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鎌倉・衣張山と逗子・披露山

平成30年6月21日
天候:小雨後曇時々晴 梅原秀一(単独)

 鎌倉の魅力は、鶴岡八幡・建長円覚寺や銭新井弁天と長谷寺などの定番観光地よりも、切通や街外れの寺院にある。観光客の煩わしさを避けられるコースを選んだ。
 JR鎌倉駅を9時半頃下車鎌倉霊園行きバスに乗車し登山口の浄妙寺前下車。登山の前に浄妙寺を拝観。花の美しい庭園と、寺域内の洋館も趣ある(フレンチレストランでもあるが、それはまたいつか)。足利尊氏の実弟・足利直義は寺の上部の、平地に乏しい鎌倉らしく斜面をくり抜いた横穴に眠っている。世にいう「観応の擾乱」は、二人三脚で室町幕府を創設した後の兄弟の騒乱で、南朝も巻き込み全国規模で三年間続いた。最終的に直義が尊氏に降伏しこの地に幽閉されるが、一月余りで毒殺された。
 至近にある洋館・旧華頂宮邸を見学してから(庭園は公開だが邸内は非公開)、衣張山の登山道に向かった。鬱蒼とした森の中の、昨日の大雨で小沢のような登山道であった。  衣張山は標高120m。山頂から由比ヶ浜と稲村ケ崎が眺められる。優しい表情のお地蔵様が心安らかにさせてくれる。
 法性寺(質素で修行に特化した趣だった)に寄り道してから名越切通へ。古道の雰囲気が漂う鎌倉八切通の一つ(他に化粧坂(ケワイザカ)・亀ヶ谷(カメガヤツ)坂・巨福呂(コブクロ)坂・朝夷奈(アサイナ)・極楽寺坂・大仏・釈迦堂。その多くは、鎌倉幕府陥落時の激戦地。朝夷奈・化粧坂・釈迦堂もお奨め。但し釈迦堂は落石の危険あり。)
 先程の足利直義と因縁のある、護良親王の墓のある妙法寺に寄り道した。数ある鎌倉寺院の中で一番好きな寺。紫陽花と半化粧の小道から雑木林の中、急斜面を登る。歩行禁止になっているが、左隣の緑の苔むした階段撮影を目的とした拝観者が多い。
 階段を登りきった丘の上に、大塔ノ宮護良親王の墓地がある。宮は後醍醐天皇の第三子。自ら刀槍で戦った建武の中興第一功労者で、新政権では征夷大将軍に就き、尊氏を常に警戒していた。しかし後醍醐帝の寵妃・阿野廉子は自らの子(後の後村上天皇)を帝にするため、尊氏と手を結び護良親王を帝への謀反の罪に陥れた。帝は親王を捕縛させ、尊氏にその身柄を預けた。尊氏は直義に命じ、親王を鎌倉の土牢に投獄させて間もなく、北条の残党が鎌倉を攻めた。直義はどさくさの中土牢の親王を殺害した。帝の期待していた結末であろう。墓地からは由比ヶ浜の眺めが素晴らしく、ほっとした気持ちになる。
 安国論寺(文字通り、日蓮上人はこの地で「立正安国論」を執筆した)を拝観した後、自動車道を逗子方面に向かう。名越トンネルを抜けてJR線路から離れ、披露山(標高80m)に登った。鎌倉駅と逗子駅の線路の距離は僅かなものだが、海沿いに歩くと著しい起伏と湾曲があり、相当の時間と労力を要した。
 披露山は小さな動物園でもあり。眼下に高級住宅街と江の島。その向こうに富士山。この日のように、雲に霞んだ海の向こうの富士山も良いものだ。(写真添付)
山頂から自然遊歩道経由で海の家設置に忙しそうな逗子海岸に下った。海岸からJR逗子駅まで商店街を歩いた。高級邸宅街のある逗子市だが、商店街はうら寂しかった。
浄妙寺山門10:00→足利直義の墓10:15→浄妙寺山門10:30→10:35旧華頂宮邸10:45 →衣張山11:15→法性寺12:05→名越切通12:15→12:45妙法寺→13:20安国論寺13:30 →小坪トンネル13:50→14:30披露山14:40→逗子海岸14:55→15:35JR逗子駅

 


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