ら・ねーじゅ No.112
1985.4月号
平標山
1985年3月17日 メンバー:L.西川、白沢、手塚 |
平標登山口でバスを降りたのは我々のみ。シールを付けてすぐ出発。雪はガチガチに締まっている。道標の所で小尾根に入る。スキーアイゼンがよく効く。斜度が強くなるとキックターンが怖く、ツボ足に替えトレースを辿る。西川さんはスキーのままだ。時折、強風が吹く。 小休止後、再びスキーを付ける。稜線の雪は凍ってテラテラと不気味に光る。登高支柱を倒しアイゼンをきかせる。後少しで山頂というところで、苗場スキー場や仙ノ倉がガスに隠れ、雪がチラチラし始めた。 あと数メートルで山頂と思った時、強風に襲われる。座り込んだままシールを外し、来たコースを戻ることにする。 強い南風に向かって降りるが、視界は10m以下。ガチガチの雪と軟らかい雪が交じり怖い。西川さんと手塚さんに追いつけず、数回待ってもらう。アイスバーンを横滑りで降りている時、転んでしまう。 なだらかな斜面を滑り落ちるが、スピードが全然落ちないので、ストックの先を数回雪に突きさすと一度止まったのだが、不用意に動いたので、再び滑りだしてしまう。一度バウンドし、急な斜面の雪が軟らかい所で止まった。 そして起きると、右足はインナーブーツだけになっていた。両足にアイゼンを付ける。見上げると急な狭い谷だ。「助けてー」と叫ぶが声もなし。地図と磁石と高度計を出す。平標小屋より上らしい。150m位は落ちたようだ。ここが笹穴沢でないことを願う。視界が大分はっきりし、夏道の横の小さな沢にいるような気がする。沢を下りることにする。少し降りて、片方のスキーを雪に突きさして放置。さらに降りると、下の方にスキーらしいものが見える。放置したスキーを取りに登り返す。 流れたスキーは、足首の留め金の所で、紐が外れていた。テールが突き刺さって立っていた。靴を履きアイゼンを着け、再び降りる。すぐ、ツボ足のトレースを見つけた。ここは笹穴沢ではないと安心する。 沢が広くなったところでスキーを付ける。すぐ広い雪原に出た。新雪で快適。すぐ林道だった。バス停着1時48分。 2人を待つことにする。誰もいないし、誰も来ない。地図を広げると、私が落ちた谷は、夏道の傍ではなく、更に山頂寄りで、我々3人は、大きな枝尾根に迷い込んでいたことが判かる。激しく雪が降り、雨も交じる。 3時半、2人到着。無事を喜びあう。西川さんは、私が谷に滑り落ちるのを見たという。登り返してくるかもしれないと少し待ち尾根を下り、あまりにも急なので、登り返し平標小屋で、小1時間登ってくる私を待っていてくれたという。私の怪我は左足首ねんざ全治2週間。 [タイム] 登山口7:05→平標山頂11:08→登山口(白沢)13:48、(西川、手塚)15:30 (白沢 記) |
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