Last Update : 2004/09/11  戻る

槍ヶ岳飛騨沢滑走
2004年4月30日-5月2日
メンバー:松田他1名

4月30日(金)快晴
今年のGW山行は当初の小屋泊/双六山域めぐりを、パートナーの希望で例年通りのテント山行としたので、行き先も少しでもアプローチが短い槍ヶ岳飛騨沢へと変更した。6時過ぎに熊谷を発ち新穂高温泉無料Pに10時過ぎに着いた。仕度を整えベーステント設営予定地の槍平小屋を目指して出発したのは11時近くと大半の入山者より半日遅れとなり、これは後々、モロに響いてくることになった。
重荷、特に飲食物を欲張ったせいで二人とも一向にペースが上がらず、林道を穂高平小屋へ付いたら既に14時近くであった。白出沢出合以降は夏道沿いに行ったが、残雪の残る樹林中の気の抜けないトラバース、枝を掴み、根を乗り越えての藪漕ぎ、終いには腰上まで雪を踏み抜くなどを繰り返し、更にザックに付けたスキーの枝かかりに悩まされるなど、予想外に時間を要して滝谷出合の手前で17時を過ぎてしまった。所要時間を計算すると予定の槍平到着は日没ギリギリである。残念、且つ、予定外であるが無理をせずに開けた河原に適地を見つけてビバークすることにした。

〔コースタイム〕
自宅発05:35→熊谷合流06:07/06:10→花園IC06:46→新穂高温泉P10:10/10:40→穂高平小屋12:16/12:40→白出小屋13:45/14:20→滝谷避難小屋手前河原17:20(ビバーク)

5月1日(土)快晴
前夜は19時過ぎにサッサと寝たというのに、目が覚めると既に6時を過ぎていた。そそくさと朝食と身支度を済まし、予定外の撤収作業を終えて8:30に槍平を目指して再出発した。滝谷出合の流れを石伝いに渡った後は残雪の開けた河原をシール登行でき、槍平小屋(1985m)に10:15着いた。幕営は3張りほどしかなく、好きな場所を選んで先ほど撤収してきたテントを改めて張り、やっとベースが設営できた。早めの昼食をとったら11:30を過ぎてしまい、初日の半日遅れがソックリ第二日目の午前中予定の履行不能となったわけである。気を取り直して11:50に飛騨乗越を目指して出発するも、折り返し時間は14:30-15:00とした。途中、明日滑降を予定している大喰岳山頂直下からの大喰沢の全体をじっくり観察できた。雪は山頂から数十m下からで、スキー装着には気を使う岩場のクライムダウンが必至と思われ、沢幅の狭さと相俟って、どうしても滑りたいという気が失せてしまった。いよいよ飛騨沢の大斜面に取り付き、汗ばむほどの午後の陽光のもとせっせとシール登行に励むも、はるか彼方に見える稜線(飛騨乗越)へはなかなか近づかない。14:30にやっと2670mに達したところで、本日の終了点とした。安定した快晴から、後1〜2時間位は無理なく行動可能と判断されたが、明日のメインテーマであった大喰沢滑走を断念した心境上、この飛騨沢を味わいつくすのは明日へとって置くことにして先ずは雪中で急速冷却した缶ビールで乾杯。喉が充分潤ったら、仕度を整えていよいよ本日のフィナーレの飛騨沢大斜面の滑走です。(15:00)中間点からとはいえ、豊富な残雪で埋め尽くされた広大なゲレンデの何処を如何滑ろうかと悩みます。
時間的にもほとんどの人はもう登ってしまったようで、下から来る人はもういません。折角ですからこのビッグゲレンデを二人占めして楽しむことにして、広い沢の文字通り端から端まで縦横無尽にシュプールを付けまくりました。それでも15:30にはベースに帰着して、本日の昼間業務は終了です。ところで、近くのぶなの根元に水流が見える水場(穴)が作ってあるのに気付き、これで水のことは一安心。

〔コースタイム〕
ビバーク地発08:40→槍平小屋〔ベース設営〕10:15/11:50→飛騨沢2670m地点14:30/15:00→飛騨沢滑走→ベース帰着15:30

5月2日(日)快晴
6:30にツボ足で飛騨乗越を目指して出発した。途中振り返ると抜戸岳から笠ヶ岳のパノラマが見事なのでパチリ。4時間かけてやっと飛騨乗越(3010m)へ到着したら、稜線は強風が間断なく吹いていた。ここまで来るとやっと槍の穂先が見え、足下の槍沢から遥か信州側の北アルプスの峰峰の展望が開けます。と、そこへ槍ヶ岳山荘へ来たと思われるヘリが、何度も小屋横のヘリポートへのアプローチを試みている様子ですが、この強風のため着陸はなかなか困難の様子でした。
いよいよ最後の飛騨沢大滑降です。10:50稜線直下を滑り出したものの露岩帯は一旦スキーを外して着けなおした。ほんとうに飛騨沢は超ビッグゲレンデである。もう写真どころではない。気を使う出だしのクラスト帯さえ過ぎれば、後は心ゆくまで滑走を楽しむだけです。折戸岳を正面に見て、二人てんでに「それっー」と滑り落ちる。大回り、小回り、何処を如何滑ろうと、どうぞお好みで。ほど良いザラメ雪を自由自在、あっという間に中腹まで滑ったところでビール小休止。「甘い!」このためにはるばる下界から担ぎ上げたのです。
1時間足らずでベースに戻り、とうとう撤収・下山する時となりました。やることをやり尽し、遊び尽した後のモチベーション皆無の戻りは、いつもながら長く感じる行程です。ヘロヘロになって、やっと駐車場にたどり着いて今回の山行も無事終了です。全日快晴に恵まれて、なによりでした。すぐ近くの温泉に入って、松本市の蕎麦屋で夕食を食べて帰路につきましたが、日取り設定の良さでそれほどの渋滞にも会わずに帰宅できました。



〔コースタイム〕
ベース発06:30→飛騨乗越10:35/10:50→飛騨沢滑走→ベース着〔撤収〕11:40/13:00→白出小屋15:35→新穂高温泉P17:35/18:10→温泉入浴・夕食(松本)20:10/20:50→熊谷23:15→自宅着23:55

松田記

 


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