Last Update : 2010/09/12  戻る

大雪山・旭岳

2007年3月3〜5日

メンバー:梅原他4人

2月下旬に起きた、「酸ケ湯スキーツアー雪崩で遭難」の夕刊の見出しに驚いた。酸ケ湯は一杯で泊れないながらも、他の宿に宿泊してそのツアーに参加する予定だった。昨年2月は同ツアーでパウダースノーを堪能できたことに味をしめたからだ。事故が起きたのは前嶽のコルから銅像への斜面。昨年滑ったのと同一コース、ほんの少し西側の沢で遭難したらしい]であり、チーフのガイドも同じ人であった。昨年は荒れた天候の際は、必ずゴンドラに沿って林間を滑っていたのだが、どうしてあんな天候の時に銅像を目指したのだろう。当然ながらこの遭難のため同ツアーは取りやめとなったので、我々は急遽朝日岳に転進することとなった。

このグループでのツアーはまことに安楽で、羽田・自宅間往復とも友人の車である。羽田に三日間駐車するのだ。羽田から旭川空港、そして専用バスが、スキー場に最短距離の施設であるベアマウント・ホテルまで運んでくれる。二泊三日で65000円であった。

旭岳スキー場は20分間隔の大型ゴンドラ一本きり。ゲレンデだけでは平凡なスキー場なので、たいていの人はゲレンデを外れて新雪を滑っている。買って何回か雪崩で死亡した例もあり、アナウンスや表示では「コースを外れてはいけない。」ことになっているが、パトロールなど全くいない。厳しくしたらこのスキー場は閑古鳥が来るだろう。今だってたいして流行っていない。

3月4日早朝と午後だけ好天に恵まれ、4日午後2時頃から間隙を突いて、ゴンドラ上すがたみ駅(標高約1600m)からシールを装着して登った。旭岳岩室〜頂上に延びる尾根を標高約1800mまで登ると、スキーがデポしてあった。それより上は、岩がかなり出ているので、滑降は無理と判断して頂上を目指したのだろう。確かに旭岳は大分黒っぽい様子であった。

我々のうち二人はあまり登りが得意ではない体型なので、ここから滑ることにした。元高校山岳部員出身・Y氏のナビゲーションで、南西に向かった。出だしはシュカブラと時折岩も出ているので、慎重にコース取りしなくてはならない。そして旭平の緩斜面。広大な緩斜面を悠然と滑るのは実に気分が良かった。

旭平が終わると斜面は急激に切れ落ちている。折悪しくにわかに霧で視界が悪くなってしまった。八甲田の事故が頭をよぎり、数日前の大雪のせいか弱層もあるようだ。樹木の生えた狭い尾根を、小さいターンを繰り返しながら慎重にとぎれとぎれに滑降した。

この辺りは夏道と平行にやや南側を降りて行ったが、少し南に行き過ぎた様子なので北へトラバースして、標高約1250m辺りで水流が出始めた沢のスノーブリッジを越え、更に僅かにトラバースするとゲレンデに合流した。

夕方ラスト一本、今度はすがたみ駅からゲレンデを滑り、標高約1400mから南にトラバースして先ほどのコースに入ったところで快晴となった。見上げると、あそこを快適に滑ったらさぞ・・・と思えるルートが何通りかあったので、非常に悔しい思いをした。

トムラウシが夕日に映えていた。姿の良い山である。私は二十歳の三月末、すでに終業となった小平(オビラ留萌の北)の小さなスキー場で、ユースホステルから借りた安全装置の全くないスキーで滑った以外は、北海道スキー初体験であったが、これまでのところ気温も高いうえ雪質もやや重いので実感が湧かなかったが、この真白なトムラウシの姿を見て、初めて北海道に来ているという感覚となった。

梅原 記


山スキー同志会のホームページへ