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オートルート

                         2019年 4月 6日
                         報告者 野村 勉
山  域 ヨーロッパアルプス
コース名 Haute Route(オートルート)/Chamonix→Zermatt
日  程 2019年 3月22日 〜 4月 2日
参 加 者 野村 勉(ガイド:今井 晋(48)、他の参加者:山科(68)、金森(63)、鮫島(60)、小西(68))

行動報告
3月22日(金)  天候:晴
出発日:成田11:25→15:20Amsterdam17:10→18:40Geneva→Chamonix
 Amsterdam、Genevaともに空港内に喫煙所があった。神田さんの車(VW)でChamonixに向かう、行程は1時間強。Hotel Vallee Blancheで、今後の行程について、ビールを飲みながら相談した。

3月23日(土)  天候:快晴
 Aig. Du Midiの駅で、小西さんがピッケルを落とした。Aig. Du Midi(3842)から狭い尾根をアイゼンをはいて降りた。その後、Valle Blanche〜Glacier du Tacul〜Mer de Glaceを滑った。イタリアに向かうロープウェーは、取り外されていた。途中で、シールの装着訓練と若干の登高訓練を行った。概ね北斜面なので雪質はまあまあだったが、人が多くゲレンデのような状態だった。滑走終了地点からMontenber鉄道の駅(1906)まで、500段の階段とリフトで登った。持参したピッケルが長く重いため、BDの軽量品(50cm)を購入した(約1万円)。この日のうちに、小西さんはHaute Routeを断念することを決定した。 
0323-Aiguille_du_Midi(Vallee_Blancheから)
Aiguille_du_Midi(Vallee_Blancheから)

3月24日(日)  天候:快晴
 ChamonixからバスでArgentiereに行き、ゴンドラとリフトを乗り継いだ。2本目のゴンドラは火災のため運休で、標高差700mは自力で稼がねばならない。
10:10 リフト降り場(2588)からシールで登った。
11:50 登高終了(2987)、Glacier d'Argentiere目掛けて滑り降りた。
12:20 滑降終了、Argentiere小屋目指して登った。
14:00 Argentiere小屋(2771)到着、大岩の陰で分かりにくい場所にある。 小屋着後ビールで乾杯した、つまみはチーズとソーセージ(どの小屋でもほぼ同じ)。
夕食はスープ/メイン/スイーツ、朝食はパンと飲み物(どの小屋もほぼ同じ)。
0324-Glacier_d'Argentiere(奥はMont_Dolent)
Glacier_d'Argentiere(奥はMont_Dolent)

3月25日(月) 天候:晴後霧または雲
07:30 小屋出発、氷河に降りる急斜面が硬くなっていた。
08:00 氷河に到着、Glacier d'Argentiereを滑走開始。
08:20 滑走終了、Possonのコルに向かって登った、最後はアイゼン着用。
Chardonnetのコルは、反対側で40mの懸垂下降2回とのことで避けた。
10:00 コル到着、Glacier du Tourを滑った。
10:20 滑走終了、無名のコルに向かって登った。他の参加者はキックターンに苦労していた。1人は数m流された。Tourのコルは、地元情報では最近使われていないとのこと。この間、11:00頃から霧が発生し、たまにしか眺望が得られなくなった。
15:00 コル到着、Plateau du Trientを滑った。
15:30 滑走終了、Trient小屋に向かって登った。
16:15 Trient小屋(3170)(サラダあり)到着、目印が多い小屋だが、スキー室は外。 スイスの山小屋は、基本的に入口に灰皿が設置されている。
0325-Plateau_du_Trientから
Plateau_du_Trientから

3月26日(火)  天候:快晴
 前夜に降った雪が約10cm積もり、その後の滑走は少し楽しめた。
07:30 小屋出発、Plateau du Trientを滑った。
08:00 滑走終了、Ecandiesのコル(2793)に向かって登った。この登りは完全な岩登り、私は手袋では駄目で、2回固定ロープにすがった。
08:50 コル到着、Val d'ArpetteをChampex(1498)まで滑った。上部は良い雪。
09:40 Champex到着、ここにも小規模のスキー場はある。 神田さんの車でVerbier(Le Chable)に移動し、ゴンドラ1本乗って昼食をとった。この際、預けた荷物(&小西さん)もZermattに搬送された。さらにゴンドラ1本、リフト1本、ロープウェー1本乗って、ゲレンデを滑ってMont Fort小屋(2392)に宿泊した。リーシュが引っ掛かってストッパーが曲がったが、小屋で直してもらった。ハーネスのギアラックが壊れていた、今回終了時に廃棄した。1人がMont Fort小屋にスマホを忘れた(後日判明)。
0326-Col des Ecandies
Col des Ecandies

オートルート、モンブラン山群map
 オートルート モンブラン山群

3月27日(水)  天候:快晴
05:30 小屋出発、最初はゲレンデを、Chauxのコル(2940)に向かって登った。
07:40 コル到着、雪原を滑った。
08:05 滑走終了、Mominのコル(3015)に向かって登った。
09:40 コル到着、雪原を滑った。
10:05 滑走終了、無名のコルに向かって登った。
10:40 コル到着、Prafleuri小屋に向かって滑った。
11:00 Prafleuri小屋(2624)到着。営業は3月20日頃からのようであった。 この小屋は雰囲気の良い小屋で、小屋前のベンチで少し休憩した。
11:40 沢沿いの滑走終了、Dixダムに向かって登った。
12:00 Dixダム到着、今回唯一緊張した小麦状雪の登りがあった。
12:45 ダム面に沿って、その後林道を、Pralong(1608)まで滑った。 雪は最後まであったが、途中の短いトンネルはスキーを担いだ。 Pralongは田舎風情溢れる場所だが、そこのレストランで昼食をとった。 神田さんの車でArolla(2067)に移動した。Hotel du Glacierに宿泊。 Arollaはホテル数軒しかないところだが、おもてなしの心を強く感じた。
0327-DixダムとPralongの教会
DixダムとPralongの教会

3月28日(木)  天候:快晴
 ホテルの主人に1.5kmほど離れたヘリポートまで送ってもらった。ヘリでPigne d'Arolla山頂直下まで行った。
08:40 ヘリはPigne d'Arolla山頂南の鞍部に降りた。
09:00 Pigne d'Arolla山頂(3790)到着、360度の眺望を楽しんだ。
09:15 滑降開始、最初は固いが、その後は滑りやすかった。
09:40 Glacier du Mont Collonに少し入ったところで滑降終了。トラバースの際にアイゼンを使用した。 この際、ピッケルを1mほど流し、アイゼンを忘れた(回収)。
11:00 Vignettes小屋(3160)の近くで休憩した。
12:20 Arollaまで、途中スキー場を横切って滑った。 Arollaにもスキーリフトはあるが、どちらかというと距離スキーが盛んなよう。別なホテルで昼食し、スキーをチューンアップしてもらった。
0328-ヘリコプター(降機後)
ヘリコプター(降機後)

3月29日(金)  天候:快晴
 前日同様、ホテルの主人にヘリポートまで送ってもらった。
08:30 Bertol小屋に向けて出発した。今日は全行程登りのみ。Bas Gl d'ArollaからMont Collonの北(取水設備あり)を回った。Plans de Bertol手前のトラバースで一時アイゼンに履き替えた。Glacier de Bertol右股を登るが、最後の急登でキックターンに苦労していた。
14:20 Bertolのコル(3268)到着、反対側の雪原にスキーをデポしてもらった。
15:00 Bertol小屋(3311)(食事は良い)到着、ほぼ垂直の鉄梯子を登った。 この小屋は、Matterhorn上部が見える素晴らしい位置にある。 一方、トイレは小屋外にあり、灰皿もなかった。
0329-Bertol小屋
Bertol小屋

3月30日(土)  天候:快晴
07:00 小屋出発、鉄梯子を降りた。
07:15 コルに降り、スキーを履いて滑走開始した。
07:30 滑走終了、Tete Blancheに向かって登った。
10:00 Tete Blanche(3707)登頂、特にMatterhornの眺望を楽しんだ。
10:20 滑走開始、Stockjigletscherをたくさんのクレバスを縫って滑った。 Zmuttgletscherに合流し、Matterhorn北壁に沿って滑った。長いトラバース滑走の後、林道を若干登り、最後はスキー場を滑った。
11:55 Furi(1867)到着。レストランで昼食後、Zermatt(1688)までスキー場を滑った。町内バスで駅前に行き、Hotel Gornergrat-Dorfに宿泊した。
0330-Matterhorn
Matterhorn

3月31日(日)  天候:晴
 Zermatt北側の街外れのヘリポートからヘリに乗った。直前に給油していた。この日は、離脱していた小西さんも参加した。
09:30 ヘリはDufourspitze(Monte Rosa最高峰)西北西の雪原に降りた。この標高は4100〜4200mで、山頂までは500mほどの標高差がある。最初から最後までほぼ固い雪だったが、たくさんのクレバスを縫って滑った。Gornergletscher右股に入り、Monte Rosa小屋の下を通った。その後しばらくは平坦な大雪原を滑った。Riffelhorn近くの喉状の部分は、雪はつながっていたが、危険地帯だった。確保用支点(穴の傍の通過用)や大岩の上の板(急傾斜)があり、何とか通過した。
13:20 Furi到着、前日同様Zermattに戻った。
0331-Gornergletscherの喉部とLiskamm
0331-Gornergletscherの喉部とLiskamm

オートルート、ヴァリス・アルプスmap
 オートルート ヴァリス・アルプス

4月1日 (月)  天候:晴
出発日:Zermatt5:37→6:46Visp7:06→9:39Geneve Aeroport(サマータイム) Geneva11:55→13:40Amsterdam14:40→
 日の出(7時頃)後は景色を楽しんだ。Visp駅にも喫煙所があった。電車はあまり混んでいなかったが、Vevey-Lausanne間は立っている人もいた。乗換時間1時間はかなり短いように感じていたが、それほど厳しくなかった。

4月2日 (火) 
8:40成田着、同行者の大型スキーケースが着いていなかった。

【反 省 点】
・ 今後の降雪次第という部分はあるが、最適な時期と感じた。
・ 同じルートの行程跡が多く、降雪がなければ迷う心配はほぼなかった。
・ 怖い箇所はなかったが、冬山登山の基礎と、荒れた雪面を長く滑る技術は
必要。
・ 数ヵ所でガイドに確保されたが、個人的には確保の必要はなかった。
・ ほぼ汗をかかないほどにゆっくりと、かつ緩斜面になるように登った。
・ 滑るラインもかなり緩めで、滑走可能な部分を斜滑降していた。
・ クレバスは近くにあったが、落ちそうな気配はまったくなかった。とにかく天候に恵まれたのは幸運だった。
・ 寒いと感じたのは、日の出前の行動時とMonte Rosaでヘリから降りたときのみ。
・ 日が当たっている限り、実際の温度(最低−20℃)にかかわらず暖かかった。
【取得技術】
シールを丸める収納方法→接着面が早く傷むリーシュを利用した簡易的なスキーを担ぐ方法

 


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