Last Update : 2015/09/27 戻る

八海山(屏風道コース〜五竜岳〜阿寺山)


2015年9月15日(火)〜16日(水)

田中秀和(単独)

9/15 自宅 5:40 =車(圏央道・関越道経由 209km)= 8:30 二合目駐車場(465m) 9:13 >> 10:13 四合目・清滝(755m) 10:28 >> 10:57 五合目(940m) 11:06 >> 11:50 六合目(1,160m) 12:02>>12:27 七合目・ノゾキの松(1,305m) 12:40 >> 13:58 千本檜小屋(1,650m) <泊>

 少し涼しくなったので大汗をかくこともないかと八海山に出掛けた。8時過ぎ、朝日に当たり黄金色に光る稲田の上に独特の岩峰が迫ってきた。ロープウェイへの道を左に分け、日大セミナーハウス前を右折して細い坂道を登り屏風道の2合目駐車場に着く8:30。杉の大木が林立する株元の岩に沢山の石碑が祭られ、供えられ溶け固まった蝋燭の塊がここが今も霊山であることを伝える。

 尾根道の新開道は駐車場奥を右に登り、屏風道は屏風沢へと左に少し下る。直ぐに沢を渡る野猿(籠渡し)に遭遇、一度は乗ってみたいが「増水時以外は使用禁止」の注意書きに従い飛び石伝いに沢を渡る。鬱蒼とした杉林の中を登り、沢沿いに暫く進むと大日岳からの水を集めた大滝が見えるようになる。正に山全体が屏風のように迫ってくる。10:15清滝着、倒壊しかけた小さな小屋があり、巨岩の下には石碑・石像が並ぶ。雲が多くなり、峰々はガスに巻かれ始めた。

 ここから急登、鎖場の連続となる。修行のために厳しいルートを選んだのか、安全確保上から他の選択肢が無かったのか、とあれ先人は凄い!と黙々と・・・いやゼイゼイ喘いで登る。ガスが流れると雪で磨かれた青黒い岩壁に幾筋もの滝が白く掛かるのが見える。アルプスの岩肌とは異なる越後独特の光景だ。ルートの多くは低灌木に覆われ、所々に杉、松、ツガなどの針葉樹高木もあるが、左右どちらに踏み外しても一巻の終わりとなりそうだ。

 休憩時間を含めて五合目まで40分、六合目までが50分、七合目までが40分と何とか標準?コースタイムに遅れることなく歩けた。 鎖に頼らず足で登れと言われるが、此処の岩肌は円礫岩であり、摩擦係数が低い。ステップにもホールドにしても垂直に力を預けるには不安が残り、ついつい鎖を手で引っ張り、壁面に直角に足を突っ張り気味に登ることになってしい、途中で一休みすることも度々であった。(帰宅後調べてみると、此処の礫岩は2.5〜3億年前のペルム紀の付加体=海底堆積物であった。ちなみにエベレストのイエローバンドが4.6億年前の海底堆積岩)

 七合目からは屏風沢の左俣の枝沢源頭をトラバースし対岸の小尾根に取り付く。急登が一段落すると草地の稜線(c1,550m)に出た。千本檜小屋着14:00。小屋は9月半ばから週末営業のため今夜は避難小屋泊まり。今日はロケのため小屋番が居るはずだったのだが既に下山してしまった由、期待していたビールが手に入らずガックリ。

 未だ陽が高いので八ツ峰の西(北)半分<地蔵、不動、七曜、白河、釈迦>を空身で歩き時間を潰す。小屋に戻り水汲みついでに薬師岳にも足を運ぶ。ここは八ツ峰とは趣きを異にする穏やかな丘である。小さな水場は途中の最低鞍部から高倉沢側に20m程下りたところにあった。

 小屋前のベンチで雲海の向こうに越後駒ヶ岳、地蔵岳の後ろの中ノ岳を見ながら夕食タイム。明日も何とか雨が降らずに済みそうだ。今晩の同宿者は計4名。

















9/16 小屋 5:51 >> 6:31大日岳(八ツ峰・東半)6:37 >> 6:45大日岳下分岐 >>7:04 入道岳(1,778m) 7:20 >> 7:42五竜岳(1,600m) 7:47 >> 9:14 阿寺山(1,509m) >> 10:04 1,000m P(休憩) 10:10 >> 10:26 ジャバミ清水(c775m・沢筋) 10:57 >> 11:20 龍神碑(590m) >> 11:25 広堀川(ガイド図上の渡渉点) >> 11:45 中ノ沢合流点(昼食、靴擦れ手当)13:20 >> 13:30 472mP(林道屈曲点、広堀川河原) >> 13:45 広堀橋 >> 14:45 屏風口二合目駐車場 15:00 =車= 19:15 自宅 

 4:45起床、やはり山の上であり朝方はかなり冷えた(11℃)。5:50露で濡れそうなのでスパッツを付け出発。先ず八ツ峰の東半(摩利支天、剣ヶ峰、大日)を歩く。西半に較べて個々のピークが少し大きい。東には越後駒ヶ岳と中ノ岳が堂々の稜線を連ね、そのほぼ中央背後に荒沢岳の鋭鋒が見事である。いつか荒沢岳〜兎岳〜中ノ岳〜越後駒ヶ岳と縦走してみたい。

 大日岳下分岐からは緩やかな道となり、一旦北側に回り込み、これまでと質の違う硬い岩場を越える入道岳着、大休憩7:00〜7:20、八海山塊の最高峰だが10合目は先刻の大日岳である。

 ここから先は道が細くなるが、数日前であろう刈払いの手が入っていた。入道岳から見ると五竜岳はピークというより尾根の分岐点に過ぎない場所で、ここから中ノ岳への路を分ける。高低差や尾根の痩せ具合からもそこが難所であることが容易に想像できる。

 下る程に草の背丈が増すためか道の凸凹が刈払いされた草に覆われ歩き辛くなる。地図上からは快適そうな尾根道と思っていたが小さなアップダウンが意外に堪えた。9:15阿寺山着、小さな湿原を前景に越後の名山の展望台、此処からは五竜岳も入道岳の前山として納まっている。

 阿寺山からは更に難路、覆いかぶさるブッシュ、湿気た土と苔むした石、雨水に浸食された溝、それらの凹凸を覆い隠す刈払いの草々・・・両側の笹などの枝を必死に掴みながらも数回転倒尻餅。

 10:30漸くジャバミ清水という水場(沢)に着く。携帯したガイド図(2005年版)とは標高差200m以上も位置が違い、ペース配分を誤り疲れ切ったので大休憩、濡れた靴下を履き直したりの気分転換〜11:00。ここからは河原を主に歩き龍神碑にはすぐ着いてしまった(11:20)。

 この先の路も荒れていた。数年前の福島・新潟豪雨およびその後の出水騒ぎで登山道は寸断され河原歩きを強いられることが多く、石のペンキマークや渡渉点などを示すテープも少ない。昔、日高の沢を歩いた頃を思い出しながら、刈払い跡や踏みつけられた草を見つけてはホッとして進む。

 11:45無残に破壊された砂防堰堤が残る中ノ沢合流点に着く。もう先は見えたので靴を脱ぎ、汗で濡れたシャツを干し、湯を沸かしての昼食タイムとする〜13:20。ここから歩くこと10分足らずで林道に出た。広堀河原とい登山口だがそれらしき標識は見逃してしまった。更に15分程で広堀橋に着き、山口の集落を通過し、駐車場に戻り下山届投函14:45。

 駐車場で帰宅準備をしている時に新開道を下りてきた人がいた。避難小屋で同宿した妙義山麓にお住いの老夫婦だった。歳なので体力差が出難い険しいルートが好みと言う!土地柄だな?。

注意:ガイド図(昭文社・山と高原地図「越後三山」2014年版およびwebのヤマプラ版)の水場「ジャバミ清水」は標高782mとなっている。旧版(手元の2005年版)では1,000m付近に記載され、ルートは1,120m付近から沢に向かい屈曲しているがこの記述は誤りである。

記:田中(秀)










ルート図

 


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