Last Update : 2012/06/15 戻る

日の出山 通矢尾根から

平成24年5月6日 天気:快晴〔下山後に激しい雷雨〕

参加者:梅原(単独)

せっかくの長い連休を、両親が20年以上前に十数個の茶箱に詰めて物置に放置していた物を、恐る恐る取り出す作業に没頭していた。朽ち果てかけた物置なので茶箱も傷みが顕著で、干からびたタンゴ虫の死骸にまみれた到底役に立たない物品を、廃棄出来るように分別した。そして僅か一日残った休日に、近場の山に行くことにした。

 天気が不安定なので、早朝出発し午前中に終了するよう心掛け、武蔵五日市駅を7時頃ジョギングで出発。今回のルートは、日の出山から流れる秋川支流・平井川と多摩川の間に延びる尾根・通矢尾根から日の出山に登り、つるつる温泉がゴールである。

 マイナーなルートも記されている、最近入手した吉備人出版「奥多摩東部登山詳細図」1:15,000が、このコースを選んだ一因である。更にルートの距離も詳細に載っているので、長距離走の練習にも重宝している。

 駅から約2kmの萱窪から自動車道と分かれ林道を登ると白山神社に至る。大きく立派な神社であった。そこから山道となり、すぐ上の奥社までは明瞭な登山道であった。

 奥社を過ぎると、懸念していたとおり様相は一変し藪が煩くなる。道を見失わないように減速した。伐採の痛々しい個所を除き、森の中の展望を得られぬ退屈を、見頃を迎えたシャガの群生が紛らわせてくれた。

標高360m辺りで、山道とほぼ平行に走るようになる林道と交差してからは、林道を辿ることにした。小さいピークをまめに踏んでいく山道は、更に荒れているに違いない。

 梅野木峠でこの日初めて登山者と出会った。これよりポピュラーな登山道である。林道と比べ登山道はキツイ。特に横棒だけ浮き上がっている木製階段は、練習不足のせいもあって、跳び越えるのに足が上がり切らず、躓きそうになった。

 日の出山に到着した時は、生憎曇ってしまい展望がなかった。山頂を越え東雲山荘へと下ると、山桜の大木が雅やかに花を咲かせていた。更に無人の東雲山荘の裏手に回れば、紅白の枝垂れ桜が新緑を背景に鮮やかであった。

 非常に沢山の登山道が錯綜しているので、金毘羅尾根には向かわないように気を付けて、滝本へと下った。次第に空が暗くなってきてもまだまだ大丈夫とは思ったが、走りやすい登山道と林道を駆け下って、つるつる温泉に11時15分に到着。浴槽に浸かって間もなく、凄まじい雷雨となった。この日は竜巻が北関東で暴れまわった日であった。

 雷雨は小半時で止み五月晴れになった。これだけ澄んだ青空は珍しい。通常なら食堂で即湯上り生ビールだが、恵まれかったゴールデン・ウィークの憂さ晴らしに、幾らか贅沢な昼食にすることにした。その後薫風の中、ほろ酔い気分で秋川沿いを散歩したら格別であろう。

 バスを武蔵五日市駅で乗り継ぎ、十里木で下車。炭火焼の黒茶屋は盛況の様子である。庄屋の豪邸を割烹として使っていて、薄暗い室内に煤けた太い柱が威厳のある雰囲気を成す。囲炉裏を前に、先付から出来たて物が順々に出てくる。メインは岩魚の炭火焼。

 大いに満足して酔い覚ましの散歩に出かけようと清算に。レジの女性が非常に美しい。大分酔っぱらっている上にさらにのぼせてしまい、出口の扉を開けた瞬間である。稲光と凄まじい雷鳴。思わず叫び声を上げてしまった。

 まだ2時半なのに空は真っ暗。やがて豪雨となった。離れで30分ほど雨宿りをして、小降りになってから傘をさして歩きだした。  先程の驟雨と違い小雨となって降り続くなか、秋川沿いの道を選んで武蔵五日市駅まで歩いた。秋川はいつもの清流と異なり、溢れるばかりの土色の濁流であった。せめて、あちらこちらに咲いて町を彩っているシャガと花水木で、憂愁を紛らわそうとした。

[タイム]
武蔵五日市駅7:00−白山神社入口(萱窪)7:15−白山神社7:35−KDDI電波塔7:45−林道に8:25−林道梅の木線起点8:50−9:30梅の木峠9:35−10:10日ノ出山10:20−10:25東雲山荘10:30−滝本不動尊11:00−10:10つるつる温泉

(梅原 記)

 


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