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針ノ木雪渓(マヤクボ沢)
2004年5月22日
メンバー:梅原秀一

5月連休と異なり、中央線夜行全車指定快速列車は、一人で4人分使えるほど空いていた。朝五時頃信濃大町に到着したが、下車した登山客はまばらであった。
連休時と異なり、6時過ぎ発の扇沢行き路線バスを1時間も待たねばならない。立山方面へは、そのバスで丁度トロリーバスに接続できるので、針ノ木岳に登る登山者二人を誘って、タクシーを相乗りで利用した。おかげで、6時半には扇沢を出発できた。
連休後は週末になると天気が崩れ、やっと訪れたチャンスであった。とはいえ何とか雨は免れようといった程度であった。そんな曇天にあまり気分が高揚しないので、早く片をつけて大町温泉にゆったり浸かろうではないか。ということで自らを鼓舞して歩調を速めた。失敗したのは忠実に指導標に従って山裾をトラバースしたこと。中途半端な残雪に足を取られたり、何よりも担いだスキーが小枝に引掛かるのがストレスであった。沢沿いについた、林道の様な広い道を取るべきだった。
テントが3張りある大沢l小屋から5分位登って雪渓に降り立ち、あまりにも泥に汚れた雪渓に意気消沈した。それでも今シーズン最後のスキーなので、きっと上部は素晴らしく綺麗な雪渓を自由奔放に滑降できると信じて、シールを装着した。
ひっそりとした雪渓を登った。針ノ木山頂方面が黒っぽいので、このまま針ノ木峠へ向かおうかとも考えたが、マヤクボ沢へと入った。傾斜がきつくなり、スキーを細引きで引っ張って登っていくと、上部が視野に入ってきて落胆した。針ノ木岳山頂直下は見事に地肌が露出していて、滑降するならば大きく針ノ木峠方面に回りこまなければならない。そしてマヤクボ沢から針ノ木岳に登頂するなら、スバリ岳とのコルまで雪上を登り、そこから既に雪が全く無い稜線を歩いた方が早い。
ともかく、マヤクボ沢の右端を登ってコルを目指すことにした。雪が硬かったので、上部のほんの僅かな距離だけだがアイゼンを使い、針ノ木岳とスバリ岳のコルに10時過ぎに到着した。
薄い霧がかかり、展望はごく付近の山々と黒部湖程度であった。スキーを担いで針ノ木に登頂して滑降するより、むしろこのマヤクボ沢を滑降する方に興味を感じた。時間が早いので、まだ訪れたことが無いスバリ岳でも登ろうかとも考えたが、風がやや強く寒いので止めた。それより、早く大町温泉に浸かってビールを飲もう。
マヤクボ沢を登ったとおりのルートで滑った。針ノ木雪渓との出合までは快適だった。そこから下部はお決まりの泥と石ころの沢で、スキー板には申し訳ないと思った。今回は歩き始めが早かったので、登りではほとんど人影を見かけなかったが、滑降時は大勢が登ってくる中を滑っていくことになり、上手く滑っているのかどうか非常に緊張してしまった。
下山は沢沿いの道を取ったので、すんなり12時前に扇沢に下り、丁度出発する大町駅行きのバスに慌ただしく飛び乗った。
大町温泉で途中下車。何となく西部劇に出てくる小さな街のような雰囲気である。こんな時間なのでお客はあまりいない。コンビニでスキーなどは宅急便を頼んだ。空身になって開放感が満ち溢れてくる。そして日帰り温泉の浴槽で、大沢を滑ってきた松田さんとバッタリ出会った。針ノ木雪渓を見てうんざりして大沢に変えたそうだ。
今シーズンのスキー納めにしては淋しい針ノ木雪渓であった。それでもマヤクボ沢はまずまず楽しめたのだから、まあ良かったとしておこう。温泉も入れたし、林檎の花もピンクで綺麗だったから。

〔コースタイム〕
扇沢6:25→大沢小屋7:30→マヤクボ沢出合8:25/8:30→針ノ木岳とスバリ岳のコル10:05/10:25→扇沢11:50

梅原記

 


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