11月定例山行 西上州2days 鍬柄山/大岩・碧岩
2021.11.14
2020.11.14-15 11月定例山行 西上州ハイキング

■報告者名  小野寺
■山域、山名 西上州 11/14鍬柄山/11/15 大岩・碧岩
■メンバー L M岡坂・田中秀・岩崎・加瀬・ふくちゃん・野村・川島・菅澤・小野寺
・結城・藤田
■日程、天候 両日快晴
■コースタイム
14日 鍬柄山
   13:50登山口-14:30鍬柄山-15:15登山口
15日 大岩・碧岩
登山口8:10-9:10三段の滝9:17-10:35碧岩11:00-11:59大岩12:29-13:37三段の滝13:39-14:20登山口

■山行記録
14日昼に下仁田の町中華、一番に集合。
テレビドラマ『孤独のグルメ』に登場した名店ということで、到着順に行列に並ぶ。
名物はタンメンと餃子ということで、欲張って二品注文した。
古めかしい昔ながらの店構えに見合った、オーソドックスなスタイルのタンメンで、野菜はシャキシャキで麺はモチモチタイプ。
餃子は包んですぐに焼き上げる棒餃子で、特に餃子は絶品。
再訪して焼きそばも食べたいと思った。

渋滞で加瀬さん、田中秀さん、川島さんはランチに間に合わず、道の駅で合流。
道の駅にて『これからあれに登るんだよ』と教えてもらい、鍬柄山を見上げる。
『まじかー、とんでもないところに着いてきてしまった…』というのが正直な感想。

逃げ出すわけにもいかないので、岡坂さんの後ろに張り付いて恐る恐る登山開始。
銀杏の大木があって『きゃーくさーい!』などとおどけながら進み、徐々に緊張は解ける。
肝心の鎖場は、足場もしっかりしていて鎖も丈夫かつ立派なものが設置されており、岩山ほぼ未体験の私でもゆっくりなら安心して登ることができた。

足の置き方など教えてもらってのことなので、一人なら登れなかったなぁ…
短時間ながらもスリリング体験度☆☆☆


翌15日、核心の日。
緊張して落ち着かない朝を迎える。
朝の散歩で藤田さんが撮ってきた碧岩の写真を見て『ひえー…』となる。

ともかくがちがちの状態で登山口にドナドナ。
川沿いの登山道を進む。
若干荒れ気味だけどこれくらいなら大丈夫。
岩をぴょんぴょん渡って川を越えて、だんだん楽しくなってくる。
しばしあるいて三段の滝で休憩。
ここから先が不明瞭な登山道と急登の連続。
皆であーでもないこーでもないと言いながら登るのが楽しくて、会に入ってよかったなーと思いながら頑張って着いてゆく。
そしてまずは碧岩。
簡易ハーネスでいいと言われていたところを、怯えて持参したペツルのハーネスをがっちり装着。
ロープを出してもらって一段目はなんとかかんとかよじ登る。
そして二段目。
みんなスルスル登っていたけど、下ないじゃん?垂直じゃん?落ちたら死ぬじゃん?で、ガッチガチに。
二回ぐらい『むりです!!!』って言いましたが降ろしてもらえず(笑)
気持ち的には信用しきれない残置ロープに縋りつき、涙目でよじ登った。

↑余裕のフリをする小野寺
先に登っていた皆さんを、上で30分くらい待たせたような……
てっぺんからの景色は最高でした。
降りるときももちろんゆっくり…ゆっくり…
『次はもっと楽だから!』と励まされながら、その後は大岩へ。
大岩はロープなしで挑戦。
怖かったのですが足もとも手元も明瞭で、今回は楽しい!の方が勝って気持ちよく登ることができた。爽快!なるほど!

そして下山。
登りとは別のルートを選択してザレザレの急斜面を調子よく下っていくと…
途中から登山道が消える(笑)
正確には落ち葉の下にはあるのだろうけど、堆積した落ち葉で見えない(笑)
各々こっちが正しいと思う場所を落ち葉ラッセルしながら急斜面を滝上部に向けて下降。
もしかするとここが一番の核心だったのかも???
大冒険スリリング体験度☆☆☆☆☆☆☆

もうちょっと岩の山にも挑戦してみようかな?と思える楽しい二日間でした。
日連アルプス
2020.12.15
日連アルプス(日連山383m)中央線沿線 2020.12.15(火)快晴 岡坂、田中源(記)                  
 
 金剛山、宝山? 地図で調べると、藤野の山だとわかった。アルプスと名付けられていて、観光協会の知恵のようで花まる。400mほどの集落の裏山だった。広葉樹のきれいな風情のある尾根道をだった。おまけもあった。
 日連神社側から歩き、尾根に出るまで30分だった。細尾根は広葉樹で落ち葉、葉を落とした木々の道だった。宝山は374mの三角点の名前である。すぐ下に藤野の町、日連集落が見える。鉢岡山へ向かうとコンクリの道になり、鉢岡山は電気の施設がありそのための道のようで、山歩きには相応しくなかった。尾根道まで戻り、昼食とした。道標、ベンチが整備されている。
食後歩き出すとすぐに峰で、そこから藤野、上野原など西側の眺望がよくきいた。日連金剛山は金剛神社があり、ひとりが休んでいた。山の下を流れる秋山川の西側には名倉金剛山があり、今回の計画に入れていたが、取りやめた。神社からの下りは参道とはいえ、まっすぐ下る急な道だった。参道の入り口から戻った。野菜販売所でわたしは柚子を買ったが、岡坂さんのグルメ調査で自家製ピザの家を尋ねるとたくさんの柚子をもらってわたしも倍以上のお裾分けをもらう。藤野は柚子の産地である。

 タイム;取り付き10:20-宝山10:50-鉢岡山11:20-昼食12:10/50-金剛神社1:05-参道入口1:25/30
立山(雷鳥沢)
2020.11.21
【報告者】今村
【年月日】2020年11月21日
【山域、山名】立山室堂 雷鳥沢
【メンバー】L吉岡、M川島、山田、今村
【天候】晴れ
【コースタイム】12:20雷鳥荘前の斜面を滑走開始→13:00称名川、シールを付けて雷鳥沢を登坂開始→14:00 2455m付近の赤旗到着、シールを外し、滑る準備→14:30 滑走開始→14:45 ダウンヒルが終わり、シールを付け直して歩き始める → 15:10 称名川を渡渉→雷鳥荘前の斜面、滑った沢の右手の沢を登坂 → 15:40 雷鳥荘到着

初日GPSログ
【記録】
 2020年11月の下旬〜3連休は、同志会ではテント泊を含め総勢10名以上が立山室堂での初滑りを企画していたが、10日ほど前より季節外れの暖気と南風が日本を襲い、せっかくの積雪が見る見るうちに減っていくヤキモキした天候。はるばる行ってもスキーができない可能性が高まったためのキャンセルや、ご家庭の事情等によるキャンセルが重なり、最終的には4名のみが立山に向かうことになった。リーダー吉岡氏は滑る気満々の一方、残り3名は温泉&宴会ができれば御の字だと思っているかなりの温度差で11/21(金)早朝6時過ぎに扇沢無料駐車場に集合。
 空は黒っぽい暗い雲に覆われ、ミゾレが降っている。あまりテンションが上がらない天候だが、ポジティブに考えれば高所では降雪になっている可能性がある。装備の準備をしてスキー靴を履き、7時ごろからアルペンルート当日券の列に並び、8時30分発の始発切符を無事に入手し、アルペンルートへレッツゴー。
 アルペンルート途中で外に出られる機会は黒部ダムしか無いが、雪がチラついている割には生暖かい空気。やっぱり雪が溶けてしまっているか。。。不安が募る。
 長野県側からのアプローチでは、最後のトロリーバスから室堂ターミナルまで地下や屋内なので外に出るまで外の様子がわからない。雪が少ない黒い山々を覚悟して外に出たところ、青い空と白い斜面の驚きの光景が我々を待っていた!どうやら、下界では雨やみぞれだったのが高地では雪だったらしい。量は少ないが新雪がある!そして青空が美しい!早速出番無しも覚悟していたサングラスをザックから引っ張り出して装着し、スキーを担いで靴アイゼンを履いて雷鳥荘へGO。
 途中、腕章をつけて立派なカメラを持った男性に声をかけられた。富山新聞の記者が「三連休で賑わう立山室堂」的な写真を撮りたいので写真に入って欲しいとのこと。コロナが広がっている中、こんな浮かれた写真を撮られるのはリスクもありそうだが、サングラスをかけているので個人は特定されないだろうし、滅多にない機会なのでOKした。記念写真的な感じでなく、自然に歩いている感じでお願いしますとのことでぎこちなくもポーズをとり、写真を撮られた。その写真は無事に翌日の富山新聞一面に掲載されたが、GOTOトラベル制限へというトップ見出しの横に連休初日に賑わう県内観光地という記事の並びはなかなかシュールなものがある。

青空と白い雄山

さて11時過ぎに雷鳥荘到着。部屋は絶景の301号室と隣の302号室。早る気持ちを抑えながら半日ツアーの準備をし、12時過ぎに雷鳥荘前から出発することとした。
 当初は山崎カールを行けるところまで詰める計画であったが、さすがにここのところの少雪のせいかカール方面は岩やブッシュで黒々しており、あまり楽しめそうにない。一方で、目の前の雷鳥沢にはそれなりに雪がついているように見えるため、本日午後の行動は雷鳥沢に行き先を変更することにした。
 雷鳥荘前の斜面を見下ろすと、やっぱり岩や石があちこちに出ている。でも、慎重にゆっくり滑ればそれらを避けながらシュプールを描けそう。滑り出しはやや切り立っていて恐ろしい感じだが、そこを過ぎれば比較的スムーズな斜面になっている。なんとか行けそうだ。 
 いよいよ吉岡隊長からスタート!小さいながらもスプレーを上げながら楽しそうに滑り降りていった。
 次いで川島さんがGO!流石のスムーズな滑り。ぐんぐんと滑り降りていく。
 3番手は山田さん。靴のバックルを締めずに滑り出してしまったために斜面上部で軽く転倒してしまったが、靴を調整してからは流石の華麗な滑り。
 最後は今村。雷鳥荘前は強風が吹き付け、どうにも体勢が整わない。しばらくぶりのスキーなのでビビリ心もある。下の方で3名が待っているのが見えるのになかなか滑り出せなかったが、暫く待っていると風が息継ぎで弱まったので滑り始めることにした。
 雪質は思ったよりも良かった。少ないが軽い。ただ、やっぱり岩や石が怖い。避けたつもりでもガリッという音がする。とは言ってもやっぱり楽しい!!あっというまに滑り降り、4人でテント場を横切って称名川を渡り、シールとクトーを付けて登坂を開始した。
 既にいくつものパーティが雷鳥沢のかなり上部まで登っている模様。青空で見晴らしが良く、スキーで歩いているだけで楽しい。が、山田さんのテックビンディングの調子があまり良くなく、右足がすぐに外れてしまう。雪が詰まっているのか、金具の不具合なのかよくわからないが、何度も外れてしまう。今日は足慣らしなので、今日は無理をせず明日に備えてビンディングの調子を確認したり調整するために、早いうちに山田さんは引き返すことにした。
 その後、高度を上げ、赤旗のある2455m付近まで登ったところで今日はここまでにしようということとした。斜度が少し緩くなっており、風も弱くて滑走準備がしやすい。滑走ルートを相談しながらシールを外して滑走準備をした。 
 真下に滑るのも悪くないが、真砂側にトラバースしていくと滑れそうな沢がいくつもある。シールを外した場所から小さな沢を2つ挟んだ斜面が比較的白くて岩が少なく見えたので、そこを滑り、称名川付近から渡渉箇所に移動することにした。
  滑る準備をし、周囲の景色を十分堪能したらレッツゴー!太陽に照らされているが、雪はそんなに悪くない。パウダーっぽいところも残っている。岩や石も多いが、意外に真っ白な場所があちこちにある。
 楽しんでいるうちにあっという間に滑り降りた。
 やはり少雪のせいか、称名川近くは藪と岩だらけで川には近づけない。雪が残っているところでシールをつけ、渡渉地点に戻り、テント場を通り抜けて雷鳥荘への斜面を登って帰った。
 トータル3時間ちょっとの短時間ではあったが、充実した初滑りだった。このコースは、立山室堂到着日の午後のルートとして良い選択だったのではないかと思う。明日も雪はなんとか残ってそうなので楽しみだ。

岩やブッシュを避けながらの雷鳥沢シュプール



【報告者】山田               
【年月日】2020年11月22日              
【山域、山名】 雷鳥沢             
【メンバー】L吉岡、M川島、今村、山田     
【天候】晴れ のち 曇り            
【コースタイム】5時間23分

【記録】                                 
 リーダー吉岡さんが雷鳥荘にリクエストして予約をした部屋No.301は、この宿で唯一立山の主峰雄山が眺められる絶景部屋。
この眺望の素晴らしい部屋から見た朝の景色。モルゲンロートで目の前に広がる山々が徐々に染まり始め「今日も天気は良い!」と不安とワクワクの入り乱れた気持ちで準備を始める。この日の天気は、晴れは午前中のみで、午後は徐々に雲が広がり、夜からは待望の雪になる予想。
雷鳥荘前に8時半に集合し、いざ出発。昨日からこの日の朝にかけて、降雪はなく、雷鳥荘前の斜面は大小岩が出ている。また、夜に冷え込んでいるはずだから、雪も硬くなっているかも・・・。1番手のスタートは吉岡隊長。あっという間に気持ち良さそうに滑り降りていく。その次の私は恐る恐る滑り出したら、「あれ、案外、いい雪かも!」と不安はなくなり一挙にテンションが上がる。その後、川島さん、今村さんも降りてきて、口に出るのは「思った以上にいい雪! 気持ち良いスタートだね」。笑顔で話しながら、テン場を横切り、称名川を渡り、シール装着へ。
「さぁ、苦手な登りが始まる…」とネガティブな思いに支配され始める私。吉岡隊長、川島さん、私、岩村さんの並びで登り始める。雷鳥沢をできる限り板装着で登り、その後、板をデポして、山アイゼン装着で劔御前小屋を目指し、剱岳を拝むのが最初のミッション。夏場にトレーニングもせず、体重を増やしてしまった私は、あっという間に、吉岡・川島両氏と距離が開いてしまう。後ろの今村さんが常に励ましてくれる。「前の二人はサイボーグクラスだから気にせず、のんびり登りましょう」「焦らなくても大丈夫。息が切れない程度にゆっくりでいいんですよ〜」と、どれだけこの声に助けられたか。前を行く二人も、遅れている私を気にしてペースダウンをしてくれた。あえぎあえぎ登って、やっと、板をデポするスポットまで到着し、しばし休憩。ここで、山アイゼンをつけて、つぼ足で登っていく。軽アイゼンでの登山はしたことがあったが、本格的にアイゼンを装着しての行動が初めての私。登りは蹴るように、下りは自分のアイゼンで足を痛めないように外股気味で、というアドバイスを受けながら、なんとか劔御前小屋前に到着。目の前に広がる風格ある劔岳をバックに写真撮影。劔沢をのぞいて見ると、雪の量はまだまだ少ないが、滑って登ってくる人がいる。「次に来るときはここも滑りたいな」と劔沢を眺めながら行動食を取っていたが、その間に天気がどんどん下り坂に。

板のデポ場所まで降り、雷鳥沢を滑る準備。雲も増え風がかなり強くなってきた。滑走1番
手は吉岡リーダー。朝よりも斜面は大小岩が出ているところが増えているように感じる。慎重
にルートを選びながら軽快な滑り。2番手は、川島さん。安定の滑りで、あっという間に滑り
降りて行く。そして、私。シーズン初めで、滑れるかの不安とともに、薄い雪の下にある岩を
踏まないようにと考えると、ついつい腰が引けた後傾のポジションになってしまう。そうなる
と、板のコントロールはできないのはわかっているのだが、なかなか自分の気持ちと身体の動
きが噛み合わない。暴走する前に転んで、やっと開きなおることができた。上を見上げると、今村さんがスタート。岩が出ている箇所も難なくいいポジションで乗って降りてくる。その後の称名川までのルートは、かなり減ってしまった雪のあるルートを探し探しで本日の滑りは終了となった。称名川の渡渉箇所を川に落ちることなく無事通過! 再びシールを装着し、雷鳥荘への斜面を登って宿前に到着。今日きたルートを振り返ると、あれれ。朝スタートした時より、どの山肌も黒い・・・。半日で融雪が進んでいるのだ。そんな話をして後処理をしていたら、雪が舞い始めた。「今夜のうちにたくさん降ってくれますように!」と、宿に入りそこからは温泉に美味しいビールとアフタースキーを楽しんだ。
ガイドツアーでの山スキーしか経験がなかった私にとって、初のクトーや山アイゼン装着のフルコースを経験できた。また、カラビナやロープなど持っていると便利な装備の話も行動中にメンバーの方々にアドバイスしてもらえた貴重な1日だった。今日は雷鳥沢からの1本の滑りだったが、上から下から他の人の滑りを見ていて、滑るイメージが私の中に蘇ってきた。ビビって身体の反応が鈍い感覚から、気持ちよく滑れるイメージがふつふつと湧いてきた。ふふふ、雪も降りだし、明日は滑ることすごく楽しみだ。立山の旅はまだまだ続く。

レディースに押され気味?!の吉岡リーダー(笑)

【報告者】吉岡               
【年月日】2020年11月23日              
【山域、山名】 雷鳥沢             
【メンバー】L吉岡、M川島、今村、山田     
【天候】くもりのち晴れ            
【コースタイム】3時間32分(雷鳥荘-雷鳥沢-雷鳥荘)

【記録】
寒気が能登半島の北からまわり込み、日本海上空の水蒸気を2回冷やすだろう。わたしはそのタイミングを広島でとても楽しみにしていた。

最終日の今日はその2回目。昨日から少し化粧崩れしていた地肌も、今朝は白粉(おしろい)が塗り重なっていた。雄山から真砂岳に向かう稜線は雲に覆われその表情が窺えない。予定していた大走りから顔色のわかる雷鳥沢に行き先を変えることに戸惑いはなかった。お色直しした斜面にわたしたちは期待を寄せた。

7:50 雷鳥荘
雷鳥平に向かう斜面の感覚はその日の遊びの深さを教えてくれる筈だ。少し露出ぎみだった岩もすっかり身を潜めていた。吉岡がスタート、そしてYSD屈指の女性スキーヤー3名、山田さん、今村さん、川島さんの順で板を走らせる。
「今日はスピードだせるよ。」白粉が語りかけてくれた。わたしもそう思った。
あっという間に滑り降りた4人の表情は明るい。野営場を歩くスピードは昨日より確実に速かった。
称名川の橋を渡って登行準備を整える。今村さんは最初から、山田さんは途中からクトーを装着した。夏道を外れると斜度が増していく。μの低い白粉は手強くなっていった。わたしたちは、ゆっくり、ゆっくりと高度をあげていく。

後ろから2人の登行者が近づいてきた。ボーダーとスキーヤーだ。雷鳥荘に宿泊していて、山田さんと知り合いになったらしく、この後、写真や動画を撮影してくれることになる。

別山乗越に向かう夏道に合流する付近にさしかかる。さっそく先行のスキーヤー達が声をあげて滑り降りてきた。だが、ちいさな尾根に衝突。わたしたちの目の前で大転倒した。さらに、もうひとりもひっくり返る。
「ギャラリーの目の前で、やってしまった―」と照れくさそうにこちらを振り返る。
「きょうの雪は登り大変ですけど、滑りは最高ですよ!」
とても楽しそうだった。だが、スピードコントロールに注意が必要だと思った。
さあ、どこまで登ろか。最終日なので、あまり遠くまではいけない。
「あと20分くらい登りましょうか」
「吉岡さん、あと5分でいいよー」と今村さんが笑う。もう3日間、十分堪能した笑顔だ。斜面のメイクが崩される前に早めに滑走することは大正解だと思った。

9:56 2564m
陽を覆う雲がヴェール効果をもたらし、雪肌は美しさを保っていた。ガスがかかりだしたがあっという間に視界は開ける。さあ、ファーストセッション。川島さんはノートラックを果敢に攻め、山田さんは白粉を巻き上げていた。
セカンドセッションは雷鳥沢最後の大斜面となる。出会ったボーダーのお兄さんがスマホを構えて動画を撮影してくれている。

停止の状態から一気に加速が始まる。想像した通り走る白粉だ。みんな速い!とりわけ滑り出しが速かった。気をつけないとコントロール不能、先のスキーヤーのように大転倒するにちがいない。

11月の立山は滑り手を選ぶと今回初めて思った。スピードが乗った状態で不躾に飛び出ている岩塊を適切なスキー操作で瞬時にかわさないといけないからだ。岩にヒヤッとする場面は正直あった。

走る雪肌に大満足したわたしたちは称名川の橋まで戻ってきた。
雷鳥荘まで登り返せば3日間のミッションは終了となる。
切り込み隊長を最終日までやらせてもらったが、今村さん、川島さん、山田さんというスキーの名手がバックにいたからこそ安心して突っ込んでいけたと思う。あらためて感謝である。

空が少し明るくなってきた。



ファーストセッション上:川島さん 下:山田さん



セカンドセッション 上:吉岡 下:今村さん

1:14 雷鳥荘
預けていた荷物を受け取り、帰る準備を整える。時間が少しあったので暖炉の前でコーヒーブレーク。3日間の余韻を語り合った。滑走時の動画をAirDropで共有させてもらったボーダーの方もくつろいでいた。あらためて御礼。本当にありがとうございました。
「これで、雷鳥がでてきてくれたら、もう言うことないよ」と室堂に向かう途中、今村さんがつぶやいていた。
今村さんはもうすぐ北海道へ移住する。本州を巡る旅の途中、急遽、同行いただけることになった。雷鳥は姿を見せなかったが本山行が思い出の一頁になってくれたらとても嬉しい。
ターミナルに到着した。化粧直しに時間がかかったのか純白の雄山が毅然と輝きだし、空をさらに青くしていた。わたしたちを見送りに顔をだしてくれたようだ。

山を畏敬する気持ちは忘れてはいけない。わたしたちは整列し、素晴らしい山行を提供してくれた立山に一礼した。

「ありがとうございました!」



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