンした。

竜門小屋6:20−−−竜門岳−−−西朝日岳8:00−−−滑降(1540mまで)8:10−−−西朝日岳9:10,40−−−朝日中岳10:40,11:20−−−滑降(1550mまで)11:30,12:00−−−朝日中岳12:40,13:10−−−滑降(銀玉水の下1570mまで)13:20−−−朝日小屋14:00−−−朝日中岳−−−朝日小屋15:00−−−朝日岳ピストン

5月5日(霧のち曇りのち晴れ)

朝3時ごろガスがひどく風もあり今日降りられるか心配になった。頑張って昨日降りるべきだったかとちょっぴり後悔もする。4時過ぎには風もあるが晴れて安心する。

小屋を一番に出発する。銀玉水の雪面は硬いがアイゼン無しでゆっくり降りる。熊越付近は下の沢から登れることを確認するが、もう帰ることにする。熊越から小朝日への始めの急斜面は雪が付いているが、問題無い。朝の締まった雪なのでアイゼン無しで通過する。スキーを外して小朝日岳までの150mの登りは、やっぱりちょっと大変。小朝日だけは1日の偵察から4日経っているが、山頂付近の雪庇によるひび割れがすごい。(4日前に山頂付近のひび割れは無かった。)のんびり休憩し少し下がってひび割れが大丈夫と判断してからスキーを付ける。(1日にザックを置いた所よりも上)8時の雪は多分ベストだろう。滑走距離は短く、滑っていい幅も狭いが楽しむ。再びひび割れがすごくなるとツボ足になり、コルを経て古寺山ピークまで進む。ピークの登り斜面もひび割れがすごくなっていた。朝日連峰の眺めを楽しみ古寺山のピークまで滑る。ここからは急斜面の大斜面で本日のメインイベント。ガスでホワイトアウトしていなくて良かった。この前は登山道の左から行ったので今日は右から行く。尾根の右斜面のギルランデでちょっとバランスが崩れ、お尻をついたが、すぐに復帰する。やはりまだ荷物が重いかな。雪も東斜面で思ったよりもちょっと柔らかかったせいもあるかも。何しろ大きな滑落にならなくて良かった。気を入れ直して再スタート。コルに近くなると木が多くなり、ゆっくりになる。ハナノキの登りはシールで登る。ここからはこの前と同じシールのままで滑るが、もう少しのところでまた転んでしまった。あとは自分の付けた赤布に従って、夏道と雪の上をシールのままで進む。ハナヌキの北のはずれから本日最後のスキーを楽しむ。稜線からはずれこの前木の根で転んだところまで来るともうほとんどスキーは難しくなる。もう少し頑張ってスキー終了。まだ何とか夏道より1つ日暮れ小屋沢寄りの尾根と斜面には雪が付いていてツボ足で歩く。車道は所々もう雪が無くなってスキーはもう不可能。日暮れ沢小屋に無事着いてデポ荷物を回収し、根子へ。もう車道の雪もぐっと減り雪解けの早さを感じる。振り返れば中岳の斜面が見える。確か来た時は真白に見えたが今は黒いところがある。あそこを滑ったと一人満足する。

朝日小屋5:10−−−熊越−−−小朝日岳7:20,40−−−古寺山(下)8:40−−−日暮れ沢小屋11:30,12:00−−−根子2:30

(武部 記)


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