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賤ヶ岳 琵琶湖北岸 山本山から余呉湖へ

平成28年5月22日

メンバー:梅原秀一(単独)

天気:快晴

 小谷山へのアプローチを自転車で短縮出来たうえ、河毛駅にコミュニティーバスが丁度停車していた。この日はついていた。山本山登山口迄は歩けば1時間はかかる。

バス停前の宇賀神社境内から登山道が始まる。琵琶湖はこの山本山から北方に、湖畔から急峻に隆起した山並みが続き、様相が一変する。今回はその連山を縦走して、琵琶湖北にある余呉湖まで足を延ばした。

山本山までは一気に高度を稼ぎ、その後は小さなアップダウンが続いた。奈良の「山の辺の道」を真似て、多分、古保利古墳も点在するからだろうが、「近江湖の辺の道(オウミウミノベノミチ)」と名付けている。樹林が濃いので、すぐ足下に位置するにもかかわらず、琵琶湖が姿を見せる機会は極めて少ない。その分日差しを受けず、体力の消耗は少ないけれど。

整備された自然林の中の、非常に歩きやすい登山道にもかかわらず、日曜日なのに殆ど登山者に会わないうちに、賤ヶ岳のリフトに至った。著名な古戦場だけのこともあり、東側・木之本からリフトで大勢が登って来ていた。下で催し物があったらしい。リフト降車場から標高差約50mの山頂は樹木が少なく、やっと十分な展望が得られた。琵琶湖北岸と山本山から続く連山。反対側には小さな余呉湖。当初は辿りつけるか懸念していた余呉湖まで、貸自転車とコミュニティーバスのお蔭で余裕を持って下れる。

 北山杉の巨木の森を下って余呉湖畔に立った。水上勉の「湖の琴」でこの湖を知った。水上らしい暗さ極まる悲恋物語で、情緒あふれる湖の模写に必ず訪れようと思ってから数十年近く経ってしまった。湖畔の朽ちかけた国民宿舎が、観光として振るわない様子を伝えていた。フライフィシャーがパラパラと見かけられる程度である。湖水があまり綺麗ではないことにやや落胆したけれど、殆ど人の姿のない静かな佇まいと、湖畔の寂しげな集落が気に入った。北陸線余呉駅まで、更に4qの日陰の無い道のりをこなさなければならなかったが、楽しく歩けた。

 隣の木之本駅まで電車を利用し、バスで美濃に抜ける旧脇街道を30分あまり山奥に入った杉野地区の宿に泊まった。母屋は藁葺の歴史ある重厚な建物である。

 木製の風呂で汗を流し、ビールを飲み寛ぎながら下山報告のメイルを打っていると、シャカシャカという音に気付いた。15p以上ある百足が此方に突進してきた。とっさにかわした。百足も殺気を感じたのかぴたっと前進を止め、此方の様子を窺っている。百足に噛まれると大事である。こいつと同衾したくない。ティッシュを何枚も重ねて百足を素早く捕まえ、ティッシュごと窓から外に放り出した。後ほど滋賀県で教鞭を振るっているS氏から、この地方は百足が多いことを聞かされた。そういえば平将門を討った藤原秀郷が、同じく近江の三上山で、大百足を射殺した逸話がある。私の方が殺さなかった分、武道として優れているのかもしれない。ともかく、これで安心して眠れる。

宇賀神社(登山口)11;55→山本山12:15→360mのピーク13:20→賤ヶ岳リフト13:50→14:00賤ヶ岳山頂14:05→余呉湖畔(国民宿舎)14:25→JR余呉駅15:10



梅原記

 


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