ら・ねーじゅ No.42
1979.7月号
6月にやった!!白馬雪渓スキー
1979年6月23〜24日
メンバー 不明
田中道子 記
6月23日 くもり〜雨
白馬尻に着くと、冷たい風が吹き降ろしてきて、一瞬のうちに汗が引く。
小屋のひとつは組み立て中である。雪渓はパックリと口をあけ、ズタズタに切れ、
激流がゴウゴウと大音を轟かしている。
ここでこんなことは初めてだ。驚きながら、左手の道を巻き、それから雪渓に下
り立った。晴れていたがガスが出てたちまち視界がなくなる。
足元は大きな大きなスプーンカットで、大小の石が無数に散らばっている。重い
板を担ぎ上げても、これじゃうまく滑れるかなと思いながらも楽しく前進する。
葱平では時折ガスが切れ、ここの急流は完全に雪の下。やはり6月だ。小雪渓も
かなりの急斜面をみせて大雪渓に続いている。切れてないだけ安心だ。
そのうち雨が降り出し、風も出てくる。小雪渓をトラバースし、所々雪を踏みな
がら尾根をゆく。2500mの標識で設営したが、天気ますます悪化し、浸水して
きた為、急遽撤収し、30分程登ると、乾燥室のある小屋に到着した。
6月24日 晴れ
濃いガスの為、暫く様子をみる。明るくなってきたので、7:20頂上にゆく。
次第に青空が顔をのぞかせてきた。次々に山が見えてきた。7:50山頂着。剣も
雪倉も、杓子や旭岳にもかっこうの雪の斜面がある。足下の雲海も切れて大雪渓が
見通せる。
足取りも軽く小屋に戻り、2500m地点まで板を背負って下る。いよいよ滑降
だ。8:40。仲間のひとりは板を持ってこなかったので、重い荷をしょって、先
に下ってもらう。撮影の合図を確認して滑り出す。申し訳ないようだ。
くされ雪で、ここは十分ボーゲンできる。いよいよ小雪渓核心部だ。カメラマン
は尾根をゆく。横滑り斜滑降で安全にゆく。中央に大岩が出ていて、その周囲はシュ
ルンドになっている。これに激突したら雪渓の下にさよならだ。でもこれくらいの
傾斜はスキー場ではけっこうみられる。コブがないだけ滑り良いのかもしれない。
いよいよ大雪渓に滑りこむ。もったいないので雪渓の端から端を大きくまわる。し
かしその度に板の上下振動が激しく膝で必死におさえるが、足が痛くなってくる。
膝がガクガクする。板がガリガリと石をこすっている。これさえなければよいのだ
が。でも予想していたよりはるかに曲がることができ快適に滑れた。登ってくる人
にスキーで落石をしやしないかと心配であったが取り越し苦労であった。
白馬尻クレバス着9:40。荷を置いて、ポールくぐり等して1時間程遊び、猿
倉発11:40のバスに乗り込む。
板は無残にも数カ所えぐれ、プラスチックを埋め込んで滑らかにしなくてはなら
なくなったが、こんなに気持のいい山スキーはやめられない。
帰りの列車も空いていて、ビールでボーとした脳細胞は充分に満足で幸せであっ
た。
ルート図
電子化 遠山