Last Update : Jun 30, 1997  戻る  

ら・ねーじゅ No.
1976.6月号


平ケ岳                             
                       1976年5月1日〜5日 

   メンバー:矢口政武・八代嘉子・伊藤庄一・田中道子・久保制一・鈴木和雄 
                               鈴木和雄記  

 今季のメインイベントともいうべき、尾瀬平ケ岳ツァー山行は5月1日〜5日に 
かけて「全国交流尾瀬春スキー」のツァー研行事のひとつとして行われた。    

5月1日                                  
 23時すぎ高田馬場に集まり、バスで戸倉へ。皆20Kg以上の大きなザックだ。
バスの中では明日のために眠ろうと思うがなかなか眠れない。          

5月2日                                  
 戸倉でマイクロバスに乗り換え鳩待峠へ。戸倉のスキー場はとっくに雪も消え下 
草が青々とし、桜の花が咲き、春たけなわというところ。途中土砂崩れのため少々 
歩き、またマイクロバスに乗り雪の残る峠に着いた。              
 峠で身作りし、東側の斜面で足慣らしをする。ザラメ雪を滑るのは今シーズン初 
めてでなんとなくぎこちない。空からは雨滴が落ちこれから先4日間の天気が思い 
やられる。9時前スキー協の共同装備を持ち尾瀬ロッヂへ夏路に沿って行く。   
 今シーズンはここも雪が少ないらしく、雪の消えているところもある。     
 尾瀬ロッヂで昼食をとり、顔に日焼け止めのクリームを塗り、皆にからかわれな 
がら出発。今日の目的地はススガ峰先の分岐点だ。尾瀬ガ原は所々池糖が顔を出し 
ているが、大部分はまだ雪の下だ。天気も持ち直し、薄日がさし燧・至仏も見える。
雪のない季節では歩けない所を柳平目指しズンズン進む。猫又川を右に見、柳平を 
すぎ右俣出合いをすぎた所で、フタマタ沢南側の尾根に取付く。他のパーティもこ 
のルートを取るらしく、踏み跡もついていてルートを探す必要もないくらいだ。背 
後に外田代がその全容を現し、我々の高度を教えてくれる。小さなピークをすぎ、 
ススガ峰南肩の稜線に出た。樹林の中では感じなかった風も稜線では結構吹いてい 
る。左手前方に平ケ岳方面から巻機山と奥利根源流の山々が顔を出している。   
 16時過ぎススガ峰に到着。ここで筆者(鈴木和雄)が軽い貧血を起こしてしまっ
た。原因はバス内での睡眠不足と行動食を十分取らなかったためだと思う。反省。 
山頂よりススガ峰北鞍部にスキーで下り、今日の幕営地をここに決め、ツェルトを 
張る。19時久保さん苦心の夕食を摂る(五目釜飯・豚汁)。          
 20時30分、風の音を聞きながら眠る。夜中ミゾレが降っていた。      

5月3日                                  
 明け方濃かったガスも徐々に消え、始めは「この付近でスキー練習」という話も 
「行ける所まで行ってみよう」ということになり、行動開始。ミソ・力・ラーメン 
の朝食を済ませ、8時すぎ出発。今日はザックも軽く快調なピッチで行く。大白沢 
山への分岐点をすぎ、東側は切れ落ち、西側は黒い木の樹林という尾根を白沢山に 
向かって行く。時々ガスも切れ、景鶴方向が見える。白沢山の登りも快調に進み、 
いよいよ平ケ岳へ。ガスが晴れていれば、平ケ岳の真っ白な山容が目前にあるのだ 
ろうが、この天気では頭の中で想像するだけ、残念。              
 このあたり、昨年行った吾妻の感じに似ている。ガスのせいだけでもないようだ。
ガスはますます濃く、風も強くなってくる。そのうち斜面も平らになり、頂上に着 
いたことを教えてくれる。なにかあっけないほどだ。              
 濃いガスと風の中三角点を探すが見つからず。樹のかげで昼食をとり早々に下り 
にかかる。いよいよ待望の平ケ岳大滑降。いつものように登りに比べての下りのあっ
けなさ。すぐ白沢山との鞍部に着く。あとは幕場に帰るのみ。平ケ岳に登った満足 
感で、なんとなくウキウキと樹林や雪原を登りまた滑る。            
 14時すぎ幕場に戻る。その後2時間ほど付近の斜面で滑降練習をする。    
 16時の気象通報では日本の周りに前線と低気圧が居座っているとのこと。これ 
からの天気が思いやられる。17時カニピラフ・ジャーマンポテト・スープの夕食 
を食べる。ますます強くなる風にちょっと不安になりながら眠る。19時40分。 

5月4日                                  
 5時起床。南東側の雲が低く、今にも雨が降ってきそうな天気だ。5日のことを 
考え、とにかく尾瀬ガ原に降りておこうということで、行動開始、日本海側は雲が 
切れ青空が顔を出している。ちょうど尾瀬の上で天気が別れている。ススガ峰から 
稜線沿いに至仏に向かって行きながら、適当な斜面を見つけては練習する。歩いて 
いる時間より練習している時間のほうが多いくらいだ。この付近の尾根はススガ峰 
から平ケ岳への尾根よりスケールが一回り小さい。日崎山で昼食をとる。出る時、 
伊藤さんのビンディングのばねが壊れちょっとドキとするが、たいしたこともなく、
直り一安心。ブナの好ましい林を通り、至仏との最低鞍部を過ぎる。この頃よりガ 
スが流れてきて、今まで見えていた至仏の斜面も見えなくなってきた。カッキリ堀 
を左に見、稜線をなお至仏の森林限界付近まで登り、ムジナ沢とカッキリ堀の間の 
尾根に入る。時々ガスがきれると尾瀬ガ原がその全体をあらわすが、またガスの中 
に包み込まれてしまう。例によってちょっと練習し、尾瀬ガ原に向かって出発。  
 一応目標を外田代から南に出ている尾根の方向にとる。雪原を大きく斜滑降し、 
快適にクロベの森に滑り込む。適当な斜面を拾いながら右へ右へと行くといつのま 
にか尾瀬ガ原のムジナ沢出合に出た。約30分の痛快な林間滑降だった。ムジナ沢 
の今にも落ちそうなスノーブリッジを一気に渡り、沢の近くで幕営。ブナの木の間 
に尾瀬ロッヂの屋根も見える。時計は15時を指していた。幕営を始めるとすぐ本 
格的に雨が落ちてきた。何とついていることか!。18時食事。今日のオカズはカ 
レーと玉子スープ。20時すぎシュラフにもぐる。雨は降ったりやんだり、雨の中 
久保さん・伊藤さんがツェルトの周りに溝を掘ってくれる。昨日の夜のフライの修 
理、今日のこと合わせて感謝。                        

5月5日                                  
 今日も雪原は白いベールの中。5時朝食をとる(カレー・力・ラーメン)。食事 
の後、至仏登頂はあきらめスキー協に合流することにして、今回の山行の反省を行 
う。                                    
 その内、雨も上がりガスも切れ、尾瀬ガ原や至仏も見え始めた。本隊と打合わせ 
急遽行動開始。幕場から夏路めがけ斜めに登る。森林限界付近で夏路にぶつかり、 
至仏に向かって直登。雪の消えた高天ガ原をすぎ、山頂に着いたのは11時すぎ。 
 小休止の後、東側を斜滑降し、小至仏の東を巻き、笠を右手にオヤマ沢田代から 
鳩待峠に向かって、黒い木・ブナ・カンバの林の中を滑る。峠に着いたのは12時 
半。峠には最後のマイクロバスが我々の乗るのを待っていた。          


コースタイム                               
5月2日 鳩待峠     8:50 尾瀬ロッヂ    10:15〜11:10
     尾根取付地点 13:25 ススガ峰南肩   15:20      
     ススガ峰   16:10 ススガ峰北鞍部  16:20      
5月3日 幕場      8:10 1920ピーク   8:30      
     白沢山     9:40 平ケ岳      11:10〜12:05
     白沢山    12:40 1920mピーク 13:45      
     ススガ峰北鞍部14:15                     
5月4日 幕場      8:20 ススガ峰      8:50〜9:25 
     日崎山    10:40〜11:30               
     最低鞍部   12:55〜13:25               
     尾根入口   14:25 ムジナ沢出合幕場 15:00      
5月5日 幕場      8:30 森林限界      9:05      
     天狗の庭    9:55 至仏山      11:05〜11:35
     鳩待峠    12:30                     


ルート図                                    
        


追記:この頃(1976年6月)当会の名称は「山スキー同志会」と決まったよう 
   です。今年は22年目ということになります。10周年記念行事を昔やった 
   記憶があります。(1997.6.29)                


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