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槍沢

2001年5月13日 快晴

メンバー:梅原

昨年は悪天候で途中断念。再チャレンジである。今回は前夜に松本のニュー・ステーションホテルに泊り、休日ダイヤを利用して上高地に早朝入って、槍沢をその日のうちに滑降し横尾か徳沢に泊る作戦である。このホテルは古くて風呂も狭く、多少騒々しい位置にあるが、駅から100m足らずで便利であった。料金は素泊まり6500円(税別)であった。

13日午前4時50分松本発新島々行き直通電車に乗車。バスへの接続も良く上高地に6時45分に到着した。平日の早朝。静寂の上高地は爽やかな雰囲気でよいものだ。

バスターミナルのトイレは、環境保全のために改造され、チップ制になっていた。入口の係り員は100円程度を示唆した。そういうことならよろしいでしょう。

スキーをザックに固定して出発。河童橋を7時通過。焼岳・穂高も青空に鮮やかな絶好の天気に意気が上がって、歩調はおのずと早くなった。横尾手前から雪が現れる。昨年は残雪が多く、この辺りからぬかるんだ雪に何度も足をとられたが、今年は硬い雪なので、より速度が上がる。横尾から槍沢ロッジの間も、河岸の道がしっかり姿を見せ、昨年のような渡渉も無かった。ということで、予測より早い9時20分に槍沢ロッジに到着した。

槍沢は大曲まではシールが効いて快調だった。しかしモレーンへの登りでは急斜面と融け始めた雪に効果が薄れ、途中からスキーはロープで引っ張りキックステップに変えた。

モレーンを登ると穂先が紺碧の空にそびえている。あと一息で行ける近さを感じるが、この辺りからが辛くなる。疲労と希薄な酸素のせいか今までの勢いは雨散霧消した。五十歩毎にゼーゼー呼吸を整えるという体たらく。そのうえ靴が脛にあたりズキズキ痛む。午後2時に稜線に這うようにして登りついた。ザックを投げ出し、しばし空を見上げて荒い呼吸を整えた。結局ピッケルもアイゼンもまるで不要だった。重い荷物にまた五十肩が悪化した。

風もほとんどなく穏やかな陽気であった。槍ヶ岳山荘はまだ雪の冷蔵庫という感じだが、穂先へは夏山と同様なので、私の技術でも大丈夫だろうが、穂高方面・笠ヶ岳から剣辺りまでの白銀の山々の眺望を楽しむにとどめ、滑降のための体力を温存することにした。

2時20分に滑降開始。久しぶりの好天気での山スキーなので、一気にモレーン辺りまで大胆に楽しむつもりだったが、重いぐずついた雪と蓄積された疲労で、数回のターンで息切れした。そのうえ、靴の圧迫が右脛に加わると激痛が走った。

休み休み滑って、槍沢ロッジ上のブッシュを越えたのが午後3時頃。ここからはスキーを固定して歩かねばならない。右脛が痛むので紐もバックルも締めずにゆっくり歩いた。

横尾山荘に4時半。右脛の痛みが耐えがたくここに泊ることにした。今年できたという風呂でさっぱりして(石鹸使用は禁止)から、サンダル履きに長袖シャツ1枚で丁度良い穏やかな春の夕暮れ時に、橋のたもとで飲む冷たいビールが実に美味かった。明日は上高地まで下るだけ、という気楽さも心地よい。

横を山荘は初めてだが、昨年泊った徳沢園のほうが料理は美味い。女性従業員がギスギスして寛げない。足を引きずっても、もう一時間足を延ばせばよかったとくよくよした。

(梅原 記)


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