Last Update : 2013/02/13 戻る

ヨーロッパ・アルプス
アラリンホルン、ラッギンホルン、ナーデルホルン、
シュテックナーデルホルン、ホーベルクホルン


日時  2012年8月12日(日)〜8月25日(土)

山域 ヨーロッパ・アルプス ザース・フェー周辺

ザース・フェー

ザース・フェーだけでなくザースの谷全体で、ホテルに泊まるとロープウェイとバスの無料パスをくれる。宿泊客だけでなく、村民もパスを持っているので、乗客の大半はただで乗っている。大変うれしいことなのだが、なぜそうしているのだろうか。ロープウェイとバスだけで見ると大赤字のはずである。おそらくはツェルマットと近すぎるのが問題ではないか。私自身、これまで何度かザース・フェーに来ているが山小屋を除けば、ザース・フェーに泊まったことはない。いつもツェルマットから来て日帰りか、山小屋に泊まっている。これではザース・フェーは潤わない。三大山都にまさるとも劣らぬロケーションなのに。三大山都でさえ、ホテルの部屋から何座もの4000m峰や氷河が見えたりはしない。これができるのはザース・フェーだけだ。そこで対策が無料パスではないか。理由はともかく続いてほしいものだ。今回は私もザース・フェーに泊まってお金を落としました。

8月12日(日) 成田〜バンコク

 前回3年前のツェルマットと同じタイ航空の便を使った。TG677で成田発。

8月13日(月) バンコク〜チューリッヒ〜ザース・フェー

バンコクでTG970に乗換、13日朝チューリッヒ着。

鉄道でザース・フェーへの最速ルートはベルン、レッチュベルク新トンネル経由なのだが、それでは早く着きすぎるし、スイス中央平原は何度も通っているので、時間はかかるが、アンデルマット経由にした。

ザース・フェーのホテルはベルクハイマート、一泊朝食付きで 53フラン。ザース・フェーでも最安レベルと思う。

 まず山岳ガイド・オフィスに行く。事前に予約していた。ガイド・オフィスのツアーで、アラリンホルン一般ルートは行ったことがあるし易しくてトレーニングにならないのでホーラウプグラート(東稜)、ラッギンホルンとシュトラールホルン。プライベート・ガイドでレンツシュピッツェとナーデルグラート縦走。要するにザース・フェーで登っていない山を超大物のテッシュホルン以外あわよくば全部登ろうと言う計画である。

 しかしレンツシュピッツェはマッターホルンよりワン・ランク難しい山である。案の定、経験をきかれて、すぐには行かせてくれそうもない。予想していたことでもあり、手ごろな山から行って様子を見て、ということでまず明日アラリンホルン・ホーラウプグラートに行くことになった。

それよりも問題なのは、”Payment is cash only”と窓口の横に書いてあるではないか。これは全く想定外。カードで払うつもりだったのでcashはあまり持っていない。予定を考え直さなければ。


ザース・フェー全景


アラリンホルン、ホーラウプグラート

8月14日(火) 快晴 アラリンホルン・ホーラウプグラート

 Alpin Express駅に6:30集合、ガイドはPaLhuber Angelo、客はイタリア人二名と私。ザース・フェー売りものの氷河メトロで3500mまで上がり、スキー場とは反対側の氷河に下り、そこでハーネス、アイゼンを付けアンザイレンして出発。氷河を登ってホーラウプグラートに出る。雪稜をたどり、頂上直下は岩場で渋滞している。待ちながら見ると難所は最初のトラバースで、そこをこなせば後はステップ状で困難はない。

岩場を終え、雪上を一歩きで頂上。2mほどの岩の上に十字架がある。二十三年ぶりのアラリンホルン頂上、前回は五月だったが、こんなに岩が露出していなかったと思う。一般ルートは西面だが、西から頂上の南を通り東側に出ないと頂上に行けない。やはり前回はこんなに回り込まなかったと思う。時期の違いもあろうが、ずいぶん雪が融けて岩が露出したように思える。

頂上は狭いので西側の平地で休憩し、一般ルートを下山。全て雪の易しいルートだが、クレバスが全くないわけではない。3500mのミッテル・アラリンで四人で乾杯し展望を楽しんだ。

コース・タイム

ミッテル・アラリンの下の氷河 7:40 -> 頂上の岩場の下 9:35 -> アラリンホルン 4027m 11:15/11:20 ->頂上の西側の平地 11:25/11:40 -> ミッテル・アラリン 12:33
 
8月15日(水) 晴 ホー・ザース

無料パスを使ってバスでザース・グルント。そこからロープウェイでホー・ザース。ザース谷の4000m峰全ての写真がある遊歩道を歩いた。

8月16日(木) 午前雨のち午後曇り ハーニク〜メーリク〜ゲビドゥム

ハーニクへのゴンドラは三年前は昼休みがあったが、今年はないようだ。冴えない天気でとりあえず行ける所までと出発する。上部は雲で視界はないが、これがかえってよかった。足元にエーデルワイスを発見した。野生のエーデルワイスはそう見れるものではない。やがてある程度晴れてきてメーリクからゲビドゥムまで足を伸ばした。

夕方ガイド・オフィスに行き、明日ラッギンホルンに行くことにした。またプライベート・ガイドはcashと山の難度の関係で、レンツシュピッツェは止め、ナーデルグラートも4座の完全縦走でなく、簡略の3座往復縦走にした。

コース・タイム

ハーニク 13:52 -> メーリク 14:56 -> ゲビドゥム 15:12/15:30 -> メーリク 15:43 -> ハーニク 16:12


エーデルワイス


ラッギンホルン、一般ルート

8月17日(金) 晴 ラッギンホルン

無料パスでザース・グルントに行き、ロープウェイ駅 Saas Grund Berg bahnen に7:20集合。ガイドはAldo Lomatter、客はドイツ人Nさんとその娘のMさんと私の三人。ロープウェイを降りたホー・ザースより出発。少し下りホーラウプ氷河の下方を渡渉してトラバース。ホーラウプ氷河とラッギンホルン氷河の間の稜の手前でアンザイレン。間の稜のトラバースは、かなり高度感があり固定ワイヤもある。ラッギンホルン氷河をトラバース気味に斜上し、ラッギンホルン頂上から西への稜の南の支稜の右側へ向かう。この氷河はクレバスはなさそうだ。山行の出だしは大抵そうだが、まだ固い雪の上をアイゼンを付けず登るのは気を使う。私はザックにひっかけていたピッケルを出したが、前を行くMさんは滑ってかなり苦労していた。

 岩場に移り、ピッケルをデポし、稜に出、鞍部を通過し頂上へ。踏跡は明瞭で岩登りというより岩場の道に近い。しかし、ガイドレスでは稜に出るまでのルート・ファインディングが難しいだろう。

 頂上からはモンテ・ローザ東壁や北方のベルナーオーバーラントの展望がよい。ベルナーオーバーラントでは東のフィンスターアールホルンと西のアレッチホルンが一際高く、この二座は登るべき。同じルートを下山すると、ホー・ザースにN夫人がお出迎え。五人でホー・ザースの展望台で乾杯。Mさんは親切にも四人がドイツ語で話していることを私に英語に通訳してくれるが。

コース・タイム

 ホー・ザース 8:00 -> デポ地 9:40 -> ラッギンホルン 4010m 11:14/11:28 -> ホー・ザース 14:40
 
8月18日(土)  晴 モンテ・モロ

 バスでザース・グルント乗り換え人造湖湖畔のマットマルクに着く。湖岸の道を一時間弱で湖の最上流のディステルアルプ、ここから緩い山道、上部は岩場の道になり、二時間半で稜線つまりスイス・イタリア国境のモンテ・モロ。ここはアルプス最大モンテ・ローザ東壁の展望台である。岩場の上にマリア像があり、モンテ・ローザ東壁を望むと、イタリア側の谷底から次々雲がわいて湧いてくるので、全容は見えないが、雲の晴れ間に上部が見える。

 往路を下山して、ホテルに戻るとまもなく電話があり、ガイド・オフィスに行く。明日ミシャベル・ヒュッテに入り明後日ナーデルグラートに行くことになった。990スイス・フラン。しかしオフィスのミシェルさんはダブル・アックスで登るのでピッケルを一本しか持っていないならもう一本借りておくように言う。はて、そんなところはないはずだが。

コース・タイム

 マットマルク 9:12 -> ディステルアルプ 10:00/10:10 -> モンテ・モロ11:41/12:30 -> ディステルアルプ13:35/13:47 ->マットマルク 14:31


モンテ・モロからのモンテ・ローザ東壁


シュテックナーデルホルン頂上

8月19日(日) 晴 ミシャベル・ヒュッテ

ロープウェイでハーニク。機械力で500mかせいだが、まだ1000m登らねばならない。ディステルホルンの下で道の分岐、正確には真っすぐの道は石が積んで通行止めで、右に曲がる道にMischabel Huetteと書いてある。稜線に出ると険しい岩尾根に固定ワイヤが延々と続く。

 ヒュッテに着き、受付し、明日はナーデルグラートと言うとナーデルホルンではないかと言われた。やはり長丁場のナーデルグラートに行く人は少ないのだろう。
 夕食が始まってまもなくガイドの Kurt Arnold が来た。二十代半ばだろうか。夕食後、明日のルートを聞くと、状況によりノーマルに稜線の縦走と、ヴィントヨッホから氷河をトラバースしホーベルクホルンの雪壁の下部に出てそこを登るルートとを考えているそうだ。雪壁は55度、300m。

コース・タイム

 ハーニク 約2300m 12:55 -> 稜線 14:38/14:45 -> ミシャベル・ヒュッテ 3340m 16:23

8月20日(月) 晴 ナーデルグラート

 三時の朝食は三〜四パーティーだった。ナーデルグラートかレンツシュピッツェで、ナーデルグラートの人は四時のようだ。今回は荷物の置き方を工夫したりして、三時半に一番で小屋を出発。ヘッドライトを点け、アンザイレンせず稜の道を登る。40分弱で3600m 付近に出、アンザイレンし、アイゼンを付け、ホーバルム氷河氷河を渡り始める。クレバスのある斜面を登りヴィントヨッホに出る。二番手のパーティーは氷河の真ん中あたり、すでに二十分は差を付けただろう。

やがて夜明けとなる。ここが稜線か雪壁かルートの分岐点で、一応ピッケルは二本持ってきたが、やっぱり雪壁ルートは辞退し、ノーマル・ルートの稜線を登る。ナーデルホルン北東稜は天へ続く回廊のよう。縦走なので頂上直下で右へルートをとり、固い氷の斜面をトラバースし、雪の稜線に辿り、岩場を登って、この日最初のピークのシュテックナーデルホルン頂上 4241m。北に巨大なドームが眼前にそびえる。ツェルマットの谷の対岸に王者ヴァイスホルン。

 この先の縦走が大変だった。ギザギザの稜線は通れないし、北側は氷壁なので南側の岩場を伝って行くが、すっきりした岩登りではなく、ゴチャゴチャした所を延々と渡っていく。ようやく鞍部に出、最後の急な雪の斜面を登って二番目のピーク、ホーベルクホルン 4219m。ナーデルグラートはまだ続くのだが、今回はここまでで、往路を戻る。振り返ってみると、ナーデルはドイツ語で針の意だが、確かにとがった稜線が続いている。簡略ルートとは言っても、往復するとかなりな距離になる。ゴチャゴチャした岩場を今度は登り返しなので、労力も大きい。今日縦走したのは私だけだったようだ。シュテックナーデルホルン頂上にやっと人影が見えた。シュテックナーデルホルン頂上を再び踏んで三番目のピーク。この後は昨日ヒュッテで見かけた顔に何人か出会った。岩場を下った鞍部で休憩。

 ナーデルホルン北東稜へ戻るトラバースが青氷の急斜面で、今日の一番危険個所。ピッケルを打ち込もうとしても、固くて跳ね返され、かえってバランスを崩すもとになりかねない。北東稜に出、雪の稜を登る。頂上直下の岩場にザックとピッケルをデポし、空身で登り、ついに四番目、最後のピーク、ナーデルホルン 4327m。写真を撮り、すぐに下山、デポ地に戻り休憩。

 下山のナーデルホルン北東稜は易しいルートなので、これでピークを踏んで無事日本に帰れそうだが、日影の氷は固いので注意し、ホーバルム氷河のクレバスに気を付けて尾根に戻った。アイゼンを外し、アップザイレンし、下ってヒュッテ。

 ドリンクとケーキを楽しんでいると、ガイドが下りはあの険しい固定ワイヤの尾根ではなく、旧道があり、そちらがeasierだと言う。普通ガイドの仕事は山小屋より上なのだが、一緒に旧道を下ることにした。実際こちらも上部はやはり急だが、固定ワイヤは三〜四か所しかなく、ペンキの道標もしっかり。下部は広い斜面になるが、同じ高さで往路のルートはまだ岩尾根。昨日の通行止めの地点で合流した。なぜ、険しい所に新道を付けたのだろうか。新道は雪崩の心配だけはないだろう。

 ハーニクでガイドとまた乾杯し、ロープウェイでザース・フェーに下山。ガイドは結局ホテルまで一緒に来てくれた。

コース・タイム

 ミシャベル・ヒュッテ 3:30 -> ヴィントヨッホ 5:30/5:40 -> シュテックナーデルホルン 7:08/7:13 -> ホーベルクホルン 8:15/8:20 -> シュテックナーデルホルン 9:05/9:10 -> ナーデルホルン 10:03/10:06 -> ミシャベル・ヒュッテ 11:51/12:45 ハーニク 14:41


ナーデルグラート縦走路


ナーデルホルン頂上 背景はドーム

8月21日(火) 〜8月23日(木) 
 まだ三日あるのだが、スイス・フランcashがないので、後は無料パスを使ってのハイキング。

21日は晴、ザース・アルマーゲルからアルマーゲルホルンへの道の展望台2700mまで。

22日は晴、プラッテンからブリタニア・ヒュッテへの道でシュタインベック、シュピールボーデンでマーモットを見たのが収穫。

 23日も晴、ミッテル・アラリン展望台で見納め。
 
8月24日(金) 〜8月25日(土) 曇り一時雨 ザース・フェー〜チューリッヒ〜バンコク〜成田

 個人旅行は事が起きると自分でなんとかするしかない。空港まで行く電車を乗りちがえでもしようものなら大事なので何度も確認しながら行く。ザース・フェーからは一本早いバスでヴィスプで十分すぎる乗り換え時間。Inter City Expressに乗ると、後は快適、レッチュベルク新トンネルを抜けると右手にうっすらとアイガー、メンヒ、ユングフラウ。順調にチューリッヒ空港着。バンコクへのTG971便は空いていてよい。バンコクでTG676に乗り換え成田着。

 前回は敗退だったが、今回は予算も大分節約しながら4000m 5座登頂。新規は4座なので、アルプス4000m 24座登頂になった。

(西川 克之 記)

 


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