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ら・ねーじゅ No.26
1978.3月号


乗鞍岳                             
                      1978年2月10日〜11日 

       メンバー:                          
            アタック隊:小林・矢口政武・坂井聖・橋爪俊     
            サポート隊:伊藤碩志・小森宮秀昭・藤谷和正・渡辺文子
            位が原隊:橋本亨・川口洋・田中道子         
                               渡辺文子記  

 記録を書く前に、紙面を借りて一言。このたびの事故で皆さんに多大な迷惑をか 
け「楽しみ」をふいにしてしまって残念でなりません。心よりお詫び致します。  
 この事故を通じて本物の仲間のよさをさらに痛感した次第です。この経験を私に 
とっても無にせず、技術・理論面で強化していきたいと思っております。     

1978年2月10日                           

生暖かい空気が新宿のホームを吹き抜ける。23:00発の急行アルプス52号の 
列に加わる。総勢11名、昨日は雨、気象班を中心に午後10時の気象をつける。 
明日はまずまずとの予報に一安心。列車は比較的すいており、皆座れた様子。   

2月11日                                  
 4:10松本着。駅を降りると桜木荘のマイクロバスが待っている。おじさん「あ
りがとう!!」。伊藤碩志さんと合流して桜木荘に向かう(5:35着)。    
 バスを降りると星空とかわいいむくちゃん(犬)が待っていた。矢口政武さんよ 
り今日の行動パーティ編成と今回の山行の目的など話され、皆耳を傾ける。    
 7:10マイクロにてスキー場へ向かう。乗鞍岳の頂がきれいに顔をだしている。
天気は上々。リフトを乗り継ぎ、サポート・位が原隊はスキーをザックに付けて  
9:00出発。アタック隊を追う。樹林帯を進む。雪が固く足を何回も取られそう 
になる。10:00小休止。心地よい風が私たちを慰めてくれる。また穂高が見え 
る。沢を右に見ながら夏道に出合う頃(10:30)右下に見慣れたスキーが立っ 
ていた。「あれ!!」と思うとアタック隊の3名がザイルを引き上げている。矢口 
政武さんが怪我をした様子。サポート隊からも救助に行き、残りのものは夏道で待 
つ。雪がだいぶ出てきた。アタック隊が出発したのを確認して、後に続く。ルート 
が分かり難く足場を作りながら歩を進める。11:25位が原山荘通過。11:30
位が原上部にいるアタック隊と合流して昼食をとる。11:50アタック隊はアイ 
ゼンを付けて出発。ますます雲行き悪くなる。私たちも12:00出発。途中、他 
パーティの雪上訓練を見ながら慎重に登る。ガリガリの雪にこれ以上進むことは危 
険と察知して、下る準備に取り掛かる。肩の小屋に向かうアタック隊の4人が小さ 
く見える。ひもを締め直し、安全にゆっくり下り始める。            

(ここより全体の記録がとれず申し訳ありません。)              

 位が原山荘をすぎた下の車道で私は横滑りをした時、止めきれず、加速度をつけ 
て滑落。最初の大きな木に激突し。3本目位の木に手を伸ばしてしがみつく。意識 
ははっきりしており、少し休めば歩けるだろうなどと思ったが、身動きひとつでき 
ない状態であった。すぐ伊藤さん・小林さんが来、伊藤さんは救助隊へ連絡するた 
め下山。小林さんは重い私をザイルで結び、平らな所まで確保しながらおろして下 
さる。アタック隊の下りに出合ったらしく矢口さんもすぐ来て下さる。手慣れた処 
置に感嘆と感激しつつ、私は自ら、ふるえをおさえた。どのくらい経過したかわか 
らないが、2名の救助隊員、伊藤さん・坂井さんが登って来て、6人でスノーボー 
トを降ろしにかかる。途中2名の救助隊員が加わり、私は仲間に支えてもらって、 
病院にはいることができた。                         


コースタイム  上記(文中)                        


ルート図なし                               

                               電子化 遠山 


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