Last Update : 2013/08/19 戻る

笊ヶ岳 (敗退)

2013年7月6日(土)〜7日(日) 

メンバー:菅澤秀秋、S氏、K氏の3名

笊ガ岳(ざるがたけ)は南アルプスの前衛で、白峰南嶺上にある2,629mのピークである。仲間のS氏の希望で付き合ったが、簡単には登れない山であった。

7月6日  増穂IC=11:45老平登山口(490m) 12:00--14:00広河原(900m泊)

増穂ICから富士川沿いに国道52号を南下、右岸に合流する早川を渡ったところで右折して雨畑ダムに向う。隧道を出た右側に「笊ヶ岳」の看板があり、右折して集落の中の細い道を登っていくと、せまい駐車場がある。各県ナンバーが4台停まっていて、私たちの車で満車となった。案内看板には山頂まで12時間とあり、いくらなんでもそんなにはかからないだろうと思う。

歩き出してすぐ鍵のかかったゲートがあり、一般車は入れない。しばらく行くと岩をくりぬいた洞門があったが天盤が落盤していて、急いで通り抜けた。林道から山道になってすぐ、廃屋が右手にあり石垣が積まれていた。道は深い渓谷に沿って続き、遥か下を沢が流れている。

前を歩いていたK氏が突然向きを変えて私に飛びついてきた。見ると登山道を蛇がこちらに向ってくるではないか。ストックで追い払ったが、K氏が言うには「長物は全くダメ。」とのこと。

制限重量150kgと表示された鉄製の桟が5箇所にかかっていて、3名が一度に乗らないように気をつける。20mほどの吊橋はひどく揺れた。途中2箇所で右側の崖からシャワーが勢い良く落ちていたが、道幅が狭いので避けられず濡れるにまかせる。谷底との差がなくなるとそこが広河原で、下山してきたトレイルランナーと出会う。昨日までの雨で水量が多かったが岩を飛び越えてなんとか対岸に渡る。

右岸の台地に格好のテントサイトを見つけ、S氏が担いできた5人用テントを設営。このテントはワンタッチ式で一瞬で立ち上がる優れものである。多少重いのが難であるが。

裸になって沢に入り水浴を楽しみ、木陰でお待たせの宴会を始めた。冷やして持ってきたカツオのたたきが美味で、酒がずいぶんすすんでしまう。宴会の脇を3パーティー4名が下山していった。

沢筋から見上げる稜線はずっとガスの中であった。

7月7日  広河原(900m) 3:15--4:05山の神(1250m)--6:15桧横手山(2021m)--6:45 2180m地点6:50--8:00桧横手山--8:50山の神-9:20広河原10:20--11:50老平登山口15:30

夜半にテントを叩く雨の音で目を覚ましたが起きだすころにはやんでいた。

朝食もそこそこにヘッドランプを点けて歩き始める。急だけど歩きやすい九十九折の斜面を登っていくと石の祠のある「山の神」に着いた。ここから傾斜は少し緩やかになったが歩きやすいのはこのあたりまでで、1570mを越えてからワイヤーロープやウィンチが散乱するインクライン跡を辿る。2年前に歩いた和名倉山でも同じ光景が見られたのを思い出した。1900mあたりからは斜面一面をコケが覆っていてとても美しい。林相はブナと針葉樹の混在林となっている。白く透けたギンリョウソウが束になっているのを見つけた。幽霊茸の別名どおり不気味である。

この尾根は展望がほとんどなく、桧横手山も樹林の中のピークで山頂という雰囲気はまったくなく指導標だけがあった。

布引山手前の白ガレが見えたころ、左膝の痛みを感じ始めた。我慢してしばらく登ったが山頂からの下りに自信が持てない。山頂からは2000m以上も下らなくてはならない。

同行者に迷惑をかけられず、2180m地点から自分は下山することにして、二人には登ってもらう。単独の登山者二人とすれ違ったが、この山は単独で登る人が多いようだ。広河原まで二時間半をかけてだましながら下り、沢で炎症を起こしている膝を冷やしたら楽になった。

老平登山口まで戻り、二人を待っていると予想より早く下ってきた。布引山から笊ヶ岳へ続く稜線はガスと強風だったので布引山から引き返したという。次回は反対側の椹島からリベンジしたい。

(菅澤 記)

 


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