Last Update : 2011/08/24  戻る

徳本峠から霞沢岳

2011年7月16日(土)〜17日(日)

メンバー:菅澤、A、S、K氏の四名

前夜  都内20:00==塩尻IC==2300信州健康ランド(泊)

7/16  信州健康ランド05:45==島々宿(徳本峠登山口724m)==0630駐車広場0640――0730二股(920m)――0940岩魚留(1260m)1000――1200力水1210――1310徳本峠(2130m泊)

上高地へのクラシックルート、島々宿から島々谷を徳本峠へ辿る道を一度歩いてみたいと思っていた。今年の梅雨明けは早く、この三連休も三日目に台風6号の影響が予想されたが、前の二日間は好天予報だ。

前夜、都内を車で発ち、塩尻の健康ランドで仮眠し、翌朝、島々宿へ向った。

「徳本峠登山口 上高地まで20km」の標識を見ながら駐在所脇の道に入り、島々谷川の右岸につけられた林道を1kmほど走った広場に5台ほどの車が停まっていた。私たちもここに車を置いて歩き出すことにした。

6月の長雨で新釜トンネル周辺の道路が崩壊し、上高地の観光客が足止めされたというニュースがあったが、ここでも左岸の数箇所で右側の沢から押し出された土砂が林道をふさいでいた。

東電の取水場が見えると最初の分岐点の二股に着く。右の舗装された橋の先にトンネルが見えるが、ここは左に進み島々谷南沢に入り鉄製の吊橋を渡る。この先で「行き橋」という面白い名前の橋で左岸に渡ったと思ったらまもなく「戻り橋」で右岸に戻る。戦国時代の遺跡や炭焼き窯などが残っていて歴史を感じる道だ。昔はこの道を牛や馬が通り、上高地で放牧していたという。岩魚留まで一気に歩いて休憩。

廃屋のような岩魚留小屋の前には男女3名づつの2パーティーが休んでいて、彼らとは霞沢岳往復まて゛前後することになる。岩魚留からは道も山道らしくなり、傾斜も少し急になる。沢沿いの樹林の道なので直射日光を浴びないですむのはありがたいが、風は沢沿いとは思えないほど生暖かい。途中一箇所、沢床に降りるところで足場がなくなり、草と岩角につかまりながら6〜7m渡るところが悪かった。沢の流れまで5mくらいの高さだったので何とか通過できた。

渡渉を何度か繰り返し、沢から離れた最後の水場「力水」で休憩。七曲と呼ばれる九十九折の道で高度を上げ、草が刈り取られているなと思ったらまもなく徳本峠に飛び出した。島々宿から16km、予定より2時間ほど早く着いた。ここまで樹林帯で展望が無かっただけに、目の前に広がる明神と西穂〜前穂の岩峰群は見事な眺めだった。

五ヶ所を太い張り棒に支えられた旧小屋の北側に新しい徳本峠小屋が建っていた。昨年8月に増築された新棟はきれいで、電気も点くようになっていた。ベンチには反対側の明神から上がってきた人たちが大勢いて、小屋前の狭いテント場は見る見るうちに一杯になり、通り抜けるのも困難なほどだ。小屋裏と合わせて30張りもあっただろうか。小屋泊まりの客は定員30名に対して35名だという。こんなに人気があるとは驚きだ。

小屋には水も電気も無いと聞いてあきらめていたのだが、冷えたビールが売られていて予想外の喜びだった。

夕食までの4時間ほどを大事に担ぎ上げた氷とウイスキーでおしゃべりと景色を楽しむ。明日の朝食は5時になるというので、朝食不要にしてもらい早立ちすることにした。私たちに割り当てられた場所は新棟2階の一番奥だったがトイレが近い場所にあるのがいい。仲間の一人が棚の上に寝場所を移したのでスペースはゆったりだった。羽毛の布団は良かったが、ダニに喰われたようだ。

7/17  徳本峠(2130m)0410――0510ジャンクション・ピーク(2428m)0520―湿地2261m―0725 K1ピーク(2590m)0740――0820霞沢岳(2646m)0840 ――0920 K1ピーク0930――1130ジャンクション・ピーク1145――1240水場1300――1415明神(1530m)1435――1510上高地1550==1630駐車広場==1740松本IC==2200高井戸IC

3時に起床すると満天の星空で月が煌煌と明るい。風もなく暖かい朝だ。ヘッドランプを点けて出発。立て込んだテントの間を縫うようにして樹林の道に入り、明神への分岐を過ぎジャンクション・ピークを目指す。ヘッドランプがいらなくなる頃から蚊の大群にまとわりつかれ煩わしいことこのうえない。トップで歩き出したつもりだったがジャンクション・ピークには先行者が5〜6人もいた。ピークは東面だけがひらけていて、八ヶ岳、南アルプスがよく見える。深い樹林の尾根の左手には乗鞍、御岳も見えてきた。

ピークからもったいなくも160m下った湿地に小さな池があり、K1ピークへの登りにかかる右手には六百山の向こうに奥穂が見える。トラロープがところどころに張ってあるK1直下の登りは傾斜が急で、ぐずぐずの岩を落とさないよう神経を使った。ピークからの展望は開け、目の前に西穂から奥穂の稜線がよく見える。陽は上から照り付け暑い。K2ピークを越えるとすぐ山頂に到着。上り下りの多い道で意外に時間をとられた。

狭い山頂には次から次へと登山者が登ってくるので、ゆっくり景色を眺めていることもできず、写真を撮って下山にかかる。山頂直下に唯一残っていた残雪をタオルにくるみ首に巻いてみると、とても気持ちいい。

K1ピークの下りあたりからK氏の顔色が冴えなくなり、ジャンクション・ピークに戻ったころには水も飲み尽くしバテ気味となった。明神へ直接降りる道を進み、登山地図に表示されている徳本峠分岐付近の水場を探したが見つからず、15分ほど下ったところで沢に出て生き返る。3名は先行して白沢出合でK氏を待ち、明神でもビール休憩。K氏にはゆっくり来てもらうことにし、観光客の間をかきわけるように上高地に向った。

バスターミナルは今まで見たことも無いほどの長蛇の列だった。好天の三連休なので当然か。タクシー乗場のほうも長い列で1時間も待ちそうに見えたので、S氏に並んでもらいK氏の到着を待つ。列はどんどん進み、はらはらするうち順番直前でK氏がたどり着いた。しっかり歩いた一日だった。

車を置いた場所までタクシーで戻り、松本IC手前のいつものラーメン屋で塩分を補給して帰京。中央道は大渋滞だった。

(菅澤 記)


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