Last Update : 2018/08/25 戻る

ヨーロッパ・アルプス グラン・パラディゾ、モンブラン他

2018年7月6日-16日
参加者 西川、岩崎

 2018年夏のヨーロッパ・アルプス登山報告です。 シャモニをベースにイタリアのグラン・パラディゾ、赤い針峰群のクロシュ、プティ・ヴェルト、モンブラン(強風のためヴァロ小屋まで)を登りました。
 成田からジュネーブまではイスタンブール乗換、ターキッシュ・エアラインズ。ジュネーブからシャモニへはOUI BUS。登山はシャモニ・ガイド組合に頼んだが、プログラム通りの内容・日程しかやってくれないようで、状況に応じての変更はない。
 グラン・パラディゾは一般にはヴィットリオ・エマヌエレU世小屋からの往復が多いようだが、プログラムは二泊三日でチャボッド小屋からヴィットリオ・エマヌエレU世小屋への縦走。チャボッド小屋からのグラン・パラディゾの眺めは圧巻で往復より縦走が面白いので、これはよいプログラムと言える。
 モンブランは5日プログラムと4日プログラムがあり、5日プログラムは初心者を想定かガイド1人に客は2人で、3日間のトレーニングの後モンブラン一般ルート、1770ユーロ(約24万円)。4日プログラムはガイド1人に客は1人で、2日間のトレーニングの後、モンブラン三山縦走ルートも可能、2390ユーロ(約32万円)。モンブランは次々と登山客はやってくるので営業努力無用、極めて強気の料金設定と思われる。
 今回、2月に4日プログラムでコスミック小屋を予約したが、その時点でシャモニ・ガイド組合の持っている山小屋の枠の最後だった。山小屋の予約がモンブランで一番難しい問題である。このプログラムの問題は山小屋の予約の関係でアタック日が固定されていて悪天時の対応がないこと、当日天気が悪ければもうアウトである。シャモニ・ガイド組合は、遠方から大枚はたいてモンブランを登りにやってくる人の夢をかなえるために、よきに計らう考えがあるように思われない。

7月6日(金) 東京は雨 成田からイスタンブールへ
 成田をターキッシュ・エアラインズTK53便で21:25発。
7月7日(土) 快晴 イスタンブールからシャモニへ
 イスタンブールに03:35着、08:20にTK1917便に乗り換え。天気はよく機窓からマッターホルン、ヴァイスホルン、ダン・ブランシュが見えると思えば、ヴェルト、ドリュ、ミディが展開。
 ジュネーブ空港からシャモニへは何社もバスはあるが、荷物が大きいので大型バスのOUI BUSにした。到着したシャモニも快晴でモンブランがよく見える。当面しばらく天気はよいようだ。ホテルはシャモニ中心近くのモンブラン・ロッジ、戸建より少し大きいぐらいで2階以上は靴を脱いで木の狭い階段は昭和初期の日本の下宿屋のよう。部屋は3階の屋根裏で梁に頭をぶつけずに入浴するのは難しい。
 その後シャモニ・ガイド組合事務所に行ったが、明日からのグラン・パラディゾ3日間のガイドが誰なのか(自分は担当でないので)知らないと言うのには驚いた。ホテルに戻ってから通例通りガイドから電話はあった。
左:マッターホルン、ヴァイスホルン、ダン・ブランシュ  右:モンブラン
  

7月8日〜7月10日でグラン・パラディゾ 4061m
7月8日(日) 快晴 シャモニからチャボッド小屋へ
 プログラム通りガイド事務所前に10:00集合。ガイドはエリック、客は4人で私たち以外の2人はMrさん(スウェーデン)とMhさん(スコットランド、モーリシャス生)。シャモニを出発し1時間半のドライブでイタリアのポント着。ここから2時間40分の登りでチャボッド小屋。アルペンローゼ(おそらく)がたくさんだが、もう遅いのか茶色く枯れかけたのが多い。小屋からは眼前にグラン・パラディゾの大伽藍の眺めがすばらしい。
ポント1860m 11:50 -> チャボッド小屋 2750m 14:30
ポント                  チャボッド小屋
  チャボッド小屋からのグラン・パラディゾ、白いピークが主峰


7月9日(月)快晴 グラン・パラディゾ登頂、ヴィットリオ・エマヌエレU世小屋へ
 5時に出発、モレーンを突っ切ってLaveciau氷河に出、アイゼンを着けアンザイレンし、氷河を登る。傾斜は緩くクレバスも少ないが固い。Mhさんは雪山の経験が浅くザイルを体の左右に替える時、踏んだりしてスムーズでない。後ろの私はザイルを動かして助けたが、そうすると前かがみの姿勢になる。その時、彼が足の位置を替えようと後ろに大きく足を振り回したので、私の顔とニアミス。怪我はなかったがメガネに擦り傷ができた。もう数cm位置が違えばアイゼンが顔面強打になりかねず、非常に危険だった。
 頂上は岩が屹立していて渋滞なので基部をトラバースして岩の反対側を登り頂上。こちら側を登ったのは我々だけだった。
グラン・パラディゾはマドンナ・ピーク(4058m)に登る人が多いが、そこは最高点ではなくその奥のピークが4061mで最高点である。登った所はマドンナ像があり、奥のピークがわずかに高いようにみえたので、ガイドにここはマドンナ・ピークかとたずねるとHighest peakと答えた。しかし後から他の情報と合わせて考えても、やはりマドンナ・ピークだったと思われる。ガイドも当然知らないはずはないが、大きな問題ではない。
 ヴィットリオ・エマヌエレU世小屋へ下った。
チャボッド小屋 2750m 5:00-> ヴィットリオ・エマヌエレU世小屋との鞍部 8:20 -> グラン・パラディゾ 4061m 9:20/9:40 -> 頂上斜面の下の平地 10:35/10:50 -> ヴィットリオ・エマヌエレU世小屋 2732m 12:35

グラン・パラディゾ頂上
 

7月10日(火) 快晴 下山してシャモニへ
 プログラムは真っすぐ下山ではなく小屋の正面にそびえるトレゼンタ3609m に行くことになっていたが、我々は明日からモンブラン4日プログラムなので体力保存のためパス。Mrさんだけが向かったが隣のピークに行ったようで早めに戻ってきた。その後ポントに下山。2日前に出発した所とは別で、レストランで昼食を取った。シャモニへの帰り道はモンブラン南面が雄大だった。
 シャモニのガイド事務所ではまたも明日からのガイドの名はわからない。グラン・パラディゾに行ってトレーニングは十分なのでモンブランを一日早めたいと言うが小屋の予約の変更が難しいと言われる。しかし小屋に連絡して確認するわけではない。
ヴィットリオ・エマヌエレU世小屋 2732m 11:00 -> ポント 2000m 12:20
左:ヴィットリオ・エマヌエレU世小屋    右:モンブラン南面
 

7月11日〜7月14日でモンブラン4日プログラム
7月11日(水)快晴 モンブラン事前トレーニングで赤い峰針群のクロシュ 2837m
 ガイド事務所前に8:30集合。ガイドはゴールとゴメル。彼らにもモンブランを一日早めたいと言うが真剣には取り合ってくれない。どこに行くのかわからなかったが、車でプラ、ロープウェイでフレジェール、リフトでアンデックス。ここから出発して赤い針峰群の稜線の下部へ。アンザイレンして雪渓を登って稜線に出、右に少し歩いた所からクーロワールを登って、その後岩の稜線を上下、クロシュのピークで休止、少し先で稜線から下り、ラック・ブランの上方の雪渓に出た。
 ここでアップザイレンし、ガイドは何も言わなかったのでヘルメットとハーネスは付けたままこの後下山したが、外してよかった。ラック・ブランのそばを通りフレジェールへ下山。ポントではアルペンローゼは終わりだったが、ここは山一面に見事に満開だった。
アンデックス 9:30 -> 赤い針峰群の稜線の下部 10:30 -> クロシュ 3837m 12:00/12:25 -> ラック・ブランの上方の雪渓 13:00 -> フレジェール 14:45
左:クロシュ               右:ヴェルトとドリュ
 
                    クロシュ・ルート図       

7月12日(木)快晴 トレーニングでグラモンテの上部のプティ・ヴェルト 3512m
 ガイド事務所前に7:45集合。車でグラモンテ。ロープウェイで上り、外に出てアンザイレンして出発。雪面はすぐに急になり、ピッケルを突き刺して稜線に出、岩場を縦走、昨日のクロシュよりハードなルートだ。ヴェルトやドリュを間近に望むプティ・ヴェルトの頂上に登り、往路を下山。私は岩場を三回懸垂下降したが、岩崎さんは全部クライム・ダウンしたそうだ。
 明日からいよいよモンブランだが、当初予定していた三山縦走ルートはセラックが危険なため、一般ルートの往復に変更になった。しかも14日はかなり風が強い予想。
グラモンテ 3233m 9:10 -> プティ・ヴェルト 3512m 11:00/11:25 -> グラモンテ 13:25
 
 

7月13日(金) 快晴 グーテ小屋へ
 ガイド事務所前に7:30集合。車でレ・ズーシュ、ロープウェイでベルビュー、登山電車でニ・デーグルまで上がって出発。最初は広い緩やかな斜面の道から岩尾根の道を登ってテート・ルース小屋。クーロワールを越え、岩尾根の登りは難所はないが長い。新築のドーム形のグーテ小屋に到着。殺人的に混んでいるほどではない。
ニ・デーグル 2372m 8:30 -> テート・ルース小屋 3167m 11:00/11:20 ->岩尾根の3500m 12:25/12:35 -> グーテ小屋 3817m 13:50

7月14日(土) 未明強風のち曇 モンブラン、強風のためヴァロ小屋まで
 2時の朝食を早起きして待ち、準備して出発。かなりの強風、ドーム・デユ・グーテの大斜面はクレバスはほとんどないが、なぜかガイドはタイト・ビレイではなくザイルを長く延ばす。ヴァロ小屋に入り、後続のパーティも次々と入ってくる。狭いボス山稜は強風で危険なため、ここで退却になった。グーテ小屋に戻ったころには風もおさまり晴れてきたが。往路を下山、テート・ルース小屋ではここで食事しないことにしたのだが、ガイドたちはしたのだろうか、大休止になった。この日は下界も天気は不安定で夕方は雨になった。
グーテ小屋 3817m 2:45 -> ヴァロ小屋 4362m 5:00/5:30 -> グーテ小屋 6:40/7:20 -> テート・ルース小屋 9:00/9:50 -> ニ・デーグル 2372m 11:00 左: 稜線上にグーテ小屋          右: ニ・デーグル
 
モンブラン・ルート図


7月15日(日) 曇 シャモニからイスタンブールへ
 午前中はシャモニ見物と土産物購入。午後のバスでジュネーブ空港。18:20発のTK1920便に搭乗。雲ばかりで何もみえないと思ったら、サン・モリッツ北方を通過中、南側に氷河をいくつも擁する大山塊はベルニナ山群しか考えられない。
7月16日(月) 成田へ
 イスタンブールで1:40発のTK52便に乗り換え、19:10成田に到着。
西川 記

 


山スキー同志会のホームページへ