Last Update : 2011/12/14  戻る

飛騨沢・槍ヶ岳〜西鎌尾根〜笠ヶ岳


2011年10月1日〜4日

メンバー:田中秀和

<要約> 東側から眺めることが多い槍穂を、西の岐阜側から眺めたいと長年思っていた。今回、笠ヶ岳だけでは効率が悪いと思い、何時か滑りたい飛騨沢を詰めて槍へ、そして憧れの北鎌を西鎌から眺め、双六で一転し槍穂を眺めようと笠ヶ岳へ縦走した。

<行程>
10月1日:自宅 −車− 新穂高 → 白出沢出合 → 滝谷出合 → 槍平小屋(泊・L1)

 11:00県道475号線蒲田川左岸のスノーシェッドの途中にある深山荘入口看板を左折し、旅館駐車場の先にある登山者用駐車場に車を停める。ここからバスターミナルまでは約600m、直近の公共駐車場が利用できるのは冬季シーズンの12月からとのこと。

 11:30昼食、登山届けを提出。雲は多いが青空も広がり天候はまずまず良好。

 13:20白出沢出合着。穂高岳山荘への道を右に分ける。ここから穂高岳山荘までは標高差1,440mの急登であるが、8時半頃までにバスターミナルを出発できれば、夕刻には山荘には入ることも可能となる。上高地側の混雑やシャトルバス乗換えの煩わしさが解消できる等々メリットがありそう。ここから先は山道となり、前日までの雨で濡れた石や木の根が滑りやすい。

 15:00滝谷出合着。標高1,800m、夕刻になったためか雲が垂れ込めてきた。滝谷の雄滝から上は全く見えず残念。この辺りからやや高度を稼げるようになる。

 15:50槍平小屋着。標高1,990m飛騨沢U字谷の最下部に位置し絶好のキャンプサイトが広がる。しかし、07年の大晦日には泡雪崩でテント2張りが潰され4名が命を落とし、昨年2月には小屋の一部が雪崩で毀されている。共に吹き溜まりとなる奥丸山側からの雪崩であった。改修された小屋の宿泊者はツァー客十数人を含め約30人、テント場は5張りであった。

10月2日:L1 → 千丈沢乗越への分岐 → 飛騨乗越 → 槍ヶ岳山荘 → 槍ヶ岳 → 槍ヶ岳山荘 → 樅沢岳 → 双六小屋 (泊・L2)

 未明には満天の星であったが雲が動き始めている。穂高のスカイラインが影絵のように見えるが、飛騨側から見るのが初めてであり山名の同定が出来ず、小屋の人に聞いても今一納得できない。

 6:10槍平小屋発。昨日とは異なり乾いた感じの岩屑の道を快調に進む。

 6:35大喰沢出合、標高2,150m辺りからは針葉樹の高木は姿を消し、亜高山性の低灌木類が多くなる。標高2,250m付近の最終水場を越えると完全に森林限界となり展望が開ける。冬季ルートとなる奥丸山〜中崎尾根が低く見え出す。

 7:45千丈沢乗越への分岐(2,550m)着、ここには救急箱が備えらている。この頃から青空はほとんど無くガスに包まれた世界となるが、雨粒の落ちる心配は無さそうである。天気予報通り、少々冬型が強くなっている様である。

 9:10飛騨乗越(3,010m)着、9:25槍ヶ岳山荘着、早めの昼食。道中一緒になり穂先までの案内を約束した登山者を待つ。

10:10山荘発、10:30槍ヶ岳山頂着、ガスは一向に晴れる様子が無く、鉄の梯子は氷が付いていた。暫く眺望を待つが一向に晴れる様子が無い。その間、北鎌の最終コーナーとなるチムニーから2人組が登ってきた。40代と思われる彼等は、コルでキャンプし、ここまで6時間との由。10:55山荘に戻り、11:05山荘を出て西鎌尾根を下る。

12:00千丈沢乗越着、穂先と北鎌の迫力ある岩場は、カメラを構えればガスに隠れなかなか全貌を見せてくれない。

15:00樅沢岳着。相変わらず北鎌〜穂先はスッキリと晴れない。代わりに硫黄岳・硫黄尾根の赤茶けた岩肌、吹き出した硫黄の色、水蒸気の白さが周囲の山と異なり目を引いた。

15:25双六小屋着。気温は−2℃。北アの十字路に位置する小屋は登山客で賑やか、100人を超えていそう。大部屋は定員50%状態、布団1組おきに寝る。

10月3日:L2 → 弓折岳 → 秩父平 → 抜戸岳 → 笠ヶ岳山荘 (泊・L3)

 うっすらと雪が積もっていた。星は出ているがガスも出始めている。5:30の朝食前に樅沢方に登るも視界は開けず、笠ヶ岳も見え隠れの状態であった。5時頃には樅沢の頂上からは槍穂がバッチリ見えたと先行者の言、しかし、日の出は5:45頃なので写真になったとも思えない、これは出遅れた者の僻み。

 6:10双六小屋発、笠ヶ岳に向かう。ガスが簡単に晴れる様子もなく双六のピークは割愛し、笠ヶ岳山荘までの軽い行程を写真三昧で楽しむことにする。道は尾根通しに行くが、25,000分の1地形図にある小池新道の案内は無かった。もはや廃道か?

 7:30弓折岳分岐着。草紅葉や這松は霧氷の花を咲かせている。気温は未だ氷点下であろう。天気は晴れ、しかし槍穂は真っ白な雲の中。

 9:20秩父平着、カール底で風の当たらない日溜まりを選び軽めの昼食とする。

 10:30笠新道分岐着、相変わらず眺望もないので抜戸岳も割愛する。

 12:10笠ヶ岳山荘着、小屋入口の温度計はマイナス3℃、今日は終日氷点下になるそうで、小屋の水道は凍結し復旧の見込みなし。薪ストーブで暖をとり大休憩。

 14:00小屋の裏手のピークに登る。ガスが晴れるのを待つも眺望得られず、記念写真のみ撮って小屋に戻り昼寝。

 17:00夕食。月曜日にも拘わらずお客さんは多く80人程か、小屋が小さいためか大部屋は60%程度の混み具合で夕食は2回戦。“夕食後ブロッケンと槍穂が見えそうだ”との小屋番氏の声で外に出る。馬鹿チョンカメラで、ブロッケンと槍の穂先を運良くゲット。明朝の眺望が楽しみである。



10月4日:L3 → 笠新道分岐 → 杓子平 → 左俣林道登山口 → 新穂高 −車− 自宅

 今朝の気温はマイナス7℃、快晴である。日の出時刻が5:45のため5:30からの朝食時間ももどかしく、早々に飛び出す。慌てているときはミスが多い、寒さも手伝い反応の遅いデジタル式カメラに苛立つ。

 6:15笠ヶ岳山荘発。

 7:20笠新道分岐着、4日目にして得られた眺望に立ち止まること暫し。

 8:20杓子平着、笠ヶ岳ともお別れ、暫し大休憩。ここから先の眺望は諦めていたが、奥丸山から飛騨沢、南岳西側の大きなカールも見事であった。長谷川ピークもよく分かる。

 11:00左俣林道の登山口に着く。眺望に優れたルートであったが、途中に水場がないのが惜しい。ここで昼食、大休憩。

 12:30新穂高着。この温泉郷で最大という露天風呂のある佳留萱温泉に寄る。混浴のため次々にカップルで入ってくるが、此方はゆっくり出来るはずもなく早々に退散。駐車場対岸の深山荘の日帰り利用が正解か?反省。





田中(秀) 記


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