Last Update : 2011/04/12  戻る

白馬大雪渓(栂池から白馬岳)

2001年5月19−20日

天候:19日晴れ後雷雨 20日快晴(稜線上は強風)

メンバー:梅原他1名

高校山岳部の先輩の計画は、栂池の小屋を拠点に天狗原からスキーであった。全部で4人の参加。私はその中の同期の一人を誘って、白馬本峰まで足を延ばし大雪渓を滑ることにした。

18日午後9時に新宿を車で出発。関越・長野道経由で神城のドライバー専用簡易宿泊施設に午前1時に到着。受付は無人で勝手に2段ベッドに寝てしまったが、早朝には朝食を給すべく人が配置についていた。

5月19日 栂池自然園へ

まず、今日泊まる小屋の管理人である岩岳の民宿経営者を訪れ小屋の鍵を借り、白馬町のスーパーで晩飯と朝食の買い出し。男ばかりなので肉と野菜のバーベキューと焼きそば。フランスパンとチーズといった工夫の無いものばかりである。もちろん酒はたっぷり買い込んだ。

この日から開業したゴンドラを2回乗り継ぎ栂池自然園に午前11時ごろ到着。以前は栂の森ゲレンデから1時間歩いたものだが、我らが成城小屋には5分も歩かずに着いてしまった。随分楽になったものだ。それでも小屋だけは昔のままの古めかしい姿のままなのでホッとした。

荷物を置きスキーを携え栂池小屋へ。山スキー同志会の賀来さんが、母校の同窓会で来ていた。小雨が降り始める中、小屋の庇でおでんの酒盛りが賑やかだった。

時間は十分なので、スキーで遊ぼうと尾根を適当に登って行ったが、雨は強くなる一方で空は一層暗くなるばかり。標高100mほど登って成城小屋まで滑るにとどめた。小屋では賀来さん一行に頂戴したおでんを肴にビールを飲んでいたが、やがて激しい雷雨となり、すぐ側の落雷と同時に、小屋の電灯もストーブも消えた。ゴンドラも動かずジープでお客を回送していた。しかし我々はまだ小屋の中だから楽だが、同志会の針の木一行はテントで難儀しているに違いない。

今年から電化されたのが災いした。6時になっても電気は復旧しない。ろうそくをかき集め炊事は小さなガスコンロで用意していると、ふっと電気がついたので皆で歓声を上げた。

11時ごろまで宴会は続いた。ほぼ20年ぶりの山小屋は、相変わらず水にも不自由することなく夜景も楽しめ、そんな小屋を我々だけ使えるのは実に良い気分であった。

5月20日 白馬から大雪渓滑降

午前6時成城小屋を二人で出発。快晴だが風がやや強いのが気になる。小屋から延びる尾根を軽快にシール登高。天狗原では木道を一時的に歩行し、乗鞍は再度シールで挑んだが雪壁の傾斜がきつく雪も硬いので、アイゼンを着けスキーはロープで引っ張った。

乗鞍に登ると大池までは雪は全く無い。結局シールもアイゼンもここで用なし。大池までのゴロゴロした大きな岩のうねりに、兼用靴はストレスだった。大池で再び雪道となりホッとしたが、この先稜線上は7割くらい雪の無い夏道であった。

四囲の山々の眺望を楽しみながら小蓮華を越え三国境に。この辺りから西風がますます強くなり、背にするスキーが煽られた。両ストックと左足を突っ張って風に飛ばされないようにしながら、右足で前進する。筋力と持久力を消耗し、パートナーが遅れ始めた。かつて何度も一緒に登ったのだが、二十数年の煙草と酒の不摂生に彼は喘ぎ喘ぎ登るのだった。間隔が大きく開くたびに待つのだが、立ち止まって風に耐えるのも辛かった。

三国境から先の傾斜のきつい雪壁は、吹き飛ばされるのではと心配したが、その壁だけ若干東側に傾いていたので事なきを得、白馬山頂に2時ごろに着いた。これまでに二人組の1パーティとすれ違ったのみ。白馬も栂池ルートは不人気なのだった。

大雪渓の入り口となるコルは雪があり、待望の滑降である。もう強風に苛まれなくて済む。一滑りで雪は十メートル程途切れ、以降は一気に滑れた。まだ相当な人数が大雪渓を登りつつあるが、栂池から強風に耐え登った我々ほど、滑降に感動はあるまい。ザマミロ!(負け惜しみか)

雪はまずまずの軟らかさで、広大な沢を快適に滑って行ったが、小雪渓の下部は落石が頻繁だった。ここは4度目でいずれも5月だが、今回が一番危険であった。私は左の壁から通過したが、下の登山者が叫んだので、数メートルのところで頭一つくらいの大きさの落石をやり過ごした。

小雪渓を過ぎれば大丈夫だ。ただ、巨大なスノーブロックがあちこちに残っているのに驚いた。稜線上の雪の少なさに比べ、沢筋の残雪はかなり多い様子で、白馬尻からの林道もスキーをしつこく使ったので、稜線上から猿倉まで40分程度であった。

大雪渓下部で、金山沢を滑降してきたらしいパーティが、大雪渓に滑り込むところだった。スノーブリッジはかろうじて越えられそうだった。

白馬山頂手前で携帯電話にて連絡をとったのだが(私のAUはダメ。DOCOMOで連絡。長いものには巻かれろだ。)、猿倉には先輩達が来るまで待っていてくれた。

小日向の湯でさっぱりしてから帰途に就いた。強風の中の辛い登りもあったが、この山スキーシーズンの締めくくりを、白馬で存分に楽しめたことを先輩に感謝した。その先輩が運転する隣で、初夏の日差しに輝く新緑の眺めを楽しんだ。キリッと冷えたビールを飲みながら。

(タイム)
成城小屋6:00-7:45天狗原の祠7:55-9:00乗鞍山頂9:10-9:45白馬大池10:00-11:20小蓮華11:35-12:15三国境12:25-13:20白馬岳13:50-14:00白馬山荘14:20-小雪渓通過15:15-15:40猿倉

(梅原 記)


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