知床岳登山
2004年7月17-18日 メンバー:賀来他12名 毎年、北海道電力山岳部の人達のサポートを得て、北海道のやや訪れ難い山を登っている中高年のグループに属している。今迄このグループで登った山で印象に残っているのは日高のカムイエクウチカウシ、ペデカリ等である。今年は、知床岳(1254m)をめざした。知床半島の山でも、羅臼岳などと違って、登山道も未整備で人があまり入っておらず、ヒグマとの遭遇は確実との触れ込みであった。 前泊した羅臼温泉から相泊まで車で行き、チャーターした漁船で観音岩を越えた浜に着き(乗船時間約30分、ここまで海岸を歩いて行く登山者も見かけた)、登山開始。ここには番屋があり夏は人が常住している模様である。登路は最初150m程の急登ののち、ウナキベツ川左岸の樹林帯の中の緩やかな登りが続き、やがて大きな崩壊地の右側を絡む急登を経て800m位の台地に出る。ここらあたりまでは登山道未整備とはいっても踏み跡は明瞭であり、急な個所にはロープもついていて、指導標こそ皆無だがまあ手入れの無い山道といえる程度の道である(ただし、下山時、最後の海岸へ下る急斜面でルートを探すのに手間取った程度の判り難さである)。台地状の地形に達してからの登りがかなり難儀で、ルートは判り易いが、ヤブ漕ぎ、倒木漕ぎに苦しみ、なだらかな登りながらなかなか高度、距離が稼げない。そのうち小雪渓を過ぎるとひょっこりテント予定地の知床沼(920m)に出る。後に述べるように結局今回の山行では知床岳登頂が果たせなかったこともあり、この知床沼が山行中のハイライトであった。これ程水のきれいな沼も珍しい。汗まみれで到着したので直ちにフリチンで飛び込んだうえ、沼の水をそのままガブ飲みするのにも全く抵抗がない程水が澄んでいる。人が少ない(当日のテント宿泊者は私達のほか3パーティ位)ほか、沼の底が土でなく岩であることも水が澄んでいる理由だろう。沼の対岸には知床岳へ連なる山並みが続き、沼のまわりには湿原が拡がって、勿論木道などないので踏み荒すことが心苦しい。当初予定ではこの日に知床山頂まで往復することになっていたが、パーティの中で遅れて沼に着いた人もあり、この日の午後には沼の辺りでの酒宴を楽しんだ。 翌日は予報通り天気が崩れ、それでもテントから1時間半程登って知床半島背骨の稜線にまで出たが、視界はなく引き返した(引返し地点の標高1170m位、ここまでもルートは概ね明瞭ながらヤブ、倒木がうるさい)。晴天の前日に登らなかったのが惜しまれた。 登頂は果たせず、また人数が多すぎたせいでもあろうがヒグマとの見参も叶わなかったが、知床沼でのテント泊まりを十分楽しんだほか落着いたよい山行であった。好天の初日、常に海(そしてそれを隔てて国後島)を背にして登った。伊豆半島等、海の眺めのよい山歩きは珍しくないが、ここの場合は、海岸にまで人家は絶えてなく印象は全く異なる。アクセスがそれ程不便ではない山だけに、いつ迄美しさが保たれるか、気がかりを残しつつ山を離れた。 〔コースタイム〕 7月17日 相泊発4:45→観音岩の先5:10→登山口5:45→800m台地11:30→知床沼13:05 7月18日 テント(知床沼)発5:35→稜線7:05→引返し地点7:15→テント着8:20→テント発9:05→崩壊地の下11:20→海岸15:40→乗船16:00→相泊着16:30 賀来記 |