Last Update : 2011/09/26  戻る

ノルウェーの山スキー(その6)
2011Norway北極圏Narvik


期間:2011年集合4月30日(土)Evenes(Harstad-Narvik)空港〜解散5月8日(日)Oslo空港

メンバー:岩 毅(L)、加瀬 幸男、蔵田 道子、岩 佳恵、岩 春花(全5名)

今回は、今年(2011年)5月のNorway北極圏Narvikでの山スキーについてご報告いたします。図、写真は本文のあとにまとめて配置しましたので適宜ご参照下さい。

4月30日までは各自それぞれの旅をした。簡単に紹介する。

まず私は、震災の影響でフライトが不安定なスカンジナビア航空を避けてフィンランド航空を使った。27日(水)仕事で町田の自宅から名古屋に移動、28日(木)名古屋で仕事のあとりんくう常滑のホテルに宿泊。翌29日(金)の名古屋発フィンランド航空を使いヘルシンキ経由でオスロ入り、オスロ空港そばのホテルで1泊したあと、30日(土)の朝の便でEvenes(Harstad-Narvik)空港に到着。

加瀬さんは、半年前に確保したスカンジナビア航空格安チケットを生かして、29日(金)の成田発スカンジナビア航空を使いコペンハーゲン経由でオスロ入り。オスロ空港そばのホテルで私と合流。結果的には往路復路ともスカンジナビア航空は遅れることも、まして欠航することもなく飛んだので、私も、また当初参加予定だったがフライト不安定で断念した人も結果的には取り越し苦労だったようだ。

蔵田さんは、19日(火)スカンジナビア航空を使いコペンハーゲン経由でオスロ入り。このあとオスロ、ベルゲン、トロンへイムなどを観光したのち、29日(金)オスロ空港そばのホテルで加瀬さん、私と合流。

岩 佳恵と春花は、19日(火)蔵田さんと一緒にオスロに入り、20日(水)夜のフライトでEvenes(Harstad-Narvik)空港に到着、バスでNarvikへ。Narvikの友人宅で過ごした後、30日(土)朝、Evenes(Harstad-Narvik)空港で合流。

以下、記録欄の、-はクルマ(自家用車/レンタカー/タクシー)、=バス、##は鉄道、**は空路、>>はシール登行、++アイゼン登行、〜〜は滑降、・・・は歩行を示します。記録は私の実行動時間で示します。また、図は文末17頁以下に、写真は表紙、裏表紙及び文末17頁以下に掲載します。

4/29 J-Hotel快晴805・・りんくう常滑823##830中部国際空港1040**AY080**1410 Helsinki 晴1610**AY659**1630 Oslo空港/晴1740=1800 Gardermoen Hotel Bed&Breakfast

4/30 宿/晴730=750Oslo空港900**SK4082**1025 Evenes空港/晴

4月30日(土) ロケハン 晴時々曇一時雨 図1&2、Photo1

まず、空港で予め予約しておいたレンタカー2台を受け取る。AVISで、1台は指定通りTOYOTA-RAV4 Diesel4WD、もう1台はFORD-KUGA Diesel4WDだった。タイヤはいつもと違いノーマルだったので抗議すると大丈夫だと。埒があかずAVISのスタッフの言葉を信じてノーマルで行く(結果的には問題にはならなかった)。

この日は二手に分かれて、加瀬さんと私はTOYOTA-RAV4に乗りロケハン(下見)を、女性陣はもう1台で買出しに行く。ただ、2週間振りにパパに会えた春花が、私に甘えて、パパと一緒がいいと空港で大泣きしてしまった。

このエリアはドライブだけでも絶景ポイントが次から次へと有り、ノルウェー初めての加瀬さんはかなり興味深かったかもしれない。

ロケハンしながら今年は非常に雪が多いことに興奮した。もちろん、予めNarvikスキー場の積雪量から想定はしていたが、想定以上の多さだった。これで7回目のNorway北極圏だが、こんなに雪が多いのは初めてだった。当然、このロケハンの結果、明日からの狙いの山は予定から変更することになった。夕方、これから1週間の宿となる、Narvikの東、国道E6でNarvikから道なり40kmのところBallangenにあるキャンプ場のコテージに入る(図2)(Photo1)。

コテージは寝室が1室4ベッドだったこと以外は満足だった。2室あると思っていたが1室なので、男部屋、女部屋というわけには行かず、少し不便だった。

4/30 Evenes空港/晴1200-Bogen-Astafjord-Gratangen小雨-Lapphaugen-Bjerkvik-Narvik曇-Ballangen 曇1800


5月1日(日) Litletinden/1134m 登頂 快晴 図2&3の山1、Photo2&3

この山は、その優美で純白な姿(Photo2)から、以前から登りたい山の一つだった。ただ、登山口が標高ゼロであることから名前とは異なりかなりのハードワークが期待されること、また、5月は、大概登出しは雪がなく、一部ブッシュかき分けシートラーゲンになることから登れないままだった。当然、今回も頭にはあったが計画書のリストには入れていなかった。が、昨日のロケハンの結果、今年は標高ゼロの登山口からスキーをつけて登れそうである。

さて、ノルウェー北極圏2011山行初日は、快晴。幸先が良い、が、さあ、まずどこに行くか。この運を信じて大物を狙うか、それとも、安全に行くか。コテージを出るときは後者で過去何度か経験があり標高差も800m程度で難易度も低いRundkollen(図2の山4)のつもりだった。

途中、Bjerkvikのガスステーション前の駐車場で、佳恵に、今日は快晴でしかも日曜日、Narvikは先週のイースターからずっとしぐれていたから、今日は絶対地元の山スキーヤーが入る筈。少し難しい山でもトレースがあれば、この天気なら登れるよ。だから、未だ一度もトライしたことの無い山に行こうよ、と。あっさりこの意見に乗せられてLitletindenに行くことにした。緊急対応上は、今日は佳恵は春花と一緒で十分安全に車に戻れるところで引き返すことにして、もしものときは、佳恵から連絡をしてもらうことにした。

BogenにあるLitletindenの登山口(図3のa)には昨日は車が2台いたが、今日はいない。Litletindenの奥にBlavatnhytteneという山小屋(図3のg)があるがそこには行かず日帰りだったようだ。

車を降りて、すぐスキーにシールをつけて出発。まだ完全に雪が覆っている牧場の中を行く。5月はじめにこんなに雪があるとさぞ牧畜も大変だなあと思いつつも、私はこの大雪に感謝している。先行トレース沿いに進むと時々夏道らしき案内板に出くわす。ただ、ノルウェー北極圏の山は案内板があっても人口が少ないので踏跡がかなり薄く雪がないとブッシュかき分けになることが多い(ノルウェー北極圏の山では登山道整備というのはしないようだ)。

Rogndalsvatnetのほとり(図3のb)で佳恵と春花は引き返すことにした。ここは登山口から1kmたらずのところだが深山幽谷の中の神秘の湖という雰囲気である。ここでゆっくりしたいところだが、今日は標高差1130mという大登り。先を急ぐ。標高350m付近はデブリだらけ、丁度、その途中でトレースが終わる(図3のc)。どうも昨日の車の人はここで引き返したようだ。たしかに昨日は午後雨だった。仕方が無い、ここからは完全自力だが地図読みから想定したルートを行く。やや急だがなんとかシールで台地(図3のd)にあがる。台地に上がるとその先は純白無立木の大斜面。帰りの大ダウンヒルを夢見ながらぐいぐい登る。雪崩の匂いはしない。昼すぎ、Stortinden北の肩に着く(図3のe)。ここから右に回り込んでLitletindenにつながる大斜面に入る。さきほどのStortinden北の肩で小休止中、山頂から滑ってくるパーティーを見る。Stortindenの北からDragvikaの方向に滑って行った(図3の矢印f )。

Litletindenにつながる大斜面を、さきほど滑り降りて行った地元山スキーヤーのトレースに従い登る。やはり確実に行けると判るとずいぶん気が楽になる。標高900m付近から氷河登行になる(Photo3)。まさに絶景である。Litletindenの北裾の氷河上部を回りこみ絶頂へ。山頂からは眼下にOfoten-Fjordを、また西には遠くLofoten諸島に続く白峰の峰々、北には大西洋と素晴らしい眺めである。少し遅れている蔵田さんを待って山頂でゆっくりする。目をこらすと氷河の下、純白の湖の向こうにBlavatnhytteneらしき小屋が見えた(図3のg)。体力があれば行ってみたいが、この登りに食糧寝具担いでは結構辛いかも。

蔵田さんも到着後、来た道をダウンヒル。氷河上はまあまあの雪質だったが、斜面が南面になってからはとんでもない雪質に。昨日まで1週間降った雪が今日の快晴で完璧なもなか雪となってしまった。午前中の登りでは良い雪だと思っていたが山頂でゆっくりしているうちにもなか雪に大変身。20代はじめ、雪で3日間蓮華温泉にこもったあとの快晴無風の雪倉岳登頂、山頂で4時間も休んだおかげで、もなか雪に40数回こけた記憶が蘇る。こけこそしなかったが半分以上は、大斜面を斜滑降キックターンで、思い描いていたスーパーダウンヒルとはまったく異なるシュプールに。まあ、とはいえ、3人とも無事下山。下りは大変だったが、初日からこんなビッグクライムが成功でき、とても満足な1日だった。

5/1 Ballangen710快晴-Narvik-Bjerkvik810-850Bogen5m駐車/快晴930>>Rogndalsvatnet1000>>350m1130>>1310Stortinden北の肩1330>>1450Litletinden1134m快晴1520〜Stortinden北の肩1630〜350m1700〜Rogndalsvatnet1750〜1800Bogen1815-Bjerkvik-Narvik-1945Ballangen快晴


5月2日(月) Gattercohkka/1052m 登頂 晴 図2&4の山2、Photo表紙

今日も晴れだが風が強かった。昨日の疲れが残っているのと、春花を山頂まで連れていってという佳恵の希望もあり、今日は比較的容易に山頂まで行けそうなRiksgransenのGattercohkkaに行くことにした。Riksgransenはもともと標高が高いため(約500m)あまり雪の多寡の影響を受けない。従って、この山も含めて、このエリアの山スキールートを今回数多くリストアップしていた。

昨日よりは遅めにコテージを出発し、まずはNarvik駅に向う。Narvik駅から、加瀬さんと蔵田さんは、世界的に絶景で有名なOfotenbahn(Ofoten鉄道)に乗り景色を堪能してもらった。

Riksgransenで再合流してスキー場でリフト券と昼食、行動食を買い出発。リフト券は最近日本でも多くなった自動改札式のものだが、ちゃんと登山用というリフト券があり、100SEKでスキー場のトップまでだけのリフト券があった。そのリフト券を使い、リフト2本乗り継ぎスキー場のトップへ(図4のa→b)。そして、スキー場トップからシールをつけてしばらく平行移動。多くの人は正面をシートラーゲンで登り東面の急斜面(図4のc)をダウンヒルしているが強風でアイスバーンの模様。春花を担いで急斜面のアイスバーンはちょっと辛いので、先行のシュプールがあまり無い西端から登ることにする。

かなりの下りのあと湖(Jovikvatnet)に到着。もちろん、湖は雪の下。しばらく休んだあと、湖から沢をつめてGattercohkkを目指す。今日も春花は佳恵が担いでいる。シールを効かしてぐいぐい登っていくと意外にあっさりと山頂に着く。山頂からは見渡す限りの大絶景だが真下にスキー場が見えるのはちょっと興ざめ。

下りは北面のため昨日と違い快適なダウンヒルを堪能した。眼下にフィヨルドを見ながらのダウンヒルである(Photo表紙)。スキー場トップに戻ったあと、あまりに風が強いため、雪面はカチカチ。春花をキャリアから出して滑らそうとしたが、怖がって滑ろうとはしない。仕方がなく、そのまま、担いでスキー場の中を下る。スキー場はアイスバーンで確かにちょっと怖い。が、地元の子供がスイスイと滑っている、のを見て、春花も滑るのかな、とキャリアを覗くと寝てしまっていた。春花の板も持ってきたが、ちょっと無用だった。

Riksgransenはスウェーデン。ノルウェーより物価が安く、また、ノルウェークローネ(NOK)に比べてスウェーデンクローナ(SEK)は通貨安。そこで、Narvik周辺の、多くのノルウェー人がここRiksgransenに来て買い物をする。我々もRiksgransenのスーパーでビールも含めてたくさん買出し。クルマに買い占めたたくさんの食糧を乗せてBallangenに帰る。

5/2 Ballangen晴820-855Narvik駅925-1010Riksgransen晴、スキー場下520m1130(リフト2本)1230スキー場トップ902m1245>>〜Jovikvatnet830m1315>>1400Gattercohkka1052m晴1420〜Jovikvatnet1440>>スキー場トップ1525〜スキー場下1545、Riksgransen1630-Narvik-Ballangen晴1750


5月3日(火) Stetinden/1392m 中途断念 快晴 図2&5の山3、Photo4-7

好天も今日までという天気予報のため今日は気合を入れて行く。女性陣は、今日は休養観光とのことで、加瀬さんと私だけで今日は山スキーをする。

朝7時50分、コテージを出発し、いつものようにNarvikに向う。今日はロケハンで目を付けておいたGratangenにあるLavangstinden1266mを狙う。スタートはほぼ標高ゼロ。標高200mくらいまでは林道をシートラーゲンで登る必要があるが、ロケハンのチェックでは今年は大雪のためシートラーゲンで歩く距離が短そうである。また、この山は上部が比較的穏やかな山容で天候さえ良ければ登頂できる可能性が高く、また、フィヨルドに挟まれた半島にあり、かなりの絶景も期待できそうである。というわけで、うきうきとハンドルを握る。気になるのは軽油の残量くらい、どこで、ガススタによろうかなあ、くらいだった。Narvikまでぶっ飛ばし、軽油残量から一昨日佳恵に気合をかまされたBjerkvikのガススタに寄ろうと思ったとき、ふと、あれっストックをちゃんと入れたかなあ、と、思う。

毎日夕方コテージに戻ると、スキー、ストック、スキー靴、その他山道具はすべて車から一旦出してコテージのベランダで乾かしている。朝、ばたばた出発する時、それらを車に積み込むのだが、はて、ストックを入れたかなあ?

車を路肩に寄せて確認する。ストック、ストック?あっ、2人分4本ありました。よかった、よかったと出発?と、加瀬さんが、急に「待って」と。今度は加瀬さんが何やらチェックを始めた。結果、加瀬さんのスキー靴が無い!!

スキー靴が無ければ山スキーはできません。仕方がありません。すでに時間は8時40分、ここから一旦Ballangenに戻り、再度Gratangen行こうとすると現地到着は早くても11時10分。標高差1200mを考えるとちょっと無理。目標は変えざるを得ない。

ともかくも、途中で軽油を入れてコテージに戻る。戻ると9時半すぎ。女性陣がまだ出発前で助かる。女性陣がコテージの鍵を持っていて女性陣が行った後だと加瀬さんのスキー靴をゲットするにはキャンプ場の管理人のお世話にならざるを得ず面倒だった(この1件から、このあと、鍵は共通の隠し場所を決めて、そこに置いておくことにした)。

さて、かなり時間を食ってしまい、行けるのはコテージ近隣の山。丁度計画リストにある山がコテージの背後の山、Simleflellet(Sibmulvarri)1342m。この山は数年前に佳恵とロケハンをしており、登山口には鉱山があり、標高424mの湖(Bruavatnet)まで鉱山道路がついている。この湖から山頂までは標高差900m強、途中標高差100mほどのガリーを登るところがあり、そこが難関だがそれさえ登れば登頂も可能。

ということで、すぐ、そこに向かう。

が、今度は大雪が災い。標高150m付近で大雪で鉱山道路が走れない。鉱山も大雪で稼動していないようだ。もう10時。ここからシールで登り出しても標高差は1200m以上、ちょっと厳しい。また、路肩が溶けた雪でとても緩く、とても駐車できるようなスペースが無い。仕方が無いのでここも諦める。もう時間的に今日登頂できる山は無い、ならば、山スキーでの登頂は難しいが超有名な山に行こう、ということで、ムンクの絵にもなり、また、ロッククライミングで世界的に有名なStetind(Stetinden)に行くことにする。この山は高さ1300m以上のビッグウォールで有名な山。また、ノーマルルートでも登攀道具が必要な山で、山スキーでは登頂できない。が、5月はじめはウォールにまだ中途半端に雪が残り、クライマーはだれもいなくて、ビッグウォールを望みながら静かな山スキーが楽しめそうである。幸い、コテージのあるBallangenからStetindenまではそんなに遠くない。

久しぶりに見るStetindはやはり凄い威圧感である(Photo4は登山道を少し進んだところ、図5のfから写したものである)。Stetindはこれで3回目だが晴れたのは始めて。今日は紆余曲折の末にここになったが案外良かったのかもしれない。

さて、ここも標高ゼロからの出発(図5のa)。ここはロッククライミングで有名な山でシーズンには多くのクライマーが入るのでNorway北極圏では珍しく登山道がしっかりしている。

ザックにスキー靴を入れ、サイドに板を付けて、ずっしりと重くなったザックを担いで歩き始める。北国特有の背の低い密生した木々の間を縫うように登山道を行く。標高200m付近で雪が出てきて、スキーに代える(図5のb)。ズック靴は枝にかけて干しておく。

そのまま、夏道ルートとめぼしき切り開きをシール登行する。樹林がうすくなってきて、ビッグウォールを正面とする大雪面の登行に入る(Photo5)(図5のc)。この大斜面、正面のStetindが左右に羽をひろげたようにそびえたち、まるで、バッドマンのようである。だんだんと高度感が増し、斜度も30度を超え、スキーアイゼンでは辛くなりアイゼン登行に切り替える。斜面はかなり堅く、アイゼンの刃が小気味良く効く。加瀬さんはそのパワーを生かして、急傾斜堅雪斜面をスキーアイゼンで登りきる。眼下に濃青のフィヨルドを望み結構な高度感、山スキーとしても思った以上に面白い山だ(Photo6)。

さて登り切るとそこは天上の湖Storelbvatnet(Stetindvatnet)(図5のd)。ここに来るのは1996年の秋以来15年ぶりである。もちろん、今日は湖面は純白、湖はしっかり雪の下である。時間は午後2時すぎ。湖の東南端の上部標高800m付近まで行く。1996年秋に行ったStetindの東南の肩のパス(図5のe)まで行きたいが湖面からそのパスまであまり雪がついていない。一方、湖の反対側Presttinden1336m(図5参照)の大岩壁直下の氷河(図5の氷河h)は登れそうである。この氷河を登って比較的穏やかなピーク1047m(図5の山8)に行くなら、丁度氷河が北面なので楽しい山スキーができそうである。また、この山に登れば反対側のフィヨルド(TysfjordというNorway北極圏有数の大フィヨルド)も望める大絶景が期待できる。ただ、これから、Presttinden1336mの大岩壁に陽が当たる時間になりPresttindenの稜線の大雪庇の脱落や岩壁中途からのブロック雪崩がちょっと気持ち悪そうである。しばし熟考するが結局へタレ根性が出てしまい、ここで終わりにしてしまった。これはのちのち大後悔となった。

時間は未だ午後2時半、登り250m程度なので午後3時半には1047m峰に到着できたと思われる。たしかにブロック雪崩はこわいが氷河の右端を登れば危険度もだいぶ下がると思われ、天気は快晴でまったく問題無し、今、考えても行くべきだった。あー残念。

下りはちょっと堅いがとても快適なダウンヒルが楽しめた。急斜をロングパラレルターンでがんがん滑る。しかも眼下のフィヨルドに飛び込むような豪快なダウンヒルだった。

下山後、Steindの絶景ポイントStefjordbotnen(図5のg)に寄り写真を撮る(Photo7)。

5/3 Ballangen快晴750-Narvikの先840-Narvik900/910-Ballangen940-Simlefjelletの登り口950/955-Ballangen1005-1040Steind登山口/快晴1100・・・200m点1200/1230>>++Storelbvatnet(Stetindvatnet)1420++800m点/快晴1450/1500〜〜200m点1550/1600・・・1640 Steind登山口/快晴1700-1720 Stefjordbotnen1740-Reppvik-Skarstad-Ballangen1900


5月4日(水) Rundkollen/1019m 登頂 晴 図2&6の山4、Photo裏表紙&8

天気予報では今日から(天気が)崩れるはずだったが、結局、晴れた。そろそろ、カラダがキツクなってくる。そこで、今日こそ、確実に登れる山にする。というわけで初日に登るつもりだったRundkollenに行くことにする。

出発はやや遅め。BallangenからRundkollenのあるLavangenまでは距離があるため結局登山開始は昨日と同じ時間になった。今日はほんとにカラダがだるおも状態でまったくスピードが出ない。加瀬さんにどんどん引き離される。結局、標高600m付近(図6のb)で登頂を断念。加瀬さんが、遠く頂上間近の稜線に消えて行ったのを目視で確認したのち、スキーを外して大休止。しばらく休んでいると、蔵田さんと春花を担いだ佳恵が上がってくる。佳恵は、これ幸いと春花を私に預けて、蔵田さんと一緒に加瀬さんを追って登って行く(Photo8)。あのスピードなら追いつくかもしれない。私は春花を横に置いて、もう暫く休んでから、シールを外して、下りの準備にとりかかる。

さて、スキーをつけてから、春花を載せたスキーキャリアを担ぐ。春花を担いで滑るのは1年ぶりか?今年は腰にくるので佳恵にお願いしていたツケが一気に来たかんじである。担いで登るのは2月の根子岳でもやったが、このときの下りは、春花は自力で滑って下りた。やはり担いで滑るのは登りより大変。

昨年までと違い、背中の春花は寝ることもなく、ずぅーっと話しかけてくる。「パパ、あいうの、うの、お友達はなーに?」「え?」「かきくの、くの、お友達はなーに?」「う?」・・・なんか、結構、難しい!?「パパ、すべるのうまいネ?」、「ママはすぐ転ぶから、こわかった!」なんていう、結構、面白いような怖いような話も。子供には内緒は通じず、ぜーんぶばれるので、やはり、怖い、か?とは云え、悪雪に奮闘しながらも、なんとか、背中の春花を怖がらせることなく、「パパ、スキーうまいね!」のまま、なんとか、車を置いた登山口に戻る。やれやれである。 やはり、結構、腰にくる。みんなが戻ってくるまでの1時間強、ここで、ゆったりとすごす。春花は雪原を駆け回っている。私が歩くとずぼっ、ずぼっ、とはまる雪も、春花は軽いせいか、ぜんぜんもぐらず、駆け回っている。後には、まるで、リスか兎か小動物がはねたようなランダムな足跡が残った。

さて、およそ1時間程度して、加瀬さん、蔵田さん、佳恵が戻ってきた。加瀬さんは山頂から2回も滑ったそうである。蔵田さんも佳恵も楽しいダウンヒルだったとのこと(Photo裏表紙、2頁)。良かった、良かった。

さて、このあとは、Rundkollenに登頂した加瀬さんの文を。

<以下、加瀬さんの記録文です>

早朝、宿泊地であるコテージをレンタカー2台に分乗、ルンドコーレンへ向かった。およそ出発から2時間をかけて登山口である峠に着いた。ルンドコーレンの峠(図6のa)は広大な高原の真ん中にあり、ほぼ真っすぐな道路が続いている場所で、どこが峠の最上部なのか分かりにくい。しかも駐車スペースは道路脇の両側に1,2台がやっとの場所で、数年前に同地を山スキーで訪れたことのある岩さんがいなかったらおそらく判らなかったであろう。

我々は前日までの疲労感を感じつつ身支度を整え、シールをつけて出発。この辺りはノルディックスキーの適地でもあるようで、トレースがはっきりとついている。また、スノーモービルも入っていた。おそらく夏季は湿原ではないかと思われる平地を左側に見て、林間を進んだがすぐ浅い小川に阻まれた。しかたなく、トレースを頼りに暫し林間を進むとほどなく渡れる場所が見つかり、取りつきに成功した。登りは比較的に傾斜が緩やかな斜面が続くが、途中2か所ほどキックターンをしなければならない壁があり、それを何とスノーモービルで突破しようとした跡が残っていた。2番目の壁を越すと森林限界を過ぎて、突然眺めが良くなり山頂方向が見渡せる。この辺りで体調不良の岩さんと離れ加瀬単独で山頂を目指す。雪面は緩い傾斜でシュカブラ等が全くない固く締まった平面である。晴天で風もなく、帰路の長大な滑降コースを楽しく思い描きながら山頂に着いた。広い山頂は、自然地形による大きなケルンがその目印となる。私はそのケルンの上に立ち、360度の展望でフィヨルドとノルウェーの山々を楽しむことが出来た。

帰路は固く締ったバーンを快調に滑降、壁の辺りで後から来た蔵田さんと佳恵さんと出会う。あまりにも気持ちがよかったので、もう一度登り返すことにした。おかげで2度も楽しませていただいた。樹林帯に入ると悪雪となって、そこからは怪我の無いように慎重に出発地点に戻った。(加瀬幸男)

<以上、加瀬さんの記録文でした・・加瀬さん、ありがとうございます>

下山後、Salangenの港(図6のc)からRundkollenを遠望したのち、内陸、Setermoenを経由してBallangenに戻る。途中、怪峰Istinden 1489m(図2の山7)を望んだ。この山もこのあたりでは山スキーで有名な山だがかなり手強そうだ。

5/4 Ballangen晴820-Narvik-Bjerkvik-Lavangen-Rundkollen登山口/晴1030/1100>>600m点晴1300/1330〜〜1500登山口、(加瀬)>>山頂/晴1400&1500〜〜1600登山口、Rundkollen登山口1630- Salangen1700-Setermoen-Istinden1800-Setermoen-Bjerkvik-Narvik-Ballangen晴2000


5月5日(木) Sandviksfjellet(Bihparcohkka峰)/1407m 登頂 晴時々曇 図2&7の山5
         Sandviksfjellet(Sandviktinden峰)/1543m 中途断念 図7の山9


今日は、個人としては会心の山行であるが、パーティーリーダーとしては反省の多い山行であった。それは、女性陣と加瀬さんと私が、Sandviksfjelletという同一山域にはいたが、それぞれまったくの別行動をとった1日であったことや、更に、加瀬さんは、Sandviksfjelletの最高峰Sandviktinden峰を狙って行動し、一方、私はSandviksfjelletの第2峰Bihparcohkka峰を狙って行動していたこと、そして、お互い、それを十分理解していなかったことなどである。幸い天候が安定していたため何事もおこらず無事下山できたが、一歩間違うと大変なことになっていたかもしれない。

Sandviksfjelletという山名は、日本で云えば、丹沢山、箱根山のような山域総称名であり、丹沢山の最高峰蛭ケ岳に準じるのが、Sandviksfjelletの最高峰Sandviktinden1543mで、丹沢山の玄関口塔ノ岳に準じるのが、Sandviksfjelletの第2峰Bihparcohkka1407mである。Narvikを厚木市と考えるとSandviksfjelletと丹沢山は似たような位置関係で山の大きさも同規模と云える。違うのは雪の多寡と氷河の有無くらいである。ただ、このNorway北極圏の山々は丹沢山くらいの標高、規模になると氷河がたくさん懸かる山になる。これは、やはり、日本人には驚異的に感じる。 Photo9の背後にこの山々とこの日のルートが写っている。

また、Sandviksfjelletは、昨日まで登ってきた山々と比べると一回り、いや、二回りは大きい山でもある。この点からも、実は出発前にきちんとメンバー間で打合せをしておいた方が良かった(まあ、何事も起こらなかったのではあるが・・・)。

さて前置きはこのくらいにして・・・

今日も快晴である。今日はNarvik近郊の山で、かつ、今度こそ気合を入れて登ることにする。さて、このNarvik近郊の山で今年の大雪を生かす山としてSandviksfjelletを狙うことにする。

そしてどの山頂は狙うべきか悩むところだが、北面から登ることを考えると上部の尾根部分の氷化が不安な最高峰のSandviktindenよりは、上部で氷河を登行滑降に使えるBihparcohkkaの方が良さそうであり、かつ、やはりNorway北極圏に来たからには1度くらいは豪快な氷河ダウンヒルをしたいことからBihparcohkkaにする。という思考過程をきちんと加瀬さんに伝えていなかったため加瀬さんはSandviktindenに突き進んでしまった。

ロケハン時に駐車場と登山口をきっちりと確認していたので、今朝は迷わず登山口の駐車場に着く(図7のa)。5人全員で出発するが女性陣には行けるところまでで終えて下さいと伝える。昨日と違い私の調子は良かったが、加瀬さんはもう絶好調で、どんどん引き離される。女性陣が終点とした近くに山小屋のあるところ(図7のb)ではもう加瀬さんの姿は米粒くらい。かつ、どうも加瀬さんは最高峰のSandviktindenを狙ったルートを歩んでいる。携帯もつながらず、なかば諦める。まあ、加瀬さんがSandviktindenに登るならば、それはそれで良しと。私はあくまでもBihparcohkka狙いで歩む。後で聞くと、スノーモービルの跡がSandviktindenに向ってついていて、それに誘われたのも原因とのことだった。

ところで、この山小屋はNarvikの名峰Kongsbakktinden 1558m(図7の山10)に登るための山小屋である。山名の意味は女王様の後ろ髪、山ひだの印象がこの山名である。Narvik市内から西を仰ぐとこの山を望む。今日のルートもここまでは、正面にあるKongsbakktindenに登るルートである。

ルートがKongsbakktindenと別れて、Sandviksfjelletに向い始めてからも、加瀬さんと私の間はどんどん開くばかり。昨日のこともあるので、加瀬さんもどんどん行くが、私も今日は調子が良いので、引き離されるというよりは、お互いどんどん別方向に行くというかんじになって行く。私は私で、一昨日、氷河を滑れず大後悔状態だったので氷河すなわちBihparcohkkaに向ってまっしぐら。ついに氷河湖Bihpavjavri 986mに午後1時10分に着く(図7のc)。
加瀬さんはこのときにはすでに標高1167mのGaskabeaicorru(図7のd)に着いているのが見えた。ここからSandviktindenまでは標高差380m程度。若干尾根が狭くなるが加瀬さんの実力ならば氷化さえしていなければ、かかっても2時間程度、午後3時には着ける。

私は悩む。見た目、思ったより氷河がきつく斜度30度くらいありそう。氷河の標高差は400m以上、これが全部30度だと到底登れない。一度は加瀬さんの方に行きかけるも、心の声がする。おまえ、氷河はどうしたのだ、と。結局、悩んだ末に、ともかく再度氷河湖まで滑り降りる。そして一度外したシールを付け直して、ともかく氷河の末端まで行き、この手と目で氷河にさわることにする。

純白の湖面を氷河末端に向う。湖面を静かに進む。氷河末端に到着。氷河末端はときにクレパスが空いているので細心の注意を払いながら氷河に上がる。よく見ると30度なんぞまったく無かった。あまりに標高差の大きい氷河だったため錯覚していただけだった。氷河の中に入ると斜度は20度ちょっとくらい。まったく問題無い。時間は午後2時すぎ。一昨日のことが頭によぎる。ここで止めたら、また、大後悔だと。もう登るしかない、一昨日の氷河は標高差250mだったが今日は400m。もう一歩一歩着実に行くしかない。とっておきの蜂蜜をがぶ飲みして気合を入れ直し登りにかかる。クレパスが一瞬頭をよぎる。単独行だから落ちれば終わり。が、このエリアで山スキーをするようになってもう10年、雪面を注意深く観察する。今までの経験やノルウェー人から教わったことを加味するとクレパスは大丈夫そうだ。

雪質は新雪に近い。若干ラッセルだが、幸い、体力がどこから出てくるのか足がどんどん前に出る。そのまま、長〜い長〜いジグザクでぐいぐい氷河を登る。シールだけで雪面をしっかり捉えている。昨夜降った新雪なのか標高1100m付近ではくるぶしくらいまで潜る。斜度はきつくないが今度は雪崩を注意か。雪面は安定しているようだ。気にしても仕方がない、すでに氷河をだいぶ登っている。高度計だと1250m。あともう少しである。目をこらすと稜線に上がる標高1350m付近雪庇が出ていそうである。目をこらすが、少し雲が湧いてきたため、雪面と空の境界面がぼやけて、雪庇が出ているのか、出ていないのか、わからない。弱気の虫が疼いているのか。

そこに携帯のブルブル。加瀬さんから電話だった。Sandviktindenには登らず、氷河湖のそばにいるとのこと。氷河は登らず下にいるとのこと。携帯がつながると知り佳恵に電話する。今、氷河登行中でBihparcohkkaに向っていると伝える。佳恵はもう駐車場だった。

さて、電話して落ち着いた。そのとき、再び陽が差してきて、雪庇が無いことが判る。雪庇は心の迷いの写し鏡のようなものだったのだろうか?一度は弱気になり、外したシールを付け直す。時間は午後3時半。再度登り始める。だんだんラッセルが深くなるなか稜線が近づいてくる。が、実はここからが長かった。ラッセルというよりは、もう、雪の沙漠との格闘だった。でも、それもようやく終わりが近づく。広い尾根に出る。そしてそこからはようやく山頂に着けるという安堵の心とともに足が勝手に絶頂に向って動いている。心が軽い。シールを効かせながら、午後4時、出発から7時間、Bihparcohkkaのピークに立つ。 山頂からは、眼下にOfoten-fjordを望み、遠くLofotenの山々、振り向けばNarvikの背後の山々、また目前にはKongsbakktinden。今日も絶景を堪能する。ただ、雲がだいぶ増えてきていて写真を撮るも、どうも絵はいまいちだった。

今日のハイライトはこれからだった。稜線こそもなか雪まじりだったが、氷河に入ると5月とはとても思えないスーパーパウダー。標高差300mのパウダーダウンヒル。これでもか、これでもかと、パウダーウェーデルンを満喫する。氷河上部は斜度25度+αくらい。膝下までの新深雪滑降には丁度良い斜度。最高のダウンヒルを堪能した。氷河末端標高差100mは残念ながらかなり重くなり一部もなか。それでも、山頂から氷河湖まで、今までのノルウェー北極圏山スキーで最高のダウンヒルが楽しめた。

このあと、加瀬さんとは氷河湖ではなくて、もう少し下で落ち合う。氷河湖は携帯がつながらないので、携帯のつながるところまで移動したとのこと。

標高700m付近には小動物の足跡がたくさん。昨日のことを思い出し、すぐに、これは春花の足跡と判断する。
すでに午後5時、先を急ぐ。今日はこのあとも快適滑降で無事駐車場に到着する。

あとで聞いたが、女性陣は駐車場の手前、橋をみつけるのに1時間くらい迷ったらしい。佳恵が春花を担いで渡渉しよう、と云うのを、蔵田さんが止めたらしい。結局、対岸のノルウェー人が正しい方向に導いてくれたらしい。

ノルウェーの川は氷河から流れてきていてかなり冷たい。渡渉は相当に危険な行為で蔵田さんが止めないとかなり危ないことになっていた可能性があった。今日はエキサイティングな山スキーだったが、反省の多い1日でもあった。

5/5 Ballangen快晴730-Storvatnetの奥のKongsbakktinden登山口/260m/快晴810/900>>700m/Kongsbakktinden山小屋のそば1100>>Bihpavjavri/986m晴時々曇1310/1410>>Bihparcohkka1407m曇時々晴1600/1610〜〜 Bihpavjavri1630〜〜700m1700〜〜1800登山口/晴時々曇1810-1900Ballangen


5月6日(金) Revtind/1219m 中途断念 晴のち曇 図2&8の山6

今日は、女性陣は乗馬に行くとのことで、3日同様、加瀬さんと私の2名で山スキーになる。天気は、午前中は晴れるが午後は曇で、Narvik地域西部(Ballangenも含む)・南部では雨との予報。当初、残雪は多いが規模の大きくない山が多いLofotenや、また、コテージ近場のBallangenの山に行くつもりだったが、午後、雨では二の足を踏む。北のほうはまだ天気が持ちそうな予報だったので、北方、大西洋側方面の手頃な山狙いで出発する。

実のところ、昨日の今日で、体力気力とも本日は減退気味。とても千メートルを超えるような山スキーは無理。というわけで、残雪があって手頃な山となるのだが、それに天気も加わるとなかなか良い山がない。車でドライブしていても仕方が無いので結局、次回の下見的山行となった。

RevtindはNarvikの対岸にあって、市内からも良く見える、まるで滑り台のような山容をした、山スキーにうってつけの山。ただ、その滑り台にどのように取り付くかが難しい山で現地の山スキールートガイドでは、まだ、山麓に十分雪のある3月に裏から回り込むようなルートを推奨している(図8のaからbの太点線)。その登山口(図8のa)はさすがに5月は大雪の今年でも雪は一切無し。というわけで、今日はRevvatnet(図8参照、湖)から登れないか偵察してみることにした。

Revvatnetの登山口(図8のc)は大きな駐車スペースになっている。こちらはまだ十分に雪がある(雪の少ない年は、5月、こちらも雪が無いことが多い)。湖の周囲には別荘(プライベートロッジ)がいくつもあり、週末に、ここにやってくる人が多いようである。従って、スキーやクロカン、スノーモービルとたくさんの跡がある。片道3.5kmのスキーハイクで湖に到着(図8のd)。まだ純白の湖面は茫洋とした雰囲気を醸し出している。湖の周囲には多くのロッジが建っている。今回はノルウェー人山スキーヤーと話す機会がなかったが、今日は、犬を連れたクロカンの女性と声を交わした。Revtindに行けましたか?と聞かれたので、I hope soと答えた。ニュアンスが伝わったようだった。RevvatnetからRevtindに登るには標高差100m程度の急崖を登る必要がある。見たところ、図8のXのあたりは何とかなりそうな感じではあるが、ザイルが必要かもしれない。まあ、あまり好ましいルートではないようだ。

天気予報どおり雲がだんだん厚くなってきており、様子がつかめたので、戻ることにする。まあ、次、いつ来るかは不明だが、もしかすると将来役に立つことがあるかもしれない。

帰り、Narvikの本屋による。丁度、Narvikの北、Troms(ラネージュ#313/08.3号で紹介)の最新の山スキールートガイドが売っていたので購入した。また、加瀬さんには、このエリアの地図の売場を案内する。そのあと、魚屋に行き、佳恵に頼まれた魚を買う。こちらではまだ計り売りで、佳恵の書いたメモを店員に渡して処理してもらった。

購入したTromsの山スキールートガイドは素晴らしい本で、帰国後、丹念に読みこなし、今は、次回はTromsと考えている。2012年か2013年かいずれかで行きたいと思っている。春花をもう担ぐのは難しく、このTroms山スキーは私一人で行く可能性が高いかなあ。

5/6 Ballangen晴830-Narvik-Bjerkvik-Grov晴1010-Svellen登山口1020-Grov-Revvatnet登山口/晴1040/1100>>〜〜Revvatnet曇1300/1310>>〜〜Revvatnet登山口1450/1510-Bjerkvik-Narvik曇1630/1730-Ballangen曇1810

5月7日(土) Narvikスキー場でゲレンデスキー 雨のち曇 Photo9

今日は朝から雨だったが午前10時頃には止んだ。がその後も曇で薄日が差す程度。

私は春花とコテージで留守番。佳恵は春花から開放されて、加瀬さん、蔵田さんとNarvikスキー場でゲレンデスキー(Photo9は5月3日にNarvikスキー場で写した写真)。スキー場上部は雪だったそうで、結構、新雪が楽しめたらしい。私は春花と遊んだり、帰国のための後片付けをしたりで結構忙しくしていた。足が靴擦れと豆でどうにも痛くて、もう、スキーをする気は無し。今朝の雨は、私にとっては恵みの雨だった。

夕方、初めて、キャンプ場のレストランでディナーパーティー、無事、楽しく2011Norway北極圏山スキーを終えることが出来、感謝、乾杯した。


5月8日(日) 解散・帰国 快晴

今日、また快晴となる。早朝、9日間お世話になったキャンプ場をあとにして空港へ。空港では、同じく9日間お世話になった2台の車ともさよならして帰国の途に着いた。

私はオスロ空港で別れてフィンランド航空で帰国。加瀬さんと佳恵と春花は、スカンジナビア航空で帰国した。スカンジナビア航空は心配していた欠航もなく無事スケジュール通りに飛んだ。蔵田さんは、コペンハーゲンで別れて、デンマークを旅行した。

5/8 Ballangen快晴600-Narvik-Bjerkvik-Evenes空港/快晴750、920**SK4083**1050 Oslo空港/晴1315**AY656**1540Helsinki晴1715**AY079**5/9 中部国際空港/晴825/907##937名古屋947##のぞみ314##1130東京/晴

【謝意】一緒にご同行いただいた、加瀬さん、蔵田さん、どうもありがとうございました。現地では、私のわがままや、行き届かない様々なことから、たいへんご迷惑をおかけいたしました。なんとか無事、この山スキーを終えることができたのも、加瀬さん、蔵田さんのご協力のおかげです。紙面をお借りしてあらためてお礼申し上げます。また、佳恵には、いつもながら、精神的バックアップも含めてとてもとても助けとなってもらっています。ありがとうございます。にもかかわらず、今回は春花がいる中、なかなか、以前のような満足な山スキーを楽しめる状況を作ることが出来ず申し訳ありません。春花には、いつか、ぜひ、ママやパパを超えて、世界にはばたいてくれることを期待しています。

岩 記


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