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ら・ねーじゅ No.62
1981.3月号


秋田駒ケ岳

1980年12月31日 晴のち曇りのち雪

メンバー:矢口

ここ数年東京スキー協主催の正月行事でツアーをやってきた。今年は田沢湖スキー行事の中でツアー教室を担当した。教室参加者は女性2人を含めて9人、ほとんどの人が顔見知りであったが、中には行きのバスの中で「ツアースキーをやってみたいのでよろしく・・・」と言う人もいた。

第一日目(12/30)ゲレンデを足慣らしをやりシールの調整、登高もやってみる。駒ヶ岳アタックに支障はないようだ。

秋田駒ケ岳アタック

好天に恵まれ、偵察のつもりで出発。リフトを三本乗り継ぐと標高1300m位まで行く。2、3パーティ先行していたのでルートはしっかりついていた。案外簡単に登れそうだ。振り向くと眼下に田沢湖スキー場が一望できる。その先に田沢湖も光って見え素晴らしい展望。

1400m位まではシール登高できるが、その先は尾根がやせて急になるため、ツボ足で登る。ガスが少しづつ上って来た。急な登りを二、三回繰り返すと尾根が開けてそこはもう秋田駒・男岳(1600m)の頂上である。

食事をとり記念写真を撮る。寒くなって来たので降りることにする。降りのコースは女目岳より八合目に出て高原スキー場に行くコースもあるが、今回は早く田沢湖スキー場に戻るために、北西の尾根を降り岩井沢を渡ってスキー場に出るコースを考えた。雪が降り出し風も吹き始める。方向を定めて滑り始めるが視界が悪く苦労する。祠のある頂上より100m位北上し北西に延びる尾根を降りる。シュカブラが発達している。時々岩が出ていて恐る恐る滑る。

左手に岩井沢が大きく落ち込みガスの中に消えている。右に巻くようにして進むと大きく崩れた沢に当たった。右に寄り過ぎたようだ。岩井沢の方へ滑りながら戻る。登る途中見えていたシュプールに出会うがすぐ見失う。伊藤(碩)氏の持ってきた高度計などを頼りに岩井沢に入ることにする。沢に入る途中、尾根状の所に大きな岳樺がありその木に「駒ケ岳ツアーコース2/20」と書いた直径50cm位の古いプレートがあった。沢筋を滑り、少し開けた所でシールを付け左へ少し登ると丁度二つ目のリフトの終点近くに出た。ホッと一息ついて時計を見たら3時であった。

[タイム]
第三リフト終点10:00→秋田駒ケ岳頂上12:10/20→古いプレート2:00→第二リフト終点3:00

乳頭温泉に遊ぶ

三日目の元日は午後より天候が回復した。昨日登った駒ヶ岳を見ながら一日ゲレンデの新雪を探して滑った。

四日目に入ると疲れも出始め風雪厳しい。乳頭温泉行きとなる。スキー場からバスで終点まで行き乳頭スキー場で一滑りし、早々に孫六の湯へ。雪の降る露天風呂で遊び雪に閉ざされた黒湯を訪ね、帰りがけに蟹湯温泉に浸かり、雪のシンシンと降りしきる乳頭温泉郷を後にした。

三年連続で田沢湖の正月行事に参加した人も初めて駒ヶ岳に登れ本当に良かったと喜んでいた。自分のスキーツアー要求とともに多くの仲間にツアースキーの喜びを伝えよう。

(矢口 記)
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