Last Update : 2013/08/19 戻る

越百山〜南駒ケ岳〜空木岳

2013年7月25日(木)〜27日(土)

メンバー:菅澤秀秋、A氏の2名 

空木岳から見る南駒ケ岳は岩の鎧をまとい、赤椰岳と仙涯嶺を従えた堂々たる山である。

2011年9月に桂小場から将棊頭山、木曽駒、空木岳まで縦走した時は、南駒ケ岳を越えて越百山までの予定であったが、下山コースのシオジ平の林道が台風で崩落していたので、やむを得ず空木岳から池山尾根を下山した。林道はその後も閉鎖されたままなので、今回は木曽側からの周回コースで行くことにした。展望はいまいちであったが見事なお花畑を堪能できて印象に残る山行となった。

7月25日  曇り

伊那ic=8:15登山口駐車場(1,080m)8:35→福栃平(1,320m)→10:10下のコル→上のコル(1,749m)→11:20御岳見晴台→水場(2,135m)→12:55越百小屋(2,340m泊)      

伊那icから権兵衛トンネルを抜けて、国道19号線を須原駅の先で左折して伊奈川ダムに向う。平日のせいか上下二段に分かれた登山口駐車場には倉敷ナンバーが一台駐まっているだけであった。

駐車場からすぐのゲート脇をすり抜け、今朝沢橋を渡ると林道が左右に分岐している。左は下山予定の金沢土場に向っている。ここは右に今朝沢沿いの林道を登る。
福栃平で北沢尾根コースと分かれて右に進み笹の道をジグザグに登って下のコルで休んでいると3人パーティが下山してきた。倉敷ナンバーの人たちで、今朝、越百山まで登ったが体が飛ばされそうなほど風が強かったので縦走を諦めて下山してきたのだという。

シャクナゲ尾根を登って上のコルを過ぎ、オコジョ平から遠見尾根を七合目の御岳見晴台に着いたがガスでなにも見えず、そのまま進んでいくと明瞭な道が左に分かれていた。標識はなにもなかったが水場だろうと見当をつけて1分ほど下るとしっかりした水場があった。越百小屋で売っているペットボトルは600円と聞いていたし、明日の駒峰ヒュッテにも水場がないので2?ほどプラティパスに補給した。

山腹を巻くように登り、シラビソの樹林を下っていくとペンキの臭いがただよい、まもなく赤い屋根の越百小屋に到着。昨日、屋根を塗り替えたとのことであった。夕食までの間、外のベンチで持参の命の水をなめながら過ごしたが、過ごしすぎて2/3ほども飲んでしまう。

最初は偏屈おやじかと思われた小屋主の伊藤氏だったが、泊り客が私たち二人だけということもあってか、また生まれ年が私と一緒だとわかってからはいっそう親しみを込めて会話が弾んだ。天気予報が悪いので予約客はみなキャンセルされたとのこと。小屋の立地は吹き溜まりにあたっていて、例年の積雪は5mほどだが今年は特に多く8mにもなったという。毎月一回は40キロの荷を背負って一人でラッセルして雪降ろしに通うのだそうだ。酷いときは入山だけで一週間かかるという。越百山の名の由来なども伺う。

通路の壁に使い込んだ二村のピッケルを見つけ、とても懐かしかった。

17時からの夕食では楽しみにしていた茶碗蒸しが無かった代わりに大盛りのおでんが出された。天ぷらも量が多くA氏に手伝ってもらった。食後にシュラフにくるまっていたらゴリゴリと大きな音がして、「コーヒーを淹れたから飲まないか」と誘われごちそうになった。

地形図や山地図に表示されている避難小屋は取り壊されて無かった。

7月26日 曇り一時晴

越百小屋(2,340m)5:50→6:40 越百山(2,613m) 6:50→8:00仙涯嶺(2,734m)→9:25南駒ケ岳(2,841m) 9:40→赤椰岳(2,798m)→11:30空木岳(2,864m) 11:45 →11:50駒峰ヒュッテ(2,825m 泊)                          

5時に朝食を済ませ、外で出発準備をしていたらまたコーヒーを淹れてくれた。

名残りをのこして小屋前から少し下り、シラビソの林を登るとまもなくハイマツ帯となり白い砂礫の越百山頂に着く。ガスが流れていて目指す南駒ケ岳方面は見えない。風があるので雨具をつけ広い尾根筋を仙涯嶺に向う。岩場とクサリ場が続いた仙涯嶺の山頂は意外にも土の平らなピークであった。

ハイマツ帯を下り、南駒の登りにかかると東側斜面にコバイケイソウの群落が現れ、さらに進むとお花畑があった。ツガザクラ、シナノキンバイ、イワカガミ、チシマギキョウ、ニッコウキスゲなど色とりどりの花が見事である。名前のわからない花もたくさん咲いていて堪能した。

三角点のある南駒の南峰で運良くガスがきれ、今回初めて展望が得られた。振り返れば越百小屋の赤い屋根と越百山から続く稜線がはっきりと見え、北には空木岳の第一ピークからドンと下ったところに木曽殿山荘が見えた。

祠のある南駒ケ岳山頂で小休止の後、赤椰岳へ向かう。コルから右下に下った台地には摺鉢窪避難小屋がある。砂交じりの道を一登りで花崗岩が立ち並ぶ空木岳到着。宮崎から来たという四人パーティが池山尾根から登ってきたほかは誰もいない。

駒峰ヒュッテに下り、残りの酒を楽しみながら当番の管理人さんとテラスで話しこむ。午後からはガスも上がり展望が利くようになった。北方には左から三ノ沢岳、木曽前岳、木曽駒ケ岳、宝剣の頭が見え、伊奈前岳に続いている。天気がよければ御嶽、乗鞍、穂高も見えるという。ヒュッテの周辺には深山猪独活(ミヤマシシウド)が咲いている。二人だけだった泊り客も寝るころには10人ほどに増えていた。

7月27日 曇り一時雨

駒峰ヒュッテ(2,825m)4:30→空木岳(2,864m)→5:40木曽殿山荘(2,440m)→7:30六合目(吊橋1,600m)7:40→8:30うさぎ平→金沢土場(四合目1,300m)→10:10登山口(1,080m)=伊那ic

ガスが濃いので日の出が近づいても暗く、ライトを点けて出発する。空木岳を越えた第一ピークのあたりから明るくなったが岩場の下りは急で濡れているので慎重に下りる。木曽殿山荘に近づくとガスの中からにぎやかな話し声が聞こえ、山荘前で大パーティが下山準備をしていたので急いで前に出た。5分も下らないうちに「木曽義仲の力水」がある。旨い水だった。

急な樹林帯をひたすら下り、六合目の吊橋で小休止。橋の下には渓流釣りの人がいた。

いったん尾根を登り返した五合目からまた急な下りとなり、うさぎ平で林道に出た。雨が降り始めたがたいしたことはなく、傘を差しながら5kmほどの林道を登山口に戻った。駐車場は40台の車で上下とも満杯であった。

三週間前に笊ヶ岳で痛めた左ひざが最後までもったので一安心だ。

(後記)

私たちが下山した翌日に池山尾根から木曽殿山荘に泊まった韓国の20人パーティが、風雨の中を宝剣岳へ向う途中で遭難し、4名の方が低体温症などで亡くなるとの報を聞いた。

(菅澤 記)

 


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