Last Update : 2014/12/22 戻る

翁山と神室岳 山形の山旅

平成26年8月21〜23日

メンバー:梅原秀一(単独) 

 関東地方を除いた全国各地、豪雨災害の深刻なこの夏であった。8月21日、北上する低気圧を懸念して出発。正午の新幹線に乗り、午後3時頃大石田駅到着。著名な銀山温泉に行くバスに乗車して10分ほどで尾花沢市役所前下車。

尾花沢は、「ヤッショウマカショ」でお馴染み花笠音頭のメッカ。この辺では最大の都市で、花笠祭には全国から見物客が大勢集まるそうである。その晩、ビジネス・ホテル風旅館・加登屋に宿泊した。2食付で8,000円。夕食に宿の若い主人がその日釣ってきた鮎の塩焼。非常に美味しかった。その他にイナゴの佃煮。初めて食したところ、味は魚の佃煮と区別はつかないけれど、足と触覚が口の中で転がるのを意識しないように努めた。

8月22日 翁山/標高1,075m 天気:晴

 翌朝、バスのダイアが遅いのでタクシーを呼んだ。高橋の集落から林道を更に4qあまり進み、未舗装の林道に入るとすぐ、タクシーの車高では厳しくなり30分ほどで下車。緩やかな登りの林道を歩くこと小一時間。林道のどん詰まりの小さな草原に翁山避難小屋がある。ここまで荒れた林道ながら、小型のジープならば入れるかもしれない。

 山道となり、ブナ林の急斜面をトラバースして小沢を幾つか越えて高度を上げて痩せ尾根に取りつくと間もなく山頂である。360度の展望を楽しんでからこの山のハイライト・南南西に延びる笹原の尾根は山百合の見頃で、夏の青空と眼下に広がる緑の山形盆地に似合っていた。この尾根をスキーで滑れば快感には違いないが、距離が短過ぎ物足りないか?

 尾根を下り切った鞍部から翁山避難小屋へ下るルートが一般的らしいが、高橋集落まで日陰が全くない林道と舗装路を1時間以上歩かねばならないので、更に尾根を進み、黒倉山を越えて吹越峠に出てから、西に尾根に沿った林道を下って、炎天を避けることにした。

意図どおり炎天を避けられはしたが、やがては通行不能になりそうな荒れた林道で、藪が非常に煩わしかった。高橋よりも2qあまり町に近い押切という集落のバス停に着いたものの、1時間半バスを待たねばならないので、タクシーを呼んで大石田駅に向かった。

大石田は、江戸時代に農作物を船で酒田まで運送する最上川の港として非常に栄えた。現在では蕎麦を観光の主力として巻返しを図っているらしく、観光案内所を兼務している駅の売店に、人気の?蕎麦屋を教えて頂いた。真夏の日差しに汗だくになり十数分歩いて着いた店は休業していた。仕方なく、駅の側のラーメン屋で(他に選択肢は殆ど無い)昼食とし、翌日の神室岳に登るべく、在来線でその日の宿泊地、山形市へと向かった。

[タイム]
未舗装林道入口より200m進んだ地点8:00−翁山避難小屋8:50−9:45翁山山頂9:50−鞍部(小屋への分岐)10:25−11:05吹越峠11:10−12:20押切バス停



8月23日 山形神室岳/標高1,353m 小雨後快晴

 笹谷峠の登り口・関沢までのバスが遅い時刻なので、山形駅前からタクシーを使った。笹谷峠まで車で入れる良い道はあるが(といっても私の拙い運転では決死の覚悟を要する狭い道路)敢えて関沢で降車した。前夜からの雨があがりつつあるなか、道路を串刺しにするような峠越えの登山道は、歩いて登る人が少ないせいか、やや荒れ気味であった。私はこのような古道も嫌いではない。

雨がすっかり止んだ頃笹谷峠に到着。駐車場には数台の車が駐車されていた。前日の翁山は山中で全く人に出会わず全山を独占したが、この神室岳は人気があるらしい。

 急傾斜の登山道をまずはハマグリ山まで登れば、山形神室岳までは展望の良い明瞭な尾根を辿るだけである。ミヤマナデシコなどの高山植物を楽しみながら、急斜面のトンガリ山を越えてからゆるゆる登って山形神室岳に到着。月山・飯豊・蔵王方面の展望が見事だ。

 往路を戻り関沢へ。登ってくる大勢の登山者とすれ違った。印象に残ったのはトンガリ山からの下降。この斜面の滑降は最高の気分と思われ、来春あたり試みたいものだ。

 山形市へのバスの便を一時間以上待たねばならない。ここは山形と仙台を結ぶ高速道のインターチェンジであるが、草叢と僅かな集落があるのみなので、時間つぶしと僅かながらもバス料金を軽減するため、数キロほど車道を歩いて下ってからバスに乗ることにした。

 全国的に悪天候に見舞われるような天気図で、実際に秋田などは交通がマヒするような事態であった。荒天だったらどの様に時間を潰すかも考慮していたところ、山形は22日に夕立があって、翌朝も愚図ついた以外は天候に恵まれた。それも日差しが辛いほどの晴天であった。非常にラッキーであった。

 今回の二つの山のうち、翁山は極めて知名度の低い山である。山形神室岳については、名前をご存知の方も多少はおられるだろう。どちらも人気ある山でない分、静かな山歩きが出来た。行列をなすパーティーに煩わされストレスが溜まるばかりでは、何のための登山か分からない。また、山スキーに適しているかを判断するのにも役立った。山形神室山ならば、楽しい山スキーが出来るに違いない。

[タイム]
関沢バス停7:45−8:25笹谷峠8:30−ハマグリ山9:00−9:30トンガリ山9:35−9:50山形神室岳10:00−トンガリ山10:20−ハマグリ山10:35−11:05笹谷峠11:10−11:35関沢バス停

記:梅原

 


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