Last Update : 2013/04/09 戻る

羊蹄山(京極・喜茂別ルート)

【日程】2013年2月15日(金)〜17日(日) 

【山域】北海道南部 羊蹄山

【参加者】 菅澤秀秋、加瀬幸夫、田中秀和、他7名

【行程】

2月14日

 8:15羽田発にて新千歳空港に。菅澤・加瀬の両氏はバスにてニセコへ、田中は札幌の知人宅にて翌日からの自炊準備。

2月15日

 15:30アンヌプリ北斜面で足慣らしを済ませた菅澤・加瀬両氏が“京極山荘”に到着。この京極山荘は収容人員25名程で、京極コース登山口に位置する札幌山の会所有の山小屋である。名水で有名な“吹き出し公園”および隣接する日帰り温泉施設“京極ふれあい交流センター”も車で5分という好ロケーションにある。

 先着していた他会メンバーは900mラインまで偵察兼足慣らし済みとの由。大きな薪ストーブの暖かさと北の幸を肴にビールが進み、話が弾む。晩餐は寄せ鍋。札幌在住メンバ−厳選の鱈が美味い。今回の山行は2年前(2010年春)のオートルートで知り合った方のご厚意により、登山口にある山荘をベースとして利用することが出来る幸運に恵まれた。時折星が瞬く夜空を見て就寝。

2月16日

 小屋はストーブ番の努力で朝も暖かかった。外は、風弱く、5合目辺りまでのスカイラインが見えるマズマズの天候である。昼食のサンドイッチを作りつつ雑炊にて朝食。

6:45 京極山荘(450m)発。暫し平坦な雪原(芝生農地)を横切り唐松と雑木の森林帯に入る。直ぐに広葉樹林帯となり7:35ほぼ夏道通りに進み680mラインで10分休憩。標高800m付近から傾斜もきつくなりスピードも落ちる。この辺りから地元山岳会のベテランAk氏とトップを争うようになる。

9:10 1160mポイント着。この辺は岳樺の大木もあるが疎らであり森林限界が近いことを物語る。風も強くなり視界も悪い。麓から見れば笠雲が掛かっている場所にいるのであろう。Ak氏達はここから帰るという。小生等も無理は禁物!明日もあるさ!と潔く登頂を諦める。ここまで毎時280m強のペースであった。

9:40 同所より滑降開始。少し下がると風も弱まり、麓まで見える視界となる。意外と重く感じる雪質であったが一滑りで傾斜の緩くなった750mポイントに着く9:55。時折薄日の漏れる天候、時間も未だ10時前、帰るにはやはり早すぎる。

10:20 腹ごしらえし、同所より登行再開。

11:15 1160mポイント着。少々オーバーペ−スか毎時410mアップであった。

11:25 同所より滑降開始。思い通りのルートを選び山荘へ向かう。途中600m付近で小さな沢を挟んだ対岸の小尾根を登る4人パーティとすれ違う。彼等は今夜一緒になる札幌山の会のメンバーであり、翌17日には喜茂別ルートでラッセルまで率先してサポートしてくれる人達であった。

12:10 京極山荘着。車にて日帰り温泉に出掛けて汗を流し、帰路は名水をポリタンクに一杯詰め、ついでに缶ビールも補充し、山荘に帰る。

 今晩は人数も増えて11人の大宴会である。滑りを重視するならば喜茂別ルートが良いというAk氏の提案で明日の予定は喜茂別ルート6:30出発と決まる。Ak氏のグループは羊蹄山に毎月登るという目標を実践中であり、1月は頂上直下までスキーが利用できたと言う。

2月17日

 朝飯定番の雑炊の基となる前夜のトマト鍋が完売であったため、急遽インスタントラーメン+餅で朝飯となる。天候曇り、前日からの新雪は10p程度か、気温もマイナス10℃程度と大きな冷え込みもなく微風である。最長老のYy氏が本日は休養日ということであったが10名の大所帯であり出発時間が遅くなってしまった。

6:50 京極山荘下の駐車スペース発、7:05 喜茂別ルート登山口着。スコップにて道路脇に駐車スペースを確保し準備に取りかかる(標高320m)。

7:25 同所発。平坦な針葉樹林を淡々と進む。単独行の地元テレマーカーが先行し、サポートに付いてくれた若手Sk、De氏もなかなか追いつけない。

8:15 林道終点付近で衣服調整と水分補給。この位置では風弱く陽射しのある好天である。

8:20 同所発、ほぼ夏道を辿って登るが、この小尾根の右(北)側は鋭く切れ落ちている。下りの滑走時は要注意であり、尾根筋を越えてはならない。

9:35 1000mポイント着。広大な尾根が収斂してきて斜度も増し樹林も疎らとなる。札幌組のSk、De氏と私達3人以外はここから下る。ここまで時間314mアップとまずまずのペースである。

9:50 同所発、10:40標高1330mポイントにて先行のテレマーカーが鮮やかなシュプールを描いて下っていった。此処までの労を感謝し手を振る。

10:55 1330mポイント発、此処より斜度が一段と厳しくなる。遙か下方に滑走準備をしているAk氏達が見える。沢筋に入ると膝上のラッセルとなり尾根筋は這松が剥き出しとなった固いクラスト斜面となる。視界は200m程はあるが帰路の用心のため要所要所にルート旗を刺して進む。

11:30 30度を超す不安定な斜面となったため1500mポイントにてスキーをデポし、靴アイゼンに履き替える。11:50 同所発。5人が交互に先頭に立ち進むも、這松帯でのスカスカの積雪は始末が悪い。膝上まで潜り込む悪戦苦闘に息が上がる。

12:40 1670mポイントに到達。残り標高差230m弱、行程にして凡そ1時間弱であるが登頂を断念することにした。帰京便への連絡バスの刻限があり、当初より13:00にてハイクアップを終了することに決めていた。札幌組のSk、De氏を見送りデポ点へ降りる。ここまでの時間は5時間15分、毎時257mのアップである。(Sk、De氏はその後50分で登頂したとの報告がある)

13:00 1500mのスキーデポ点に戻り滑走準備。13:15 同所より滑降開始。斜度があり雪面の変化もあるため暫く慎重に下る。1300付近からは雪質も安定し、少々重さを感じる雪質ではあったが広い尾根を自在に滑る。地元テレマーカーがこの辺りから下ったことも納得できる。しかし、帰りの刻限が気になり出すと滑りに余裕が無くなるのか、只ひたすらに降り下るばかりである。滑っても滑ってもゴールが遠い贅沢な斜面、本日の標高差1350mであった。

14:00 喜茂別ルート登山口着、14:45京極山荘着。慌ただしく荷物を纏め山荘を後にする。

 京極ルートと喜茂別ルートを比べればやはり喜茂別に軍配が上がる。スケール、斜度、森林植生全て申し分ない。次回は1月中〜2月初めの最寒期にパウダーとサミットを狙い贅沢な斜面を楽しみたい。少々遠いのが難点であるが…。

(田中秀和 記)

GPSによるトレース

 


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