Last Update : 2014/06/03 戻る

富士山(その1)


富士山・富士宮口(春スキ−)

単独

 GW山行を控え日帰りで足慣らしできる場所として、この時期の近場の富士山は有難い。25日昼に静岡県管轄のアプローチ道路が開通することを確かめ、急遽計画を立てた。富士山スカイラインは凍結危険のため夜間閉鎖、朝8時開通との触れであったので、25日夕刻入山、車中泊とした。駐車場には5〜6台が駐車。しかし、簡単なバリケードを抜けて夜半に、朝方に次々と車が登ってきた。今年は雪が多く駐車場端のフェンス付近は雪の中であり、車のテールが走行路にはみ出す。

 5時前にはすっかり明るくなったが慌てて出発する必要もない。5年前、9合目下のアイスバーンで痛い思いをしたので、下山時に雪が緩むことを念頭に、6時過ぎ最上段駐車場東端の出口付近からスタートする。駐車場もガチガチに凍っていたが、雪面も全く沈むことなくカリカリに近い。衣服調整の前に早くも2,410mにてクト−を装着する程であった。この時点で見える範囲に、スキーヤーが他に一人、登山者は単独と3人組。天気晴れ、風はややあるが絶好の登山日和となりそうである。

 順調に高度を稼ぎ、七合目でテント泊した二人組に挨拶、彼らは2週間後のマッキンリーに備え足慣らしとの由。ここから板を担ぐことにする。これより上のアイスバーンで風が強くなると靴アイゼンに履き替えるのも苦労が伴う。今日もこれより上でガスに巻かれることが多くなる。8合目を過ぎると雪面の荒れ模様が目立つ。夏道のルートは踏み跡、崩れ落ち落ちた雪氷塊、そして気温の乱高下に起因したと思われる氷筍(氷柱を逆さにしたような)、そして露出した岩も意外と多く、とてもスキーで降りられる状態ではない。少々不安はあるが、剣ヶ峰寄りの斜面は荒れてはいないとの期待、頂上から板で降りたい一心で登り続ける。

 山頂神社にもテント泊の単独行者が居たが彼の目的はアクリメーションか。お鉢の中は以外にもパウダーであった。残念であるが一人だけで降りる余裕はない。のんびり時間をつぶす間に多くの人が登ってきた。20人近くの中で板を持ち上げたのは小生一人だけ、親しく話しかけてきたオーストラリアン3人組は八合目にデポしたとのこと、スキーヤーが少なかったのは意外であった。

 ガスが晴れるのを待って滑降に移る。雪は薄く、遠目にはきれいなバーンも近づくと透明な氷筍が密生した、まるで巨大な大根おろしか山葵おろしの急斜面である。何回かターンはできたが、少し高度が下がると状況はさらに悪く、全く雪が見当たらない。ツルツルの透明な氷筍群の上ではキックターンすら怖い。転倒が命取りは勿論、板が外れても只では済まない。ビンディングをウォークモードとし、トゥ−部の固定をロックする。この100m足らずの下降に10分も要した。漸くして露出する岩も少なくなり、斜面の幅も広がったがアイスバーンに変わりはない。慎重に足休めを小刻みにとりながら9合目下(3,400m)まで降りる。この250m弱にも15分かかった。

 9合目から下は狙い通り雪が緩み快適な滑降に移れた。何せ誰も居な独り舞台である。8合目から外人3人組を探したが、彼らは夏道沿いを降りるのであろう会える訳もない。頂上を振り返って気が付いた。あの苦労したアイスバーンの写真を撮っていない!余裕がなかったことの証だ。調子の乗って滑り降り過ぎないよう、東(左)へ、東へと斜面を乗り換える。ガスで視界が遮られたため駐車場への降口を間違え、5分ほど登り返しを強いられたが9合目からは25分で降りられた。

4月25日

16:00 自宅発
18:00 新五合目駐車場着

4月26日

6:10 新五合目駐車場発
6:20 2,410m点、クトー装着
6:30 新六合
7:20〜7:40 六合五勺
8:30〜8:45 七合目、シートラーゲン
10:15〜10:20 九合目
11:00〜11:05 九合五勺
11:45〜12:45 お鉢稜線着、剣ヶ峰往復、昼食
12:45〜13:20 滑降点(3,720m)へ移動、ガス晴れ待ち
13:30〜13:35 3,640m点、板履き替え
13:50 九合目下3,400m点
14:15 新五合目(2,380m)着
15:20 新五合目駐車場発
17:30 自宅着


夏道頂上直下


下降ルート頂上直下


赤いルート

記:田中秀和

 


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