Last Update : 2013/11/10 戻る

ノルウェーの山スキー(その7)2013Norway北極圏Lyngen

今回は、今年(2013年)3月のNorway北極圏Tromso地域(図1)にあるLyngen-Alps(Lyngsalpene)での山スキーについてご報告します。



メンバー;岩 毅、岩 佳恵、岩 春花

期間;3月5日(火)〜3月12日(火)

いままでのノルウェー北極圏での山スキーは、5月連休、Narvikを中心に、行ってきたが、2004年以前によく訪れていたTromsに場所を戻し、時期も、積雪豊富な3月に行ってみることにした。今回は、9年ぶりの再訪なので、感触がつかめれば良いくらいの気持ちで行ったが、結果は、良い宿を見つけることができ、山スキールートも難易長短バラエティーに富んだ多くのルートがあることを再確認できた。そして、オーロラも堪能することが出来た。来期以降、何度か再訪を繰り返すことになるでしょう。

以下、記録欄の、-はクルマ(レンタカー、自家用車)、=バス、##は鉄道(モノレール含む)、**は空路、””はリフト・ゴンドラ、>>はシール登行、++アイゼン登行、〜〜は滑降、・・・は歩行を示します。

3月5日(火)〜6日(水) 東京→ノルウェー 図1&2
私の仕事の都合で、ノルウェーまでは、佳恵・春花と私は別フライトで移動し、6日昼、ノルウェー北極圏の最大都市Tromsoの空港で落ち合う。そのまま空港でレンタカーに乗り、佳恵と春花が前日から泊まっていたTromso市内の宿に寄り、荷物をピックアップした後、Lyngenに向った。天候は雪、道路は幸い圧雪路で助かった。レンタカーは4WDで、タイヤはスタッドレスタイヤ。ノルウェー人は北海道人同様に、片側1車線の圧雪路を時速100km/hでかっ飛ばすので、なれるまではちょっと怖い思いをする。

佳恵と春花は、6日午前中はTromso市内で地図を買ったり観光案内所で調べモノなどをしたあと、荷物はホテルに置いたまま空港に来た、とのこと。

Lyngenの宿は、Magic-Mountain-Lodgeという、ご主人が世界を旅してきたスウェーデン人、奥さんが地元のノルウェー人というカップルが、最近始めた宿。乾燥室など山スキー客向けサービスが充実していて使いやすく、食事も美味しい。この時期は、やはり、山スキー客がほとんどのようだ。
この日、深夜12時ころ、オーロラを観た。今日は、それほど鮮やかでもきらびやかでもなかった。

(毅)3/5;浜松町1924##1950羽田空港国際線、3/6;Haneda110**NH203**510 Frankfurt705**LH858**925 Oslo1145(曇)**SK4416**1335 Tromso
(佳恵、春花)3/5;Narita 1230**SK984**1605 Copenhagen /Copenhagen1710**SK462**1820 Oslo1955**SK4434**2140 Troms
(落ち合った後)3/6;Tromso空港1415(雪)-1435ホテル(荷物をピックアップ)1450-1525(雪)Breikkeidet1555(フェリー)1610Svensby-1635(雪)LyngseidetのCoopスーパー(買物)1705-1710宿/Lyngseidet

3月7日(木) Koppangsbreen氷河/500-1300m 中途断念 曇 図2

Tromso市の東方45kmのところに、フィヨルドに挟まれた、南北90km、東西18kmの細長い半島がある。これがLyngen半島(図2)ですが、この半島の中央部には、標高1500〜1800mの山脈が南北に連なり、丁度、メキシコ湾流の流れるノルウェー海からの西風をさえぎる障壁として屹立しているため、たいへん雪が多く、多くの氷河を発達させています。これがLyngen-Alps(Lyngsalpene)です。最高峰は、Jiekkevarri/1834mです。この山は「北のモンブラン」とも云われ、ノルウェーの山スキーヤーの垂涎の的でもある。この山以外にも、その特徴的地形と積雪の多さから多くの山スキールートがあり、ノルウェーはもとより、多くの国々から山スキーフリーク達が集まってきます。

Lyngen半島の中心地、Lyngseidetには、スーパーはもとより、たいがいの山スキー道具が揃う登山用品店もあり、山道具で日本から持ってくるのを忘れたものがあっても手に入れることが可能です(もちろんTromso市内のほうがもっと大きな登山用品店がありますが)。



3月7日、この日は、高曇りで、風もなかったので、かねてから気になっていたKoppangsbreen氷河に行くことにした。この氷河はこのLyngen半島の代表的氷河であり、氷河末端は標高500m程度であり、標高ゼロからの登行とはいえ、標高600-700mぐらいまでは行けるだろう、そして、楽しいダウンヒルが期待できるだろう、という目論見だった。

が、世の中、そううまくはいかない。ノルウェーの登山地図は5万分の1のため、細かい地形は略されやすく、地図読みだけでは読みきれない障害が出てくる。また、このエリアが、2月後半異様に温暖な日があったことと、その後の大雪を、もう少し、考慮に入れておけば良かった。

車をKoppangenの部落の中心部の道路の脇に止める。出発の準備をしていると、車がもう1台来た。私たちと同じような山屋服だがスキーは無い、スノーシューのようだ。ちょっと会話をした。イギリス人のようでスノーハイキングらしい。

我々は海岸沿いにKoppangsbreen氷河から流れる川の河口に向う。積雪は30〜40cm程度。このエリアにしては少ないほうだ。河口から河に沿って登る。かなり広い沢だ。はるかの板にもシールをつけているが、ビンディングがヒールフリーでないので、ちょっと辛い(その後、はるかにピッタリのヒールフリーの子供用スノーシューを購入、シーズン最後、それで山スキーをさせた⇒15頁)。

斜度の緩い登りが続くが、2kmほど進むと、だんだんと沢が狭くなってきて、標高100mで、地図には標記のない氷瀑にぶちあたる。どちらかのサイドからの高巻を考えるが、先々週までの雨のため、カッチンカッチンの青氷の上に、最近の積雪が乗っかっており、雪崩の危険性があり、本来なら斜登行で乗り切るのだろうが、今日は断念する。
周囲で昼食と雪遊びをしたあと下る。下りはかなりの緩斜面で、板の短い春花は滑りが悪く、ちょっと怒っていた。
来年再訪したい、ただし、今年同様気象状況次第だが。

3/7;宿940(曇)-1010 Koppangen1030>>1150Koppangsdalenの氷瀑(曇)1400〜1450 Koppangen1520-1540 Lyngseidet(買物)1620-1630宿(曇)

3月8日(金) Lyngseidet-Skihytta/320m 中途断念 雪 図2&3

今日は朝から雪。そこで以前に行ったことのあるSkihyttaに行ってみることにする。車でLyngseidetの住宅街の中にある登山口の駐車場に行く。駐車場からSkihyttaを示す標識に従い進む。後ろで地元の親父がそっちじゃなくて(まっすぐ南西に行くのではなくて)、一旦右に(北西に)電線に沿って行け、と、云っているが、標識と90度違うので無視したが、実は、地元の親父のほうが正しかったことが後で判る(図2)。そういえば、11年前の5月も、このSkihyttaに行くのに、登山道が錯綜していて迷ったのを思い出した。今日は、11年前とは異なり登山道はすべて雪の下で、矢印と電線と親父の声だけが道しるべとなっている。地図は5万分の1のため、昨日同様に微地形は判らず、あまり頼りにならない。ともかく、矢印の示す方向に進むも、途中からよくわからなくなり、とにかく、南西に、そして高みを狙って登る。結局2時間ほど登り、標高200mの丘のてっぺんに出る。丘の頂から雪降る中も、眺望はよく、正面に、Lyngseidetのシンボルとも云うべき、Kavringtinden/1289mとRornestinden/1041mが望め、また、Kavringtindenに行くルートの途中に、今日狙うべきSkihyttaも見えたが、そこに行くには、この丘を西に降りて、そのルートに合しないといけない。本来のルートは、どうも、今登った丘を北西側から巻いていたようだ(図2)。結局、ここで、親父が云っていたことが正しかったことが判った。

もう正午、雪も強くなってきたし、春花はもう滑りたそうにしていたので、ここで昼食にして、戻ることにする。昼食を食べていると昨日会ったイギリス人グループが私たちのラッセルのあとをついてきた。彼らもSkihyttaを狙っているとのこと。ここを西向きに降りて、見えているシュプールに合すれば行けると答えると、丁寧に感謝され、ラッセルのお礼も頂いた。やはりイギリス人は紳士だった。

昼食を食べ終え、やや北寄りに、Skihyttaと町を結ぶルートに向かって滑降する。今日は昨日と違い斜度もあり、また、適度に樹林があり、雪崩のおそれもなく、そして。昨夜からの雪のため、ふわふわの乾燥新雪で、春花も楽しそうにスイスイ滑っている。雪質が良いと、たとえ雪が深くても、春花でもスイスイ滑れるようだ。あっと云う間に、Skihyttaからのルートに出る。しっかり、切り開きになっていて判り易い。切り開きのルートに従い滑ると、じきに電線にぶつかる。電線沿いに、右に曲がればすぐ駐車場だった。

結局、駐車場からは、はじめ電線沿いに北西に行き、すぐ、切り開きルートが左に見えるので、切り開きルートに入り、ルート沿いに南西方向に行けば良かったわけだ(図2)。来年は間違えないようにしよう。
今日は深夜、素晴らしいオーロラを見ることができた。10年前Lofotenで観たのと同じくらい素晴らしいオーロラだった。頭上を舞うように踊るように乱舞する凄いオーロラ。春花も目を輝かせていた。気温はマイナス16.5℃、深夜12時、寒くて眠いけど、素晴らしいオーロラだった。翌日、宿のゲストノート1頁いっぱいに、春花が、このオーロラの絵を描く。子供心にかなり強い印象を受けた様子。みんなのノートを1頁も使ってしまい、ごめんなさい、と宿の奥さんに謝りに言ったら、こんな素晴らしい絵をありがとうと、逆に感謝されてしまった。

3/8;宿940(雪)-1000 Lyngseidet-Skihytta登山口1010>>1210標高200mの丘の頂1240(雪)〜〜1300登山口-Lyngseidet(買物)-1400宿(雪)



3月9日(土) Russelvfjellet/794m 中途断念 曇 図2

今日は曇。明日は帰るので、下見も兼ねて、Lyngen半島の北端のRusselvfjellet/794mに行ってみることにした。半島の北端は、瀬戸内海のように近くに多くの特徴的な島々が望め、素晴らしい景観が期待できる。そして、瀬戸内海とは異なり、どの島も素晴らしい山スキールートを持っている。

宿を、いつものように、朝、車で出発する。今日は1時間以上のロングドライブになる。圧雪路をSvensbyまではTromsoに向う道を行き、Svensbyから半島の北端まで走る。途中猛吹雪になるも半島の北端Russelvnesetに着くと雪は止み、遠くの島々もよく望めるようになる。ここは北緯70度、北の青い海に奇岩奇勝、登らずとも絶景である。

はじめ牧場の中、広々とした場所を登る。牧場を過ぎると疎林から大雪原へと変わる。春花は、今日は少しぐずってる様子。やはり、ヒールフリーでないと難しいようだ。天候もあまり良くないので、山頂まで、どのようなルートが続くのか見極められるところまで行き戻ることにした。標高300m程度の丘にあがり、様子を見る。大雪原を回る込むように、山頂までルートが続いている。ぜひ来年こそ、行きたい場所だ。

帰り道、車窓から、すばらしいシュプールのあとを見た。Sor-LenangenからBjorndalenを経由してRundfjellet/764mに登るルートのようだ。ここも来年、来よう。宿題がたくさんあって、来年以降が愉しみである。

3/9;宿930(曇)-1100 Russelvneset1115(曇)>>1255標高300m付近の丘1315(曇)〜〜1330牧場(標高160m)1345〜〜1400 Russelvneset1420(曇)-1600宿

3月10日(日)〜12日(火) Lyngen→Tromso(ゲレンデスキー)→オスロ→東京

今日は朝から雪。天気が良ければSkihyttaに行こうと思ったが、明日帰国ということもあり、まずは、吹雪の中、Tromsoに戻ることを最優先とすることにした。途中、何箇所かで山スキーをしている人たちを見かけた。結構な降雪、ほとんど吹雪というかんじなのだが、日曜日のせいなのか、どんどん山に入る人がいっぱいいる。前にも書いた記憶があるが、さすがに、北極探検のFridtjof Nansenや南極探検のRoald Amundsenの国だけあって、どんな天気でも、また、どんな場所にもシュプールがある国である。Tromsoに戻っても吹雪がおさまる気配がなかったが、今日のフライトはオスロ行き最終便なので、午後は、Tromsoスキー場でゲレンデスキーをする。日曜日なのでかなりの人がいる。ただ、リフトがすべてTバーリフトなのが辛い。

空港に戻ると予想通り、2時間近く遅れるとのこと。それでも、なんとか、1時間45分遅れでオスロに着いた。予期していたことではあるが、オスロ空港等での、冬季のノルウェー国内便から国際便への乗り継ぎは4時間以上間を見ておいたほうが良く、好ましくはオスロ1泊がベストといえるだろう。

翌日、行き同様仕事の関係で、私は全日空、佳恵・春花はスカンジナビア航空で帰国した。

3/10;宿/Lyngseidet1025(雪)1025-1055Svensby1115(フェリー、雪)1135Breikkeidet-1230Tromso /同Ski-Center1250(ゲレンデスキー、雪)1630-1650北方教会1740-1800Tromso空港Tromso2140**SK4437**2400 Oslo
(毅)3/11;Oslo630**LH865**840 Frankfurt1125**NH204**3/12 630 Haneda
(佳恵、春花)3/11;Oslo 1345**SK1469**1455 Copenhagen1540**SK983**3/12 1040Narita

(岩 毅 記)

 


山スキー同志会のホームページへ